写真:水谷隼(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部

この夏に自身4度目の五輪を迎える水谷隼(30)が、メダル獲得に向け再始動した。

水谷の新年は毎年1月に行われる全日本選手権から始まるが、10度目の優勝を果たした昨年でシングルスは勇退したため、25日のTリーグが水谷の2020年シングルス初戦となった。

結果は吉村和弘(岡山リベッツ)にゲームカウント2-3で敗れたが、0-2の劣勢から2-2まで追いつき、先にマッチポイントを握るなど戦術の引き出しの多さで相手を追い込む水谷らしさを発揮した。

昨年から痛めている腰の状態については「12月のような卓球が出来ない状態ではなく、いつもの自分のプレー、卓球が普通に出来る状態に戻った」とキャリアの集大成と位置付ける夏の五輪に向け、調整が順調であることを明かした。

10月以来3ヶ月ぶりの出場となったTリーグについては「沢山の皆さんの前でプレー出来る喜びは常に感じている。自分自身やってて楽しいですし、Tリーグでプレーすることのやりがいをすごく感じる」と待望の国内トップリーグでのプレーを噛み締めた。

メダルを獲るか獲らないかで人生が変わる




写真:水谷隼(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部

一方で、長きに渡って卓球界をリードしてきた水谷ならではのメダルの重みと責任を感じているという。

「(五輪で)メダルを獲るか獲らないかで卓球界も自分の人生も、いろんな人の人生が変わる可能性があるのでその責任をすごく感じてますね。だからこそ自分の持っている力を全てぶつけてメダルのために全力尽くしたい。自分が悔い無いプレーというより、メダルのために這いつくばってプレーしたい」。

五輪までの過ごし方については「試合はまだまだ沢山ある。やっぱり大事なのはオリンピック前の大会で良い成績を残すことではなく、本番で最高のプレーをすることなんですよね。

今はまだまだ自分自身を成長させていく時期。いろんなことを試しながら、結果を求めるよりも今は貪欲に試合を楽しみながら自分のスキルを高めていって、本番で最高のプレーをしたい」。

丹羽孝希、張本智和がいるから自分のことに集中できる




写真:水谷隼(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部

7月の五輪開幕まで試合は続くが、特に大きな国際大会は3月の世界選手権釜山大会だ。Tリーグと同様、五輪代表の張本智和、丹羽孝希と団体戦を組んで戦う。

水谷は成長著しい後輩たちから刺激を受けているという。「卓球は個人戦なので、1人1人が自分が勝つんだという自覚を持たないといけない。一緒に生活して、今日も控室の彼らの様子や練習を見ていて、すごくこう頼りになるなぁというか、自分は自分のことを精一杯やりたいなぁという気持ちになりました。

張本は常に、お父さんと一生懸命動画見たりアドバイスや戦術的なことを話している。丹羽は練習相手とずーっとサーブレシーブなど細かいことを黙々とやっている。

自分の試合のためにベストを尽くしている。そういうのを見習って自分がいいプレーするためにしっかりした準備をしなきゃいけないと思いました」

普段、選手間であまり話すことは無いというが、互いの存在を肌で感じ、分かり合っているのだ。

メダルを獲るか獲らないかで球界の未来や他人の人生までもを左右する。そんな責任を背負ってプレーする水谷の両肩にかかるプレッシャーは、一般人には計り知れないが、間違いなく言えるのは張本智和、丹羽孝希という頼もしい後輩たちの存在が水谷を支えているということだ。

ロンドン、リオと2大会連続で団体戦無敗の五輪男の2020年が始まった。

取材・文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)