私自身が試合に出ることなく、とにかく祈るしかなかった第5節は、eBASEBALLプロリーグに選手として参戦して最も長く感じた1日だった。そう感じさせてくれたのは3人のチームメイトの執念があったからこそだったと思う。 

 

レギュラーシーズン最後の対戦相手は第5節開始時点で首位に立っていたジャイアンツ。前節の3連勝でドラゴンズが勢いに乗っていたとはいえ、逆転でのCS進出には高い壁となる相手であった。 

第1試合を託したのはここまで未勝利の新井(プレイヤーネーム:みかん)選手。第3節での敗戦後、彼はそれまで「デジタル」の操作方法だったのを「アナログ」へのコンバートを決断した。実際の野球でいうなら、シーズン中に右打者が左打者に転向するようなものだろうか。とにかく茨の道ではあったが彼の練習時間を取るために、当初予定していた第4節の出場を変更して約1ヶ月空く第5節への出場することに決めた。 

結果的にこれが功を奏して、第4節は組み直したロースターで3連勝。コンバートして第5節に臨んだ新井(みかん)選手は初回のプロ初ホームランで奪った2点を守りきり、大きすぎるプロ初勝利を挙げた。「アナログ」転向後は何度も「デジタル」に戻そうと思ったそうだが、よくぞ耐えて短期間で仕上げてくれた。 

第2試合はここまで3勝2敗でチームを引っ張ってきたエース脇(みぞれん)選手が、打撃三冠王に近づいていたジャイアンツ舘野(てぃーの)選手を持ち味の繊細な投球術で無失点に抑えて引き分けに持ち込んでくれた。 

第3試合は”ひらめきの天才児”岡久(デジうち)選手の奇策がハマった。この試合、ジャイアンツはレジェンドOB選手で王貞治選手を起用することになっており、その王選手対策として編み出したのが、岡久(デジうち)選手自身が「岡久スペシャル」と名付けた継投策だった。 

先発は大野雄大選手だったが、3番の王選手に打順が回ったところで豪速球の持ち主のマルティネス選手にスイッチ。大野雄大選手はファーストに回して、以降は打者に応じて交互に継投する、かつて野村克也氏が阪神監督時代に見せた継投策を大一番で披露した。 

私がこの作戦で挑むことを知ったのはこの日の試合前の練習の時だった。ただ前節での彼のひらめきによるシフトが成功してからは、もう岡久(デジうち)選手のやることには口出ししないと決めていたので、彼のひらめきを信じて送り出した。 

第3試合も引き分けで1勝2分、自力でのCS進出こそ決められなかったが、3人の執念がカープとベイスターズの結果次第でのCS進出の可能性を残してくれた。ベイスターズが1勝でもすれば、ドラゴンズのCS進出がなくなるところだったが、プレッシャーに押されたのか2敗1分でドラゴンズの逆転CSが決まった。 

第3節で脇(みぞれん)選手が白星をあげてからの7試合は負けなしでCSへ滑り込むことができた。まだこの4人で戦うことができるというのが何よりも嬉しいし、もう一度私を戦いの舞台に上げてくれる3人には感謝しかない。 

私が事あるごとに涙を流してきたせいで、プロリーグをご覧いただいている方にはすっかりすぐ泣くイメージが定着してしまったようだ。こうなったら最後まで歓喜の涙を流し続けられるように、目の前の1戦1戦を4人で戦い抜いていく。 

文・菅原翔太(eBASEBALLプロリーグ2019シーズン中日ドラゴンズ代表選手・キャプテン)