「予選グループで各国のトップ選手たちと対峙して、世界で自分も戦えると感じました」

 W杯の激闘を終えてから、まだ間もない中で松島幸太朗の表情に疲れはなく、希望に満ちていた。

「一日、ゆっくり休んだらW杯の疲れはとれましたよ。自国開催、そしてホテル内での体調管理、気持ちのオンオフがしっかり出来ていた1カ月間でした。変わったことがあるとしたら、SNSのフォロワーが増えたことと、泊まっていたホテル内を歩くだけでかなり写真を撮られるようになったくらいです(笑)」

最も手応えを感じたトライは?

 

 
 いつも、どんな時も、誰に対しても語り口は変わらない。

 表情は柔和で、本当に先日まで激しき戦場で世界の猛者たちと身体をぶつけ合ってきたのだろうか?

 そんな疑問さえ抱くような落ち着きぶりだった。

 そんな松島に今大会の5トライの中で最も手応えを感じたトライはどのトライかを聞いてみた。

・合わせて読みたい→
ラグビー・松島幸太朗 特集(https://cocokara-next.com/feature_archive/kotaromatsushima-feature/)

「うーん、やっぱりサモア戦のゲーム終了間際のトライですかね。残り時間、相手の心境、ゲームの流れ、マークされている中で決めきれたトライ。あのチャンスを生かしきれたこと。身体がきっちりと反応出来たこと。信じ切ることができたからです」

 日本が世界に誇るトライゲッターたる所以を示してくれた松島のトライ。予選ではまさに個人としても世界と戦えると感じたトライだった。

「もちろんチャンスがあれば世界に出て勝負したい。本気の南アフリカはやはり強かった。研究もされていた。世界最高峰のラグビーだと感じた。4年前とは違う印象。予選の4チームとはまた違う迫力がありました。凄みを感じた選手を挙げると12番のデアリエンディと13番のクリエル。あんな選手たちと戦える環境にいたい。勝負したいという思いは強くなりました、正直」

今後は?東京五輪は?

 周囲に流されることなく常に挑戦を続けてきた26歳。

 南アフリカに敗退したことがラガーマンとしての熱き心に更なる火を点けたことは間違いない。

「東京五輪の7人制への挑戦は?」と聞くと、いつもの柔和な表情で、「まだ、そこまでは考えられていないですよ。でも日本での五輪ですからね。大事に考えたい。ただ、その前に年内に始まるサントリーの合宿ですね。頭の中は(笑)」

 現在の状況を松島幸太朗らしく冷静に語ってくれた激闘後の夜。

 私たちが期待する次なるステップ…世界への挑戦、そして東京五輪への挑戦。

 自分と向き合いチャレンジを続ける松島幸太朗の心の中には、その可能性も十分にあるように思えた夢のある激闘後の夜だった。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文:田中大貴]

田中 大貴 (たなか・だいき)

1980年4月28日、兵庫県小野市生まれの39歳。小野高では2年から4番で打線の主軸を担った。巨人・高橋由伸監督にあこがれてか慶應義塾大学 へ。4年春に3本塁打でタイトルを獲得。フジテレビ入社後は主に報道・情報番組とスポーツを担当。「とくダネ!」「すぽると!」ではバンクーバー五輪、第2回WBC、北京五輪野球アジア予選、リオ五輪キャスターなど様々なスポーツイベントを現地からリポートした。