文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦

「優勝候補の筆頭ではないが、優勝を狙える」

川崎ブレイブサンダースは1月5日の富山グラウシーズ戦で56-88の大敗を喫した。連勝が16でストップしたところで、今日からの天皇杯ファイナルラウンドを迎える。

それでもチームの大黒柱、ニック・ファジーカスは「連勝がいつか止まるもの。天皇杯の前に止まってしまったけど、今はそのおかげでアルバルク東京との天皇杯ベスト8により集中できるとポジティブに考えている」と、気持ちの切り替えはしっかりできている。

富山戦は序盤から大差をつけられる展開となり、ファジーカスは第4クォーターに出場しなかったが、これも特に気にしていない。「プレータイムがいつもに比べてかなり少なかったけど、それは大きな問題ではない。60試合もあれば、中にはこういう試合もある。天皇杯の前にちょっと休むことができたと考えているよ」

しかし、川崎は年末になってマティアス・カルファニ、篠山竜青と主力選手が相次いで大ケガを負って戦線離脱。この影響がないとは、さすがのファジーカスも言い切れない。「2人はチームにとって大きな存在で、多くの時間プレーしていた。竜青はキャプテンだし、マティアスは僕たちの戦いを変えてくれた選手。彼らの穴を埋めるのは簡単なことじゃない」

たられば、を言ったらきりがないが、もしベストメンバーで臨むことができたら川崎は天皇杯で優勝候補の最右翼と言える充実ぶりだった。ファジーカスも「彼らの離脱で1カ月前とは違うチームになった。もう優勝候補の筆頭ではない」と影響の大きさを語る。

ただ、タイトルへの渇望は変わらない。「それでも優勝を狙えるチームだし、目の前の試合に集中していくだけ。僕たちは気負うことなく、アンダードックのマインドで臨むだけだ。実際、過去2年間は決勝にも進出できていないしね」

川崎のタイトル奪還へ、強い思い

今日の16時45分にA東京との準々決勝がティップオフとなる。ファジーカスは「リーグ連覇中で、勝ち方を知っている」と敬意を示すが、それでもポシティブな要素もあると考える。「アルバルクはハイスコアリングの試合を目指すのではなく、テンポは少しスローだ。これは僕たちにとっては助けになる。ロースコアになることは、僕たちにとっても良いことだ」

カルファニ、篠山の穴を埋めるためにどうするべきか。富山との連戦では辻直人がポイントガードの役割を担う時間帯もあった。辻とファジーカスはNBL時代からBリーグ初年度にかけて得点を量産したコンビだ。その後は辻にケガが相次ぐなど影を潜めているが、今こそ阿吽の呼吸による『ツジーカス』の復活が求められる。

そう問われたファジーカスは「辻とのツーメンゲームは良いアイデアだね」と笑顔を見せる。「以前はすごく機能していたし、トライしてみる価値はある。NBL時代の2人によるマジックが再び起こせるかもしれない」

東芝時代から数多くのタイトルを獲得してきた川崎だが、最後のタイトル獲得はNBLラストシーズン。オフに行ったチーム刷新が上手く行ったことで、どの選手も自信を取り戻しており、天皇杯に懸ける思いは強い。タイトル奪還にはファジーカスの攻守における獅子奮迅の活躍が不可欠。場合によってはフル出場も辞さないと言う彼は、誰よりも勝利に飢えている。