今年度最後の個人戦となる関東学生体重別選手権が、日本大学文理学部百周年記念館で行われた。早大からは男女5階級で8人の選手が出場し、笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)、芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)、長沼俊樹(スポ1=東京・保…

  今年度最後の個人戦となる関東学生体重別選手権が、日本大学文理学部百周年記念館で行われた。早大からは男女5階級で8人の選手が出場し、笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)、芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)、長沼俊樹(スポ1=東京・保善)の3人がベスト4に進出。不完全燃焼に終わった後期の雪辱を果たした。

 最初にベスト4入りを決めたのは-60キロ級に出場した笹野。ここまでの団体戦では突きのスピードに課題を抱え、得点力不足に苦しむ試合も多かった。しかし、この日の笹野は違った。きょうは上段突きを軸にした攻撃で試合の主導権を握り、着実に白星を積み上げて行く。準決勝では先取を奪われるも、鮮やかな上段回し蹴りで逆転に成功する。しかし残り5秒で相手の上段突きが決まり、同点となって試合終了。相手の先取勝ちとなり決勝に進むことはできなかったが、大学最後の個人戦で有終の美を飾った。


大学最後の個人戦に臨んだ笹野主将

 -67キロ級では芝本が昨年王者にあと一歩に迫った。準決勝までは安定した試合運びで勝ち進み、迎えた相手は帝京大のエース・長。この階級の前年覇者であり、優勝を狙う芝本にとって避けては通れない選手だ。序盤は相手リードの展開となるが、残り30秒を切ると芝本に流れが傾き始める。芝本は度重なる上段突きの撃ち合いで相手を上回り、一挙に4連続得点。これで2点差となり、このまま押し切るかと思われた。しかし残り0秒。試合終了目前で、長の上段裏回し蹴りが一閃。劇的な逆転に沸き立つ帝京大陣営の傍らで、芝本は呆然と立ち尽くした。

 「胸を張れ」。まさかの敗戦の後、コーチが真っ先にかけた言葉だ。優勝を目標に掲げていた芝本にとっては、悔しい結果となった。しかし、最後の最後まで王者を追い詰めたことも事実。「下を向かずに、前を向いてまた一からやって行きたい」(芝本)。この悔しさと手ごたえを糧に、来年はどんな活躍を見せてくれるのか注目だ。 


悔しい逆転負けを喫した芝本

 長沼も-84キロ級で厳しいブロックに入ったが「一つずつ勝とう」と心がけ、次々と強敵を撃破していく。山場となったのは3回戦。長沼はシード選手を相手に攻めの姿勢を貫き、相手に流れを渡さない。互いに無得点に終わるも4-0で判定勝ちとなり、勝利を決めた長沼からはガッツポーズが飛び出した。その後の準決勝では激しい撃ち合いの末に敗れたが、1年生ながら堂々のベスト4入りを果たした。


ベスト4という結果を残した長沼

 今年は台風の影響で開催時期がずれ込み、早慶戦の前日に行われた今大会。そのため選手はハードな日程の中で挑んだが、ベスト4が3人という成績は前回大会を大きく上回った。翌日の早慶戦は6-7で惜敗したが、今大会ではこの1年間の成長の軌跡を示したと言えるだろう。また両大会で思うように勝利を挙げられなかった選手も、来年こそはと雪辱に燃えているはずだ。鍛錬の冬を経て、一回り強くなった早大拳士が見られることを楽しみにしたい。

(記事 名倉由夏、写真 石黒暖乃、名倉由夏)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

▽男子-84キロ級

長沼 ベスト4

▽男子-67キロ級

芝本 ベスト4 吉田 3回戦敗退 土居 初戦敗退 野澤 3回戦敗退

▽男子-60キロ級

笹野 ベスト4

▽女子-55キロ級

土谷 2回戦敗退

▽女子-50キロ級

田部 初戦敗退

笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

一回目(の相手)が高校の後輩だったのですが、2つ下の子で。最初は少しやりづらいなというのがあったのですが、自分の組手で先取することができ、そこから落ち着いてできたので、自分の思った通りに試合を運ぶことができたなと思います。その流れで全部の試合もいい流れで来ることができたので、良かったです。

――全日本大学選手権(全日本)でお話を伺った時に、『あまり減量しない分、好調な状態で(今大会を)迎えられる』とおっしゃっていましたが、コンディションはいかがでしたか

やはり減量していない分、コンディションも良かったので、関東団体(関東大学選手権)、全日本とあまり調子が良くなかったのですが、そこからはだいぶ今やっと調子が戻ってきているので、明日ぶつけられるようにしたいと思います。

――また、前回『突きのスピードが以前より落ちてしまった』とおっしゃっていましたが、今大会ではいかがでしたか

2週間前と比較してもだいぶ連打や、突きの間のスピードは徹底して練習の時にやっていたのでだいぶ戻ってきたのではないかと思いました。

――最後に、あしたの早慶定期戦へのチームとして、そして個人としての意気込みをお願いします

チームとしてはもちろん勝利すること。とりあえず勝つ。絶対に負けられない戦いなので、チームとしては勝つということと、個人としては、正直接戦になると予想しているので、最後は自分が締める覚悟はできているので、あとは自分がきょうも調子が良かったですし、それを出すことができれば、とりあえず勝てると思います。

芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)

――最後の試合を振り返っていかがですか

もう悔しいですね、本当に。ああいう所で自分の甘さが出てしまうというのが1番良くないです。やはり勝たなければ意味はないので、どんな時でも勝ちをもぎ取るという強さが要るなと思いました。本当に悔しいです。

――順位だけ見れば昨年度のベスト16からジャンプアップしてのベスト4となりましたが

まあそうなのですが…狙っていたのは優勝しかなくて、負けたくなかったので…本当に悔しいです。下を向かずに、前を向いてまた1からやって行きたいと思います。

――今大会で得た課題や収穫はありますか

組手自体はそんなに悪いものではなかったと思うので、自信にしたいです。あとは残り時間とかC1・C2(反則)を試合中に整理しながら、冷静になって戦うということが必要かなと思いました。

――明日は早慶戦が控えていますが、早慶戦への意気込みをお願いします

早慶戦はもう勝利しか目標にしていないので、明日はがむしゃらに、何がなんでも絶対勝つという気持ちで行きたいと思います。

長沼俊樹(スポ1=東京・保善)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうは1回戦から結構相手が強くて、全員知っている相手だったので、優勝!優勝!という感じよりも一つずつ勝とうという気持ちで頑張っていこうかなと。その通りに進めることができたので、良かったなと思います。

――3回戦では全日本と同様に高校の同級生との対戦となりましたが、いかがでしたか

この前(全日本)では油断してしまったので、今回は一番集中して大きくならず、焦らずに。同期だからこそ集中するという気持ちで臨みました。

――明日の早慶定期戦への意気込みをお願いします

正直(きょう)優勝したかったので、悔しい気持ちがあります。この悔しさを早慶戦にぶつけたいと思います。