全日本選手権女子エイトでクルーリーダーを務めた角谷2019シーズン、1年を通して1着を守り続けた選手がいる。女子部主将・角谷真緒(コ4)だ。彼女は公式戦10レース中、全て1着をモノにし、女子部史上初の全日本選手権、インカレ優勝をもたらした。…


全日本選手権女子エイトでクルーリーダーを務めた角谷

2019シーズン、1年を通して1着を守り続けた選手がいる。女子部主将・角谷真緒(コ4)だ。彼女は公式戦10レース中、全て1着をモノにし、女子部史上初の全日本選手権、インカレ優勝をもたらした。

ギャフンと言わせたい

高校時代に国体優勝という輝かしい実績を胸に立大ボート部の門を叩いた。大学入学後の3年間、最高成績はインカレ3位。個人としては日本代表に選出されるなど結果を残してはいたものの、立大として出場した大会の結果には満足していなかった。一方の男子は全日本優勝やインカレ準優勝など、常に女子部の一つ上をいく成績を残していた。「無しフォア(男子舵手なしフォア)がいつもいい思いをしてるのでギャフンと言わせたい」。悔しい思いを十分に味わっていた。2019年度の部全体のスローガンとして定められたのは「志」。角谷はインカレ・全日本優勝を「志」として女子部主将に就いた。「自分が一番輝いてみせる」。悔しさを胸に最後のシーズンに臨んだ。
「自分が引っ張っていきたい」。その一心から全日本選手権の女子エイトにおいてクルーリーダーを務めた。勝利へと全員の意識を一方向に合わせるべく、積極的に盛り上げていった。その結果、目標通り全日本選手権で立大女子部初の優勝を果たし、夢を現実に変えた。

Enjoy rowing.


楽しむことを常に心がけた

「ボートを楽しむこと」。オールを漕(こ)ぐ際、角谷が意識していることだ。自らの快挙を「楽しめたからこそ付いてきてくれた結果」だと振り返るように、楽しむことを重視している。自分が悪いのではないかと思い、ボートに対して苦しい思いを抱えた時期もあったが、その考えを捨て純粋にボートを楽しむことを優先した。その結果、邪念が取り払われ理想のボート競技を行うことができた。

努力は必ず報われる


インカレ女子ダブスカル決勝、勝利の瞬間

「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない」。角谷の座右の銘だ。どんな苦しい状況でも夢は叶うと信じて努力を続けた。思うような結果が出ないときも「今まで負けてきたのも自分が努力したと思ってただけ」と割り切り、練習を続けた。角谷の残してきた結果は不断の努力がもたらしたに違いない。

さらなる高みへ


前年度女子部主将・林原(18年度卒=写真左)と談笑する角谷

角谷が新天地に選んだのは東北。「強い人たちがいっぱいいる環境なのでそういう厳しい状況に自分の身を置いて覚悟を決めてやるしかない」。強豪・アイリスオーヤマでしのぎを削る決断を下した。関東の強豪実業団からの声もかかったが、より厳しい環境を選んだ。部員は角谷を含めて4人と小規模だが、オリンピックや世界選手権出場経験のある精鋭しか在籍していない。茨の道でも「ボートを楽しむ」ことを忘れず、広い世界へ舟を出す。

◆角谷真緒(かどや・まお)
1998年3月6日生まれ、コミュニティ福祉学部福祉学科4年。石川・小松明峰高入学とともにボートを始め、3年次に国体優勝、日本一を経験する。その後、アスリート選抜入試で立大に進学。3年次に全日本軽量級準優勝、東日本選手権準優勝、インカレ3位。4年次にはお花見レガッタ(2種目ダブルエントリー)、日立明三大学レガッタ、全日本選手権、インカレの全レースにおいて1着に輝き全て優勝、5冠を達成。16、17、19年にU23日本代表に選出。今春からアイリスオーヤマで競技を続ける。座右の銘は「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない」。昨年の新元号発表前に「新元号はKから始まる気がする」と予想したが、見事に外れた。

(3月19日 渡邊大樹)