写真:水谷隼(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

リオ五輪シングルス銅メダリストの水谷隼(木下グループ)が、グランドファイナル男子シングルス1回戦でウーゴ・カルデラノ(ブラジル)にゲームカウント1-4で敗れた。この結果、水谷は2020年1月時点世界ランキングで日本男子3番手が確定し、東京五輪シングルス代表権を逃すこととなった。

「卓球をしているときが何より辛かった」




写真:水谷隼(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

1年に及ぶ東京五輪男子シングルスの代表争いが12月13日閉幕。張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソン)がその座を手にした。

11月末の男子ワールドカップで丹羽がベスト8に入り、2020年1月の世界ランキングポイントで張本に次ぐ2位に浮上。水谷はグランドファイナルでベスト4が代表権獲得の条件となっていた。

カルデラノとは、銅メダルを獲得したリオ五輪以来の対戦となったが「1つ1つのボールの威力があり、1本ドライブかけられたら自分が常に後手後手に回った」と1ゲームを奪うも敗戦。結果、水谷は東京五輪シングルス代表権を得ることはできなかったが「状況的には厳しかったので、気持ちの整理は結構前からできていた。まったく後悔はない」と気丈に前を向いた。

過酷を極めた代表選考レースについては「もうちょっといいパフォーマンスをしたかった。1年通して納得できる試合は1試合もなかった。試合の中でもいいパフォーマンス、いいボールを決めたという記憶がない」と振り返り、「卓球をしているときが何より辛かった」と心中を吐露した。

「目が悪くなってからは1回も楽しめない」




写真:T2ダイヤモンドではサングラスでプレーする姿も/撮影:ラリーズ編集部

2019年3月にRallysのインタビューで「実は、この1年、球が見えないんです」と明かした水谷。代表レースも目の不調との戦いだったと語る。

「目が悪くなってからは1回も(卓球を)楽しめない。卓球をしているときが何より辛い。自分がダメだと常に思ってしまう。自分自身を奮い立たせないといけないが、今までみたいな闘争心がでない。アスリートにとって一番大事なのは、闘争心や勝利への執念。そういうものが昔に比べてかなり欠如してきている」と目の不調によるメンタルへの影響を口にした。

そんな中でも戦い続けられたのは、ファンや家族の支えがあったからだという。「(支えてくれる人が)いなかったらリオでたぶんやめていた。それくらいファンのみなさんの応援というのは、自分の奥底にずっと響いてきた」と感謝の弁を述べる。

「まだ五輪に出場できる可能性はある。このままでは終わりたくない」




写真:水谷隼(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

思うようなプレーができないストレスやコンディションの不調を抱えながらも、ファンや家族の期待に応えるため水谷は前を向く。

「まだ五輪に出場できる可能性はあるので前向きに考えている。(五輪代表に)選ばれたらこのままでは終わりたくない」。

リオ五輪シングルス銅メダル、団体銀メダルと日本男子卓球界の歴史を創り上げてきた男は、最後までラケットを振り続ける。

文:ラリーズ編集部