秋の中山、阪神開催では、今後の大舞台に向けての前哨戦が真っ盛り。9月22日には、GIIオールカマー(中山・芝2200m)が行なわれる。 秋の始動戦として定着している重賞とあって、例年トップホースがこぞって参戦している。今年も出走メンバ…

 秋の中山、阪神開催では、今後の大舞台に向けての前哨戦が真っ盛り。9月22日には、GIIオールカマー(中山・芝2200m)が行なわれる。

 秋の始動戦として定着している重賞とあって、例年トップホースがこぞって参戦している。今年も出走メンバーには、海外GIのクイーンエリザベス2世C(4月28日/香港・芝2000m)を制したウインブライト(牡5歳)をはじめ、一昨年のダービー馬で、昨年のGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)の覇者であるレイデオロ(牡5歳)、GI常連馬で、前走のGIII七夕賞(7月7日/福島・芝2000m)でおよそ2年ぶりの勝利を飾ったミッキースワロー(牡5歳)ら、実力馬が名を連ねた。

 こうして好メンバーが集結するからか、過去の結果を見てみると、比較的堅い決着が多い。過去10年で、1~3番人気が7勝を挙げており、1番人気に至っては、馬券圏内(3着以内)を外したのは2度だけ。そのため、3連単で10万円を超えるような高配当が生まれたのは、わずか1回しかない。

 とはいえ、そうやって波乱となった年も1度はあり、他にも伏兵の台頭によって好配当が生まれたことは何度かある。ならば、上位人気馬を押さえつつ、穴狙いに徹することは悪くない。そこで、過去の10年の結果を参考にして、今年のレースで激走しそうな穴馬を探し出してみたい。

 まず面白そうなのは、年明けにオープン入りを果たした”上がり馬”である。

 2013年に9番人気で金星を挙げたヴェルデグリーンがいい例だ。同馬は、その年の初めに500万下(現1勝クラス)を勝ち上がると、以降、3連勝を飾ってオープン入り。続く初の重賞挑戦となったGIII新潟大賞典(新潟・芝2000m)でこそ10着に敗れたが、人気を落としたオールカマーでは見事な巻き返しを遂げた。

 その他、2014年に12番人気で3着に突っ込んできたクリールカイザー、2016年に6番人気で3着に入ったツクバアズマオーも同様のタイプだ。クリールカイザーは、前年の降級から年が明けた4月に再度オープン入り。その後、オープン特別で4着と健闘したあと、この舞台でも3着と好走した。

 ツクバアズマオーも、その年の1月に1000万下(現2勝クラス)、4月に1600万下(現3勝クラス)を勝ってオープン入り。以降、夏場のオープン特別や重賞などで善戦を繰り返して、有力馬が集うここでも3着と奮闘した。

 今年も、これらと似たタイプがいる。クレッシェンドラヴ(牡5歳)だ。

 同馬は、今年3月に1600万下を勝ってオープン入り。そのあとも、オープン特別の福島民報杯(4月14日/福島・芝2000m)、続く七夕賞と、連続2着の好結果を残した。冒頭に触れた重賞常連馬たちに人気が集中するようなら、逆転候補として面白い1頭と言えるのではないだろうか。

 次にフォーカスしたいのは、4歳馬。なかでも、前年の3歳クラシック前哨戦で連対(2着以内)するような実力がありながら、その後の重賞戦線で苦戦が続いている馬だ。

 この例で挙げられるのは、2011年に6番人気で2着に入ったゲシュタルトと、翌2012年に6番人気で3着となったユニバーサルバンク。前者は、3歳時にGIIスプリングS(中山・芝1800m)で2着となり、GII京都新聞杯(京都・芝2200m)を勝っていた。後者も、3歳時にGIII共同通信杯(東京・芝1800m)と京都新聞杯で2着と好走していた。

 しかし、いずれもその後は重賞で勝ち負けを演じることはなかった。おかげで、ここでも伏兵扱いにとどまったが、レースではその低評価に反発する激走を披露。重賞でも戦える力があることをあらためて示した。

 今年のメンバーの中にも、これらとそっくりな馬がいた。ゴーフォザサミット(牡4歳)である。



オールカマーでの大駆けが期待されるゴーフォザサミット

 同馬は昨年、ダービートライアルのGII青葉賞(東京・芝2400m)を快勝した。だが以降は、重賞戦線で厳しい戦いが続いており、目立った成績は残せていない。前走のGII札幌記念(8月18日/札幌・芝2000m)でも10着に敗れている。

 それでも、昨年勝った青葉賞では「最強の1勝馬」と言われるエタリオウを寄せつけず、重賞で勝ち負けできる力があることはたしか。2走前のGII目黒記念(5月26日/東京・芝2500m)でも4着と健闘しており、過去の例からしてもここでの大駆けがあってもおかしくない。

 最後に注目したいのは、重賞実績がありながら、近走の不振や休み明けのローテーションが嫌われて人気を落としそうな馬だ。

 たとえば、2010年に5番人気で勝ったシンゲン。同馬は重賞2勝を誇っていたが、およそ11カ月の休み明けだったことが嫌われた格好だ。

 2015年に7番人気で3着に食い込んだミトラも、約6カ月の休み明けだった。そのため、重賞1勝の他、重賞戦線でコンスタントに結果を残していながら、伏兵馬の域を出なかった。

 2017年に5番人気で勝利したルージュバックは、直近のレースで不振にあえいでいた。前走のGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)でも10着に敗れていて、牡馬相手の重賞で3勝という実績がありながら、低評価にとどまった。

 今回、これらに似たような存在がいないか探してみると、1頭の馬に目が止まった。スティッフェリオ(牡5歳)だ。

 昨秋のGIII福島記念(福島・芝2000m)、今春のGIII小倉大賞典(2月17日/小倉・芝1800m)と、重賞2連勝を飾った同馬。しかしその後は、GI大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)、GI宝塚記念(6月23日/阪神・芝2200m)と、ともに7着に終わっている。その分、今回も上位人気になることはなさそうだが、過去の傾向から、ここでの逆襲があっても不思議ではない。

 出走馬10頭という少頭数の戦いゆえ、「堅い決着になる」という見方が一段と増している。ただし、有力馬が目指す舞台はこの先。余力を残して仕上げてくることも十分に考えられる。とすれば、ここに挙げた馬たちにも、付け入るチャンスがあるかもしれない。