全国の大学生スケーターが一堂に会する全日本学生選手権(インカレ)。1月6日に行われた7、8級男子ショートプログラム(SP)と7、8級女子SPは全日本選手権(全日本)上位入賞者も集うハイレベルな舞台となった。早稲田大学の看板を背負って出場し…

 全国の大学生スケーターが一堂に会する全日本学生選手権(インカレ)。1月6日に行われた7、8級男子ショートプログラム(SP)と7、8級女子SPは全日本選手権(全日本)上位入賞者も集うハイレベルな舞台となった。早稲田大学の看板を背負って出場した石塚玲雄(スポ2=東京・駒場学園)は49.40で17位、永井優香(社3=東京・駒場学園)57.24点で6位。ともにフリースケーティング(FS)へ進出した。


持ち前の表現力で演じきった石塚

 「なかなかひとつにまとまらない」。SPの演技を終えた石塚の顔に笑顔はなかった。冒頭のダブルアクセルは「気持ちの迷いが出てしまった」こと、そしてよく滑るスケーティングがあだとなったか、加速したまま壁際まで近づきすぎてしまったことによりジャンプのタイミングが合わず、回転が抜けてしまった。しかし、続くトリプルトーループ―トリプルトーループの連続ジャンプは「迷いなく」立ち向かい、セカンドジャンプこそ回転不足となったものの、質の高いものを成功させた。改良を重ねたコンビネーションスピンは回転速度を保って音に合わせてポジションを転換する。最後のジャンプであるトリプルフリップは両足着氷に。演技後半でのミスには「滑り込みの足りなさが現れてしまった」と振り返った。なかなか調子が上がらず苦しい中での演技であったが、『ロシュフォールの恋人たち』のドラマティックな音楽に合わせたメリハリのある上半身の振付や丁寧な音の取り方、そして洗練されたスケーティングといった石塚の魅力は変わらず発揮されていた。FSの『ポエタ』は昨シーズンのインカレでも披露したプログラム。当時はジャンプでミスが重なり会心の演技とはならなかった。今シーズンも滑り込みの不足という不安は残るものの、雪辱を果たすため全力を尽くす。


美しい音楽と一体になって滑った永井

 世界選手権や四大陸選手権の代表選手も出場する7、8級女子。永井は最終グループ1番滑走で登場した。2週間前の全日本、SPではノーミスの演技を見せシーズンベストを更新した永井。『白夜を行く』の静かな音楽に乗って滑り出した。冒頭はトリプルトーループ―トリプルトーループを予定していたが、ファーストジャンプを降りたところでセカンドジャンプをダブルトーループに変更し、加点の付く出来栄えの連続ジャンプを降りた。6分間練習で重点的に確認したトリプルルッツもしっかり着氷。後半のダブルアクセルは音にぴったり合わせて余裕たっぷりに決めた。見せ場のステップでは伸びやかなスケーティングを発揮し連続ターンでリンクの短辺を縦断する。そして美しく儚い世界観を存分に表現し、リンクを永井の色に染めた。ラスト2つのスピンもポジションと速度を保ったまま回り切り、余韻たっぷりに演技を終えた。「かつて使用してきたプログラムの中でも上位に入るお気に入りの1曲」だというSPで、今回もミスなく質の高い演技を見せた永井。「最低限のまとめた演技ができたのは良かった」と振り返った。FSの『アディオス・ノニーノ』はしっとりとした、かつ情熱的なタンゴのプログラム。極寒の釧路を熱く燃やしてくれるだろう。

(記事 小出萌々香、写真 犬飼朋花)

結果

▽7、8女子SP


永井優香 6位 57.24点


▽7、8男子SP


石塚玲雄 17位 49.40点


コメント※永井選手には文面取材を行いました

石塚玲雄(スポ2=東京・駒場学園)

――きょうの演技を振り返っての感想をお願いします

色々と苦労していて、なかなかひとつにまとまらないなという感じでした。

――それぞれのジャンプを振り返っていかがでしたか

アクセルは少し直前に気持ちの迷いが出てしまったかなというのがあるのと、もう1つはフェンスの方に、壁際に近付き過ぎてしまったので、単純にそれで失敗したというかたちになってしまいました。3回転トーループ―3回転トーループは一切そういった気持ちの迷いもなく立ち向かっていけたジャンプだったので、セカンドジャンプの回転は足りなかったのですが、それでも気持ち的にはいい入りができたかなと思います。フリップに関しては、気持ち的にはすごく覚悟を持って跳びにいけたのですが、やっぱり後半のジャンプだったので滑り込みの足りなさが現れてしまったのか、ジャンプ入る前から重い感じがして体のキレもなかったので、それがそのままキレがないジャンプに繋がってしまったと感じました。

――ジャンプ以外についてはいかがでしたか

きょうはスピンに関しては回転速度は前よりはよかったかもしれないですが、コンビネーションスピンを一つ目に持ってきて、最後アップライトスピンを回る時にいつも回転の終わった後出る向きがわからなくなってしまうので、今回はそれを防ぐために上を向かなかったというのもあります。やっぱり後半がキツかったので余裕がなかったというのはありますし、夏に比べると「自分はなんでこんな調子が落ちてしまっているのだろう」という辛さもあるので、ここから頑張って上げていきたいです。

――インカレは2回目の出場となりましたが、どんな印象ですか

きょねんフリーがボロボロであまりいい演技をできていないので、まだあまり自分にとって会心の演技ができたということはまだないのですが、きょうはまだショートであすのフリーが残っているので、ちゃんと挽回して笑顔で終わりたいです。

――FSではどんな演技をしたいですか

フリーはそれこそあまり練習で滑り込めていないのでかなり不安もあるのですが、まずやっぱり今まで自分がしてきた練習を信じてあげて、思いっきり滑っていきたいですし、迷いをなくしてジャンプを跳びにいきたいので、調子が悪いなりにしっかりまとまった演技ができるよう頑張りたいです。

永井優香(社3=東京・駒場学園)

――きょうの演技を振り返っての感想をお願いします

最低限のまとめた演技ができたのは良かったです。ただ、全日本が終わってから今日のショートの演技に至るまでの練習の仕方が悪かったので、それが細かいミスに繋がってしまったな、と思いました。

――それぞれのジャンプを振り返っていかがでしたか

結果的には3つのジャンプ全てがGOEで問題ない出来だったかなと思うのですが、やはり3回転―3回転のコンビネーションを入れてミスのない演技がしたかったです。

――全日本を終えて、気持ちの面で何か変化はありましたか

全日本前の張り詰めた緊張みたいなものは、正直今の時点でないです。ただそれ以外は特に変化はなく、今後も目の前にある課題をコツコツ改善していければと思っています。

――ここまで滑ってきて、『白夜を行く』は永井選手にとってどんなプログラムになっていますか

滑り始めた当初は、静かな曲なので、ジャッジやお客さんにどう受け入れてもらえるか心配だったのですが、特に問題はなさそうだし、個人的にもかつて使用してきたプログラムの中でも上位に入るお気に入りの1曲になりました。

――あすのFSへ向けての意気込みをお願いします

いまできることを精一杯発揮できるよう、集中して頑張ります。