8月27日に開幕する社会人アメリカンフットボールXリーグ。今季はリーグ戦の仕組みをダイナミックに変更し、前年度成績を基に実力が拮抗したチーム同士の対戦を増やした新システムを採用するシーズンとして注目を集めている。

 『NFA式リーグ戦』と名付けられた新リーグ戦方式は、イースト、セントラル、ウエストの各ディビジョン上位3チーム(計9チーム)による『Super9』と、下位3チーム(計9チーム)による『Battle9』の2グループに分け、それぞれリーグ戦6試合を行う。序盤3戦はディビジョン内の対戦(1試合は『Super9』と『Battle9』のインターグループ戦)、4〜6節は他ディビジョンの同一順位チーム戦を含む3試合を行い、グループ順位を決定。『Super9』の1〜6位および、『Super9』7、8位と『Battle9』1、2位によるワイルドカードを勝ち抜いた2チームを合わせた計8チームが、12月12日に開催される第30回日本社会人選手権決勝ジャパンエックスボウル(以下JXB)進出を争うプレーオフ『JXBトーナメント』に進出する。

 この改変によってこれまでリーグ終盤戦のカードだった強豪同士の対戦が開幕から組まれることになった。

 

ノジマ相模原の米国名門ホットライン対オービック日本代表DB陣

 

 第1節で最も注目されているのは、セントラルディビジョンのノジマ相模原ライズ対オービックシーガルズの一戦だ。

 昨季の対戦は、同点延長タイブレーク戦の末にノジマ相模原が対オービック戦初勝利を挙げた(20対17)という因縁の対決。さらに、ノジマ相模原が米国カレッジの名門、ミシガン大出身のQBデヴィン・ガードナーとWRジェレミー・ギャロンを獲得したことで、一気に注目度が高まった。ガードナーは2013年にミシガン大の先発QBとして活躍。インディアナ大戦では歴代1位となる一試合パス獲得ヤード(503ヤード)を投げた実力者だ。ちなみに同年第2戦のノートルダム大戦から着用している98番は、1940年にミシガン大初のハイズマン賞(全米最優秀選手)を受賞したHBトム・ハーモンが着用して以降、永久欠番となっていた特別な番号だ。

 WRギャロンは2013年にチーム内で最多のパス捕球をしたガードナーのメインターゲット。2014年のNFLドラフトでは7巡244位でニューイングランド・ペイトリオッツに指名された。(ドラフト指名はあったものの契約に至らずNFLではプレーしていない。)

XリーグでNFLドラフト選手がプレーするのは初のことになる。

 対するオービックは2010〜2013年に前人未到の日本選手権ライスボウル4連覇を達成したXリーグ屈指の強豪チーム。ガードナー&ギャロンのミシガン大ホットラインに挑むのは、CB藤本将司、SF三宅剛司(ともに立命館大)、砂川敬三郎(関西大)の日本代表を擁するDB陣だ。

 ノジマ相模原の米国名門カレッジホットライン対オービックの日本代表DB陣。互いのプライドを懸けた攻防になりそうだ。

 

QBキャメロン率いる富士通ハイパー攻撃に守備力強化の春季王者IBMが挑む

 

 イーストディビジョンは富士通フロンティアーズ対IBMビッグブルーの2014年JXB再戦が実現。当時は富士通に軍配が上がったが、IBMは今春のパールボウルで創部40年目にして初優勝を飾り勢いに乗っている。今季は第2回大学世界選手権日本代表LBコグラン・ケビン(早稲田大)、ネバダ大で2年時から先発を務めた新米国人DLイェイツ・ライキームの加入など、課題だった守備の補強に力を入れた。ルイジアナ工科大4年時に全米カレッジ最優秀パッサーに贈られる『サミー・ボウ賞』を受賞し、Xリーグでも過去2年、爆発的な攻撃を展開したQBコービー・キャメロンを筆頭に、Xリーグ随一の得点力を持つ富士通攻撃に対して、IBMが守備強化の成果を発揮できるかが勝敗の行方を左右しそうだ。

 

パナソニックの先発QBは誰だ?アサヒ飲料の実力派ノーネーム新人

 

 ウエストディビジョンは、昨ライスボウル王者パナソニックインパルスとアサヒ飲料クラブチャレンジャーズが開幕から激突。1998年に当時、ウエストディビジョンの『絶対王者』として君臨していたパナソニック(※当時は松下電工)に対してアサヒ飲料が初勝利を挙げて以来、互いに認めるライバル関係にある両雄。共に相手の戦い方を熟知しているだけに、選手層などの戦力だけでは推し量れない戦いが期待できる。昨年の対戦はパナソニックが14対7で勝利したが、アサヒ飲料の終盤の追い上げをしいだ末の辛勝だった。

 今季のパナソニックは引退を撤回して5月からチームに合流した昨リーグMVP・QB高田鉄男(立命館大)と、長年高田の控えを務めてきた大原隆史(神戸大)、大学世界選手権日本代表の新人QB石内卓也(関西大)の3QBの内、誰が先発として攻撃を指揮するのか? アサヒ飲料は、北陸学生リーグで圧倒的な走力を発揮し、福井県立大を地区3連覇に牽引した新人RB安藤賢司、アリゾナ州立大出身のTEダーウィーン・ロジャース、ライス大で38試合連続先発出場経験のあるSFポール・ポーラスら、パナソニックの戦力分析データにない実力派新人たちがキーパーソンになりそうだ。

 

■第1節注目カード

8月28日(日)      15:30           ノジマ相模原ライズ×オービックシーガルズ    富士通スタジアム川崎

8月28日(日)      18:00           富士通フロンティアーズ×IBMビッグブルー   富士通スタジアム川崎

8月28日(日)      18:00           パナソニックインパルス×アサヒ飲料クラブチャレンジャーズ        EXPO FLASH FIELD

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