今年の投手陣を支える二人の左腕がいる。投手リーダーとエース、上條哲聖(商4=東京・早実)と早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)だ。昨年までリーグ戦登板機会のなかった上條は今春、4年目にして念願のデビューを果たすと、慶大2回戦では重苦しい雰…

 今年の投手陣を支える二人の左腕がいる。投手リーダーとエース、上條哲聖(商4=東京・早実)と早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)だ。昨年までリーグ戦登板機会のなかった上條は今春、4年目にして念願のデビューを果たすと、慶大2回戦では重苦しい雰囲気が垂れ込めるなか堂々たる投球を見せつけた。また投手陣の長としても練習から常に背中で引っ張る姿勢を貫いている。一方の早川は今春、昨年までの大黒柱・小島和哉(平31スポ卒=現千葉ロッテマリーンズ)が抜け、先発としての一本立ちが求められるなか3勝を挙げ防御率は2点台。次シーズンにつながる成績を残した。誰もが認める早大投手陣の『中枢』。今回はそんな二人に様々なお話を伺った。

※この取材は9月8日に行われたものです。

『勝てる投手』


今春の立大1回戦、ピンチを切り抜けガッツポーズする早川

――まず上條選手はあす9日が22歳のお誕生日ですね

一同 おめでとうございます!

上條 ありがとうございます!

――抱負をお願いします

上條 自分はもう大学野球生活ラストシーズンなので、チームが優勝して日本一になること、そしてそこに個人としても貢献できたらいいなと思っています。

――22歳としての意気込みはありますか

上條 今年が大学四年間最後の年で、来年は社会に出ます。なので野球の面でも人としても成長できたらいいなと。

――上條選手は先日まで高麗遠征に行かれていました。思い出話はありますか

上條 自分は去年のゼミ合宿でも韓国に行ったんですけれども、高麗大の選手とレセプションの時に話したりとかして。個人的に韓国には思い入れがあったので、すごく楽しかったですね。

――球審が試合開始に間に合わなかったと伺いました

上條 そうなんですよ(笑)。審判の方が交通渋滞に巻き込まれたか何かでプレーボールに間に合わなくて。二塁審判がストライクボールのジャッチをするという、まさかの1審制で(笑)。

早川 それは新しいな(笑)。

――早川選手は侍ジャパン大学日本代表としてチームを離れる時期もありました

早川 自分はもう侍ジャパンというよりかは、この夏のオープン戦で全くいい結果が残せなかったので、そっちの方が思い出に残ってしまいましたね…(苦笑い)。

――全早慶戦では郡司裕也主将(4年)に適時二塁打を浴びました

早川 郡司さんには試合前にいろいろと話していて。「初球スライダーで入るんで絶対打たないでくださいよ」って話していたんですよ(笑)。

一同 (笑)。

早川 「んじゃその後真っすぐ勝負でしょ?」って言われて、「じゃあそうしましょ」ってなったので最終的に真っすぐ投げたんですけど、インコースに投げようとしたのが真ん中に入ってしまったので打たれてしまいました。でも(内角に)決まったら打ち取れていましたね(笑)。

――ここからは本題に。まずは今春をざっくりと振り返ってください

上條 優勝目指してやってきた中で3位に終わってしまって、そこは残念でした。ただ投手力としては、チーム防御率がすごくいい結果(2.33はリーグ2位)だったので、投手リーダーという肩書がある中では良かったなと思います。個人としては試合に出た時にしっかりと抑えることができたので、少しは貢献できたのかなと思います。

早川 大学入ってから初めて第1先発として1シーズンを投げ切って自信につながったんですけど、その中で『一球の重み』をすごく感じました。自分や西垣(雅矢、スポ2=兵庫・報徳学園)といった先発陣が降板した後に柴田(迅、社3=東京・早大学院)が逆転ホームラン打たれたりとか、徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)が決勝タイムリー打たれたりなどと。「あとアウト1個のところで」という場面があったので、そういうときには「いかに次に投げるピッチャーに情報を伝達できるか」だと思いました。そういうコミュニケーションの重要性に気付かされた春のシーズンでしたね。

――慶大3回戦でも決勝点となったのが、甘く入ったスライダーをはじき返された適時打でした

早川 (打たれたのは)下山(悠介、1年)にですね。あそこもやっぱり(捕手の)小藤さん(翼副将、スポ4=東京・日大三)とあまりコミュニケーションがとれていなくて。下山が真っすぐに全然タイミングが合っていない中で、スライダーを要求されて、自分もそこでうなずいてしまったので。スライダーを使うにしても、あそこは一度間を取ったり、何回か首を振って(打者を迷わせて)から投げるべきでしたね。

――上條選手は今春の東大2回戦が念願のリーグ戦初登板でした

上條 緊張はしなかったのでマウンドでは楽しめたのかなと思います。あとはマウンドに向かう時に声援がすごく大きく聞こえました。自分は(応援部の)リーダーの4年生と仲がいいので、個人的な思いがあったというか。「応援の力ってすごいんだな」と一つ感じましたね。

――慶大2回戦でもマウンドに上がりました

上條 やっぱり早慶戦を目標にして大学野球を始めたので、一つの大きな目標を達成できたなと感じた一方、他の試合よりも応援がすごくて。負けた試合だったんですけど、投げているあの瞬間はすごく楽しかったです。

――慶大の押せ押せムードの中での登板だったと思いますが、相手の応援は気になりませんでしたか

上條 自分は左ピッチャーなので、セットポジションに入ったら(慶大応援席は)背中側で、よく聞こえてくるのは仲間の応援だったので気にならなかったです。

――先ほどもうかがいましたが、早川選手は第1先発として1シ-ズンを投げ切りました。技術面で得られた成果はありますか