パワプロでは操作方法に「デジタル」と「アナログ」の2種類がある。「デジタル」はコントローラーのスティックを倒した方向にカーソルがとどまるが、速い球に対応しにくいデメリットがある。一方の「アナログ」はスティックを倒した方向や場所に直感的に動…

 パワプロでは操作方法に「デジタル」と「アナログ」の2種類がある。「デジタル」はコントローラーのスティックを倒した方向にカーソルがとどまるが、速い球に対応しにくいデメリットがある。一方の「アナログ」はスティックを倒した方向や場所に直感的に動かすことができるが、カーソルを狙ったところにとどめるにはスティックの倒し加減を自力で維持する必要がある。 

 となると「アナログ」操作の方が難しく聞こえるが、こちらの方が速球に対応ができるため、プロプレイヤーやプロに近い実力を持つほとんどのプレイヤーが「アナログ」で操作を行っている。「デジタル」操作では上位を維持するのは難しいというのが共通認識になっている。私と同じチームの岡久(デジうち)選手はそのプレイヤーネームのとおり「デジタル」操作でプレイしていたが、今の環境についていくのが難しいと「アナログ」操作に変えるほどだ。 

 また打撃時のカーソルも「ミート」と「強振」の2種類がある。「ミート」はカーソルが大きくボールに当てやすくなるが長打は出にくい。「強振」はカーソルが小さくなるかわりに芯で捉えれば長打が出やすくなる。状況に応じてこの2種類のカーソルを使い分けるのだが、多くのプレイヤーは1試合で強振を選択する割合が6割以上になっている。 

 「アナログ」操作で「強振」多用。このプレイスタイルが今の主流といってもいいだろう。この主流とは真逆の「デジタル」操作で「ミート」多用で今年のプロリーグに臨む選手がいる。 

 我らが中日ドラゴンズの新井(みかん)選手だ。 

 新井(みかん)選手はオンラインの対戦成績を見ても突出した成績を残している気配はないのだが、オフライン選考会では昨年プロリーグを経験した現楽天の高田(TKD)選手を破ってグループ1位通過。オフラインでの戦いに強いタイプの選手なのだろう。 

 そうは言ってもやはりネックになるのが「デジタル」操作というところ。同じ「デジタル」操作の阪神・辻(ベルガモット)選手もプロリーグでは苦戦を強いられている。新井(みかん)選手も同様に苦戦を強いられるだろうというのが大方の予想だったが、最近の練習では厳しいコースでもしっかり弾き返せる打撃を見せる場面がかなり多くなっていた。この感触なら間違いなく他のプレイヤーを驚かせられる。そう確信していたから、彼のデビュー戦が楽しみでしょうがなかった。 

 記念すべきデビュー戦は守備のミスなどが絡み、残念ながら6-8で敗戦。しかし5点差の最終回に連打を重ねて2点差まで詰め寄り、なおも2死1,2塁と一打同点の場面を作る猛攻を見せてくれた。最後は阪神・岸川(コタ)選手の操る陽川選手のファインプレーに阻まれてしまったが、「デジタル」操作で「ミート」多用の若きプレイヤーのデビュー戦は多くのプロプレイヤーに衝撃を与えたようだった。 

 そして彼の最終回の粘りは中日の選手にいい流れを呼び込んでくれた。続く2戦目の岡久(デジうち)選手は「新井(みかん)君がいい試合を見せてくれたので僕もいい試合をしようと思った」と初回に4点を先制し勝利すると、3戦目の脇(みぞれん)選手も「1戦目の新井(みかん)選手がいい流れを作ってくれた」と終盤のワンチャンスをものにし、中日はカード勝ち越しを決めた。 

 新井(みかん)選手の打率は5割、第2節を終えて首位打者になっている。岸川(コタ)選手は、6割を超えれば上出来と言われるナイスピッチ率をこの試合で69.7%と高い数値を残した。それを相手にして、不利と言われる「デジタル」操作での打率5割の数字を残したのはあっぱれだ。守備面では脆さを見せてしまったが、経験を重ねていけば改善されていく部分なので、私がしっかりとサポートしていけば彼のプロ初勝利はそう遠くないと思っている。 

 私と新井(みかん)選手は干支一回りくらい歳が離れているせいか、時々彼の保護者になっているような感覚になる時がある。だから”親バカ”のように聞こえるかもしれないが、彼がデビュー戦を戦い終えた今だからこそ声を大にして言いたい。 

 

どうだ、うちの新井選手、すごかっただろう!? 

 

文・菅原翔太(eBASEBALLプロリーグ2019シーズン中日ドラゴンズ代表選手・キャプテン) 

中日ドラゴンズ代表 左から私 新井選手 岡久選手 脇選手 開幕戦の控え室にて (c)Nippon Professional Baseball (c)Konami Digital Entertainment