日本プロ野球選手会は5日に定期大会を開き、「現役ドラフト」の20年シーズンからの導入をNPBに強く要望することを決議した。現役ドラフトとは、いわゆる飼い殺しとなっている選手の救済制度。同じ守備位置の選手が多いなどチーム事情で出場機会に恵ま…

 日本プロ野球選手会は5日に定期大会を開き、「現役ドラフト」の20年シーズンからの導入をNPBに強く要望することを決議した。現役ドラフトとは、いわゆる飼い殺しとなっている選手の救済制度。同じ守備位置の選手が多いなどチーム事情で出場機会に恵まれない選手を、他球団が獲得できるようにする。

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モデルはメジャーリーグの「ルール5ドラフト」

 

 モデルとなっているのはメジャーリーグの「ルール5ドラフト」である。ルール5ドラフトでは他球団のメジャー40人枠に入っていない選手を獲得できる。ただ獲得可能なのは、18歳以下で入団した選手なら5年以上、19歳以上で入団した選手なら4年以上在籍した選手に限る。

 例年12月のウインターミーティングで、最終日に実施される。ただ、獲得した選手は翌年のシーズン中、メジャー25人枠(20年からは26人に拡大)に入れておかなければならない。負傷者リスト(IL)に入れることは可能だが、傘下マイナーへ降格させる場合には、元所属球団へ返却しなければならない。獲得する際には移籍金10万ドル(約1100万円)が必要で、返却すると半額が戻ってくる。

 そうした縛りが厳しいこともあり、ルール5ドラフトで活躍する選手が次々と誕生することはなかなかない。著名な米記録サイト「ファングラフ」も6日付で「ルール5ドラフトから多くの成功者は出ていない」と題したコラムを掲載した。

 そのコラムでも触れられているが、数少ない成功例はある。

「ルール5ドラフト」で成功した選手は・・・

 最も有名なのはレンジャーズでMVPに輝いたジョシュ・ハミルトン外野手だろう。

 1999年のドラフト全体1位指名でデビルレイズに入団。だが、アルコールとコカインの依存症に苦しみ、2年間は野球から完全に離れるほどだった。復帰後、2006年のルール5ドラフトでカブスがデビルレイズから獲得。すぐにレッズへとトレードされた。こうしてトレードチップ(交換要員)に使われることが多いのも同ドラフトの特徴だ。

 2007年シーズン、ハミルトンはケガや胃の疾患に苦しみながらも、打率・292、19本塁打、47打点と大器の片鱗をのぞかせる。翌2008年にはレンジャーズへ移籍し、打率・304、32本塁打、130打点で打点王のタイトルを獲得。2010年は打率・359で首位打者に輝き、チームをリーグ優勝へと導いたことでア・リーグMVPも受賞した。

 その他にもツインズ、メッツなどでプレーした左腕ヨハン・サン。マーリンズやブレーブスで活躍した強打の二塁手のダン・アグラら、スター選手も確かに誕生してはいる。

 逸材を埋もれさせたままでは球界の損失ではある。だが、制度導入ですぐに日陰からスターが生まれるかというと、そう甘い話でもあるまい。メジャーリーグのような細かいルール、縛りを話し合い、見直していくことも必要だろう。まずは制度を走らせて、ルールの不備はその後に修正を重ねていく。「見切り発車」と言われても、早く一歩を踏み出すことが、より現状に合ったシステム構築への近道には映る。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。