文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦代表の仲間たちに「やる気がまず違う」と好感触今日から『JAPAN MADNESS』と銘打ったバスケットボール日本代表の国際強化試合が行われる。男子日本代表にとって、明後日の非公開試合も含めた一連の強化試合は、8…

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

代表の仲間たちに「やる気がまず違う」と好感触

今日から『JAPAN MADNESS』と銘打ったバスケットボール日本代表の国際強化試合が行われる。男子日本代表にとって、明後日の非公開試合も含めた一連の強化試合は、8月31日に開幕するワールドカップに向けたチーム強化の総仕上げという位置付け。初戦となる今日は男子日本代表が千葉ポートアリーナにニュージーランド代表を迎え撃つ。

このワールドカップ出場権を懸けた予選を戦ううちに、ニック・ファジーカスの帰化による代表入り、渡邊雄太がNBAプレーヤーとなり、日本代表の大きなレベルアップに繋がった。その中でも決定打と言うべきが八村塁の存在だ。予選スタートから4連敗と早々に崖っぷちに追い込まれた昨年6月のオーストラリア戦、ゴンザガ大の主力として活躍したことで自信をつけた八村が合流。A代表デビューとなったこの試合で24得点7リバウンドを記録し、『アジア1強』のオーストラリアを79-78で撃破する大金星の立役者となった。

そこから日本代表は2次予選も含めて8連勝でワールドカップの出場権をもぎ取った。八村はゴンザガ大でのプレーを優先して、予選では結局4試合の出場に留まったが、大学バスケでのラストシーズンも充実させ、NBAドラフト1巡目9位でウィザーズに加入するに至った。オーストラリアを破った約1年前より、あらゆる面で成長しているのが今の八村だ。

その八村が、今回チームに合流して練習を重ねる中で、チームメートの成長を感じている。「代表選手は先輩ですが、やる気がまず違うと感じます。モチベーションもすごくあって、僕が前にいた時よりも全然やる感じです。僕もそういう中だとやりやすいし、練習の中で年齢に関係なく戦えているので、チームとしてはすごく良いことです。練習で僕も立ち向かっていくし、先輩たちも負けないように来るので、やっていてすごく楽しいです」

「リバウンドでどれだけ勝つかが勝敗にかかわる」

今回の『JAPAN MADNESS』での試合はすべて本番想定。ワールドカップで勝つためのスタイルを探り、必要に応じて軌道修正をしてチーム力を総合的に高めていくことになる。その中で日本代表が勝つためのポイントになるのはどこか。八村は「リバウンドになる」と即答する。

「リバウンドはオフェンスとリバウンドが繋がる部分なので、そこでどれだけ勝つかが僕らの勝敗にかかわります。僕らの身長も世界と比べても結構大きくなってきて、そういうラインナップもできるチームになっています。そういうところでリバウンドでは負けられないという意地、プライドがある感じなので、そこで負けてはいけないと思っています」

ファジーカス、渡邊、そして八村が揃うラインナップは、日本代表が世界と渡り合う上で重要な強みとなるべきもの。その点では八村も強い自信を持っている。「僕ら3人で組むラインナップは、世界のどこもあまりできないものだと思います。そういったところが日本のバスケの強みになって、ディフェンス力もオフェンス力も上がってくると思います」

オフェンスでは特にファジーカスと八村のコンビネーションに期待したいところ。「去年もやっているので、インサイドのコンビネーションもニックがどうやりたいのか、ニックが僕をどうしたいのかも分かってきています。それは練習でもやっていますし、今回の強化試合でも生かしたいと思います」と八村は言う。

国際試合は特に、ベンチも含めたチーム全員で戦う総力戦となる。それでも、どんなチームであっても攻守の核となるエースや、強力なユニットの存在は欠かせない。八村にはその責任を負うだけの覚悟が十分にある。日本バスケを変える原動力として、八村には大いに期待したい。