1月20日、明治大学情報コミュニケーション学部ジェンダーセンターと名古屋テレビ放送(株)の主催による映画『his』プレミア試写上映会とトークセッションイベントが開催された。多くの学生が詰めかけ、会場は大いに盛り上がった。ストーリー 宮沢氷…

 1月20日、明治大学情報コミュニケーション学部ジェンダーセンターと名古屋テレビ放送(株)の主催による映画『his』プレミア試写上映会とトークセッションイベントが開催された。多くの学生が詰めかけ、会場は大いに盛り上がった。

ストーリー

 宮沢氷魚さん演じる迅の前にかつて恋人だった藤原季節さん演じる渚が突然現れる。しかも渚は6歳の娘・空を連れていた。離婚協議中だという渚に押しかけられるような形で、3人の共同生活が始まる。

 この作品では8年ぶりに現れた渚を迅がどのように受け入れていくのかという恋愛ストーリー、親権を争う法廷劇や変化していく家族の形やシングルマザーが直面する現状がリアルに描かれている。そしてこの作品には悪役が存在せず、すべての人が社会の一員としてフラットに描かれる。マイノリティだからと何かを諦めてきた迅と渚、そして2人に関わった人たちが境界線を越えていく人間ドラマである。

 プレミア試写上映会には主演の宮沢さん、藤原さんがサプライズ登場し、会場を沸かせた。トークセッションでは学生時代にやるべきだったと思うことの質問に対し、『全力で楽しむこと』と宮沢さんはフリップで回答。「いざ社会人になると時間がないので、学生にしかできない時間使い方をしてほしい」と語った。藤原さんは『自分から好きになる』とフリップに書き、作品での好きなセリフと交えながら学生へのメッセージを送った。

 映画上映後には『his』の企画・脚本を手掛けたアサダアツシさん、ファッションモデル・タレントのIVANさん、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さん、宮沢さんの4名によるトークセッションが行われた。作品を見ての感想や多様性についての議論がなされ、学生たちは真剣な表情で登壇者の話に耳を傾けた。

[大西健太]

トークセッション最後のメッセージ

アサダさん

 僕らが作品を制作していて、こういう風に思ってほしいということはありませんが、ただ何かを考えるきっかけを与えられればうれしいです。映画を観て、どのようなことでもいいので、今までの考え方は違うな、今までやっていなかったことをやってみようと思ってくれることが1番です。

宮沢さん

 僕も多くの人に観ていただきたいです。何よりやっぱり自分を愛してほしいですし、僕も役作りを含めると1年半くらいこの作品と向き合ってきていますが、日々自分の考えが更新されていくことに気づいています。映画のパンフレットでコメントを書かせてもらっていますが、それを今見ると半年前の自分はこんなことを言っていたのかと思います。別に間違ってはいないですし、その時自分が感じたことを正直に書いていますが、読み返して見ると自分の変化を感じます。皆さんも自分の感じたことを信じて、どんどん変化していく自分を受け入れていただければと思います。今日はありがとうございました。

IVANさん

 当事者でない方も新しい角度からマイノリティと言われる人たちの恋愛物語を観ていただければなと思います。日々変わっていく自分や、少し違うのかなと思っている自分でも、それが自分なのだと愛していけるように、もっともっと自分のたくさんいいところを見つけて、生きていけたら毎日笑顔になれると思うので、無理せず毎日楽しく過ごしてください。周りのことは気にしないようにして、何かあったらおいしいものを食べてください。今日はありがとうございました。

松岡さん

 本当にこの映画のリアリティはいろいろな人に刺さると思っています。まだもしかしたら同性愛者のことを身近に感じていない人も日本には多いと思うので、いろいろな人に届けばうれしいと思います。この映画が違和感なく、何でもない面白くないような時代になれば、それは本当の意味で当たり前になると思っているので、本当にこういう時代が来ればと思います。この映画が爆発的に売れるといろいろな制作者が違う作品を作ろうとかなと言って、他のトランスジェンダーやレズビアンなどを扱ったいろいろな作品が出てきて、それが当たり前の社会につながるかなと思います。ぜひ皆さんで宣伝していきましょう。