Never give up! 
日本フィギュアスケート2019-2020総集編(2)

 カナダのモントリオールで開催予定だった世界フィギュアスケート選手権が、新型コロナウイルスの影響で中止になり、2019-2020シーズンが終了。今季も氷上で熱戦を繰り広げた日本人スケーターたちの活躍を振り返る。

 今シーズン、思い描いた結果を残すことができなかった坂本花織。そんな状況でも彼女が4回転にチャレンジした理由とは--。



自分と向き合うことが多いシーズンだった坂本花織

 オリンピアンとしての自負を持って臨んだ昨季の全日本女王、坂本花織はシニア3年目の今季、スランプに陥って、もがき苦しんだ。

 2018年の全日本選手権で初優勝を遂げて自信が生まれ、翌19年からの目標を「全試合で表彰台に乗る」と大きく掲げた。だが、その宣言どおりの結果をつかむことができず、昨季の四大陸選手権は4位、世界選手権も5位に終わり、表彰台を逃した。

 昨年4月に大学生になって心機一転の今オフは、環境が変化したなかで気持ちを切り替えて、新たなシーズンに向かって練習を積んできたつもりだった。だが、どこかに甘さがあったのか、心と体のバランスを整えきれないままシーズンに入った。

 今季のグランプリ(GP)シリーズは第1戦のスケートアメリカ、2戦目のフランス杯でいずれも総合4位。GPシリーズ上位6人が進出するGPファイナルへの出場を逃した。得意のジャンプが不調で不甲斐ない演技が続き、気持ちが乗らない苦しさを吐露した坂本は、どん底に突き落とされた。フランス杯後には、今季を象徴するようなコメントを残している。

「昨年はグランプリ2大会で絶対表彰台に乗って、ファイナルに行って、全日本でも表彰台(初優勝)に乗って、とモチベーションがすごく上がっていたし、自分の中でも勢いがあったんです。だけど、今年は昨年の勢いがなくて、まず4回転の子(シニアデビューしたロシア勢)に勝てる気がしないという気持ちがあって、それに勝っていくにはどうしたらいいんだろうなと思いながら練習して、試合が来て、(結果が)悪くて、やっぱり練習しないといけないなと思って、という繰り返しが続いています」

 2連覇を狙った全日本では、ショートプログラム(SP)3位からフリーでジャンプの失敗を連発して崩れ、総合6位に沈んだ。平昌五輪代表になったシニアデビューシーズンから昨季まで、坂本の強さが際立ったのは、SPとフリーでノーミス演技を揃えられたからだ。

 しかし、今季はそれがなかなかできなかった。原因は気持ちがスケートに向かわず、練習不足に陥ったからのようだ。中野園子コーチから「今季は追い込まなかった成果が出たね」と言われ、「納得するしかなかった」と明かす一方で、こんなことも口にしていた。



すでに、来季を見据えている

「今までは先生の言うとおりにやってきて、(大学生になった)今季は大人になるためにも自分の考えを持たないといけないなと思って、先生の考えだけじゃなくて、自分の意見も混ぜ合わせながらやってきましたが、思うようにいかなかった。自分が考えてやってきたことが間違っていたようで、それが全部出てしまったと思います。だから、この経験を踏まえて勉強しながら、いい方向に行けるよう考え直さないといけない」

 坂本は2月の四大陸でも、持ち味のスピードとジャンプは影をひそめ、結果もSP4位からフリー8位と振るわず、総合5位。ただ、この大会で今後につながる挑戦にひるまずに向かい合ってみせた。ジュニア時代からトリプルアクセルにチャレンジしてきたが、いまだ習得できていないこともあり、4回転トーループにシフトチェンジして練習を始めていた。そして、この習得中の大技をフリー冒頭で跳んだ。

 結果は転倒に終わったが、ここでチャレンジした意味は大きいだろう。女子も4回転時代を迎え、4回転を1本でも習得しておくことは、来季からトップ争いをするためには必須になるからだ。

「中野先生からは、跳んでも跳ばなくても最後は自分で決めなさい、自分を信じてやりなさいと言われたけど、信じきれなかった部分があった。でも、挑戦できたことは来季へつながると思います。自分の気持ちが前向きなうちに試合で跳ぼうと思ってチャレンジしました」

 失敗はしたが、この悔しい経験をどう来季につなげるか。坂本自身もここであきらめるつもりはない。

「今シーズンはずっと不安なままやっていたのもあるし、どこか集中しきれていなかったのが原因かなと思います。来季に向けてオフから必要なトレーニングや体幹を鍛えていきたい。4回転を跳ぶためにも体重調整は必要かなと思っています。

 今シーズンはひたすら苦しかったけれど、1年間でその苦しさを全部味わったので、この悔しさが次の結果につながるように努力し続けたい」

【2019-2020シーズンの主な成績】
■ネペラメモリアル(194.42/2位)
■スケートアメリカ(202.47/4位)
■フランス杯(199.24/4位)
■全日本選手権(188.26/6位)
■四大陸選手権(202.79/5位)