韓国で開幕した四大陸選手権は6日、女子ショートプログラム(SP)が行なわれ、前回王者の紀平梨花がただひとり80点台をマークする81.18点を出して首位発進した。SP自己ベストの83.97点には届かなかったが、ほぼ完璧な演技を披露して、演技…

 韓国で開幕した四大陸選手権は6日、女子ショートプログラム(SP)が行なわれ、前回王者の紀平梨花がただひとり80点台をマークする81.18点を出して首位発進した。SP自己ベストの83.97点には届かなかったが、ほぼ完璧な演技を披露して、演技後は遠慮ぎみのガッツポーズを見せた。



四大陸選手権SPで首位発進した紀平梨花

 武器とするトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をクリアに決めた。

「トリプルアクセルは公式練習ではもっといいイメージだったけど、6分間練習でしっかりした着氷が少なくて不安もあって、でも、しっかりと集中していいのが跳べてよかったです。今日はいちばんの感覚のジャンプじゃなかった。そこを集中して、フリーは(試合の)時間帯が違うので、リズムを合わせていって、いちばんいい状態を試合時間に作りたい。ノーミスが絶対。できることをやって、できないことはやらない判断をつけられたらいい。試合前の公式練習でしっかりと確認したいです」

 この日の紀平は、全日本選手権で着用した赤のコスチュームではなく、シーズン序盤に着ていた青のコスチュームで登場した。

 冒頭のトリプルアクセルはGOE(出来ばえ)加点で2.13点が出る会心の出来。これで波に乗ると、続く3回転フリップ+3回転トーループの連続ジャンプも難なく決めた。そして後半の単独ジャンプでは、シーズン序盤の左足首痛で回避していた3回転ルッツを組み込んで、トリプルアクセルに次ぐ難度の高いジャンプを久しぶりに成功させた。スピン、ステップもすべて最高評価のレベル4だった。

「前の試合から(日にちが)空いていましたけど、しっかり集中することができてジャンプは跳べました。でも、体の動きが微妙で、もう少しキレキレの状態にもっていきたかったから、今日の出来は85パーセントくらいかなと思います」

 満足することなく、さらなる上を目指す姿勢が垣間見えた。

 2位ブレイディ・テネル(アメリカ)との差は5.25点。それほどの差ではないが、フリーではトリプルアクセルを2本組み込む紀平にとって、逆転を恐れる必要はない。そのうえ、今大会では4回転サルコウの大技に挑み、成功させたいと思っている。

 公式練習ではこの習得したばかりの4回転サルコウをクリーンに跳べているが、トリプルアクセルのような安定感にはまだほど遠い状態だと言える。それでも、試合で跳ばなければ完成とは言えない。厳しい戦いが予想される世界選手権の前に、試合で決めておきたいところだ。

「その瞬間、日によって感覚が違っていたりとかがあるので、今すぐ(やると)はわからないけど、できるだけ4回転も入れていきたいです。『やる』とは言い切れないけど、やるつもりでイメージしながら(今日、明日の)練習に入れたいです。

 世界選手権までに4回転をできるだけ数多く試合でこなしたいという気持ちはすごくあるんですけど、やっぱりミスだけはしたくないという気持ちも強い。しっかりと自分の感覚がどこまでいい状態にはまっているかを確かめて、間違った行動はしないようにして、しっかりいい状態にもっていって挑戦できるように頑張ろうと思っています」

 フリーの目標は154.72点の自己ベストを更新すること。「自分の演技に集中」できれば、自ずと「優勝の2文字も見えてくるはず」と、自信を見せていた。