文・写真=鈴木栄一

川崎ブレイブサンダースが逆転で準決勝へ

天皇杯の準々決勝、川崎ブレイブサンダースはアルバルク東京との激闘を69-66で制した。試合は第1クォーター、A東京が3ポイントシュート6本中5本成功を含むフィールドゴール12本中10本成功と驚異的な成功率により27-17と先手を取り、前半を7点リードで終える。

しかし後半に入ると、川崎は不発だった大黒柱ニック・ファジーカスが得点を重ね。そして、第2クォーターの8失点に続き第3クォーターも9失点と連続で1桁失点に抑える堅守を見せ、46-44とひっくり返す。

第4クォーターは序盤から僅差の白熱した展開が続く。それでも川崎の67-64で迎えた残り21秒からの川崎のオフェンスで、藤井祐眞がA東京のディフェンスをかいくぐってレイアップを成功させた。

「相手のフリースローの後のオフェンスでしたが、あそこでタイムアウトは取らないと言われていました。点差と時間から相手は間違いなくファウルゲームかトラップに来ます。ファウルをもらうことも考えていましたが、ゴール下が空いていたのでレイアップに行ったほうが良いと判断しました」

藤井がこう振り返った一撃が駄目押しとなり、川崎が難敵のA東京を撃破した。

「やるべきことをしっかり遂行できたのが一番」

この試合、29分半の出場で17得点3アシスト、ターンオーバー0と見事なプレーで勝利の立役者となった藤井は、最後まで激しいディフェンスを貫けたことが勝因と強調する。

「僕たちがやるべきことをしっかり遂行できたのが一番です。出だしの部分で相手にタフショットを決められ10点離されました。でもそこで下を向かずに、集中力を切らすことなくタフなディフェンスを最後まで続けて、ロースコアに抑えることができました」

川崎は3ポイントシュートが22本中3本成功のみと全く入らず。ただ、「チームとしてシュートタッチは良くなかったですが、ズレを作ってオープンのシュートは打てていました。前半は重くなった時間帯に単発なところも出ましたが、後半は相手がスイッチで守ってくることで生まれたミスマッチを突いてクマさん(熊谷尚也)でインサイドを攻めるなどバランス良く攻めることができました」と藤井が語るように、スタッツほど内容が悪かったわけではない。

その結果、しっかりシュートで終われたこともあってターンオーバーは7つに抑えることができた。ディフェンスと同じくオフェンスも苦しい時に集中力を保ち続けたことが、終盤で勝利を引き寄せる要因となった。

川崎はマティアス・カルファニ、篠山竜青の中心選手2人を故障で欠いて天皇杯ファイナルラウンドに臨んでいる。これによりリーグ屈指の選手層でプレータイムをシェアしていた起用法の変更を余儀なくされ、ニック・ファジーカスの39分出場を筆頭に、出場時間に偏りが出ており、台所事情が苦しいことは否めない。

それでも『2人がいないから負けた』とは絶対に見られたくない意地がある。藤井もそこは強く意識している。「竜青さん、マティー(カルファニ)が抜けたことで、相手チームにラッキーと思わせない。川崎は誰が出ても変わらないと思わせることができたら、ウチのバスケットができているということ。これが今日はできました」

ここ2シーズン、天皇杯やチャンピオンシップのビッグゲームで東の強豪に敗れてきた川崎だが、今日の勝利でまず一つその壁を破った。これを大きな弾みとし、チャンピオンまで一気に駆け上がることができるのか、川崎への注目度がより高まる逆転劇だった。