グランプリファイナルのショートプログラムで6位発進となった紀平梨花

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル女子ショートプログラム(SP)。大会連覇を狙う紀平梨花はジャンプで失敗して得点は70.71点にとどまり、まさかの最下位発進となった。技術的なことが問題だったわけではなく、朝の練習から夜の試合までの待ち時間の過ごし方や時差ぼけなど、コンディション調整がうまくいかなかったと明かした。

「昼間にしっかり睡眠を取って体力を残しておかないといけなかったけど、それができずに夜になって疲れが出てしまったことが悪かった点だなと思っています。

 いつもだったら(時間がなくて)、用意とかをすごくパッパッとして、緊張する暇もなく、髪の毛とかメイクとかをやっていたんですけど、今日はかなり練習と試合の間に時間があって、夜の試合や朝の練習の復習のことをいろいろ考えたいと思って、ちょっと緊張してしまい、ほかにすることがないぶん、緊張に走ってしまった。目が覚めていて、ただ目をつむっていただけだったということで、睡眠で体力を温存しないとこれほど疲れるんだなと思いました」

 自らの調整の失敗が、試合本番でのジャンプミスにつながった。6分間練習ではそんなそぶりは見せなかったが、最初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の着氷がわずかに乱れた際に、体のコントロールがしっかりできていない様子がうかがえた。続けて跳んだ3回転フリップ+3回転トーループの連続ジャンプでは、2本目のジャンプを跳び終わった瞬間、転倒してしまう。転倒直後のスピンはレベル3にとどまったが、プログラム後半はしっかり気持ちを引き締めてまとめることができた。

 今季はシニアデビューしたロシアの若手3人がGPシリーズの6大会で1位を独占。その強さを見せつけられたこともあって、紀平は勝負に挑むためにジャンプ構成を組み替えようとしていた。失敗した連続ジャンプをプログラム後半に組み替えて、基礎点が1.1倍になる最後のジャンプにするつもりだったのだ。だが結局、失敗するリスクを考えて勝負はしなかった。挑戦をしなかったうえに、いつもどおりの構成で失敗してしまっては勝負にならない。

「濱田(美栄)先生からもフリーで4回転(サルコウ)を跳ぶなら、SPは今までどおりの構成にしたほうがいいんじゃないという声をかけてもらっていたので、(6日の)朝の練習前に決めました」

 時差ぼけ解消も不十分なまま試合当日を迎えたことで、体の動きは本来とは違って鈍かった。疲労など、自分の体調を把握できないまま、無理に体を動かしてしまったことが試合本番になって裏目に出た格好だ。

 SP首位のアリョーナ・コストルナヤとは14.74点差、2位のアリーナ・ザギトワとは8.89点差、3位のアンナ・シェルバコワとも7.56点差がついている。大会連覇の可能性はかなり低くなったが、表彰台の一角に立てる可能性はまだ残っている。フリーで武器とするトリプルアクセル2本を完璧に跳んだうえ、日本の女子としてシニア大会で初めて4回転サルコウを成功させることができれば、差をつめることは可能だ。

 7日のフリーは「しっかり切り替えて臨む」と気を引き締めていた紀平。「明日(7日)の朝の練習の調子により、4回転サルコウを入れるか入れないかを決めたいです。何とか巻き返したいなと思っています」と気合を入れ直した。