令和初、オリンピックイヤーの選手権を制したのは、サッカー王国・静岡から彗星の如く埼スタに舞い降りた静岡学園だ。13日、第…

令和初、オリンピックイヤーの選手権を制したのは、サッカー王国・静岡から彗星の如く埼スタに舞い降りた静岡学園だ。

13日、第98回全国高校サッカー選手権・決勝が埼スタで行われ、静岡学園が青森山田に3ー2で勝利し、優勝をもぎ取った。

「加納は(試合前から)目がギラギラしていて、俺を使ってくれ!という意気込みを感じた」

指揮官が16時54分、試合後の記者会見で決勝点を決めた加納についてコメントしたように、令和初の選手権優勝校・静岡学園の今大会における大躍動に着目すべき点は多い。それは切り替えの速さである。相手の攻撃を恐れず、勇敢にゴールを目指し、貪欲にボールを奪い、走り続け、勝利を目指す。サッカー王国・静岡県の名にふさわしい、静岡学園の攻撃サッカーには賞賛の声も多い。

65分、記者席で試合を観戦していた古沼貞雄氏は呟いた。

「サッカーの一番面白いところ」

埼スタで決勝を見守る古沼氏

古沼氏は、矢板中央(栃木)でアドバイザーを務める重要人物だ。高校サッカーを知り尽くす、ベテランの言葉が深い。

選手権決勝の舞台・埼スタで90分、最後まで戦い続けた静岡学園の全員サッカーが頭角を表したシーンも振り返りたい。11分、青森山田の5番・藤原が先制すると、静岡学園は一気に切り替えへ。

前半23分過ぎまでボールを支配し、何度もチャンスを作ったが得点には繋がらず。そのまま26分、ゴール前で青森山田の果敢なボレーシュートを打ち込まれ、ヒヤリとさせられた場面も乗り越えながら前半を走り続けた。

そんな前半のロスタイムに、静学らしさが出る。5番中谷のシュートがゴールに叩き込まれると、埼スタが一気にどよめく。後半へ静学が反撃の狼煙を上げる。

61分、加納のシュートが同点弾へ。ここから試合は、静学ペースへ。85分、中谷の豪快ヘッドが決まると応援席は一斉にチャントの嵐。静岡学園は、そのまま優勝への階段を駆け上がった。

青森山田(青森)が2大会連続4度目、静岡学園(静岡)が24大会ぶり3度目の決勝の大舞台をそれぞれの個性をぶつけ合い、全力で戦い抜いた。

一方の青森山田は、選手権連覇を目指し安定したアグレッシブなサッカーで、高円宮杯からおよそ1ヶ月ぶりの埼スタで悔し涙を味わった。2失点こそ悔やまれるものの、90分を通じて攻守ともに安定したパスサッカーは決勝の大舞台でも発揮された。

青森山田は2000、2001年度の国見(長崎)以来となる連覇まで、あとひとつの勝利を目指したがあと一つを逃す。青森山田イレブンは笛が鳴った瞬間、一斉にピッチに倒れ込んだ。決してサッカーに適した環境では無い、雪深い練習環境を逆手に連覇を目指した青森山田とサッカー王国・静岡代表の静岡学園の一戦は、まさに令和初の死闘であった。

24年ぶりの栄冠を靜学イレブンが制した瞬間、埼玉スタジアム2002には大きな歓声が巻き起こり、高校サッカーの歴史に新たな名勝負が記録された。

かつて日本代表の指揮官を務めたイビチャ・オシム氏は、こんな例えで市原臨海競技場に集まったスポーツメディアを唸らせた。

「サッカーというスポーツは、ミスのスポーツだ。失点したチームは、大幅な切り替えが要求される、そんなスポーツである」

筆者の個人的な感想でおこがましいがまさに今、埼スタで静岡学園のプレーを解説しているように思えた。


文/スポーツブル 編集部
撮影/運動通信社
____

第98回全国高校サッカー選手権 決勝 

青森山田 2-3 静岡学園

得点者/11分 藤原(青森山田)33分武田(青森山田)45分+2分中谷(静岡学園)61分 加納(静岡学園)85分 中谷