6月1日、元号を令和に変えて初となる早慶戦が2万9000人の観衆の前で行われ、早大が慶大を3対2で下し先勝した。慶大は柳町達(4年・慶応義塾)がリーグ戦通算100安打を達成したが、チームの勝利には結びつかなかった。 半年がかりの計画を瀧澤…

 6月1日、元号を令和に変えて初となる早慶戦が2万9000人の観衆の前で行われ、早大が慶大を3対2で下し先勝した。慶大は柳町達(4年・慶応義塾)がリーグ戦通算100安打を達成したが、チームの勝利には結びつかなかった。

 半年がかりの計画を瀧澤虎太朗(3年・山梨学院)が見事に遂行して勝利に貢献した。4回一死二、三塁の場面、チーム初安打を放ち三塁に進んでいた瀧澤は、慶大の左腕・高橋佑樹(4年・川越東)が5球目の投球動作に入る前に走者と本塁に背を向けて汗を拭っている隙を突き本塁に突入。高橋が本塁に投げることさえできないほどの完璧なタイミングで果敢な走塁を決めて見せた。
実はこの本盗、高橋が「捕手からの返球の後、ロジンバッグ(滑り止め)を2、3秒触るクセがあったので」と昨秋から狙っていたものだった。ただ昨秋の対戦時は三塁に進む機会が無かった。
それでも今春のリーグ戦を見てもその癖は変わらなかったため、この日の試合前、小宮山悟監督に「ホームスチール(本盗)を狙っていいですか?」と相談。小宮山監督も「相手の隙があるならどんどん行っていい」と背中を押した。この本盗成功には小宮山監督には手を叩いて喜び、試合後も「よくやりました」と称賛した。
さらに瀧澤は、8回には慶大3番手の高橋亮吾(4年・慶應義塾湘南藤沢)の甘く入ったスライダーをバックスクリーン脇のスタンドまで運ぶ決勝のソロ本塁打を放つなど大活躍。2年前の春は腰の怪我で電話番をしながら観ていた早慶戦の舞台でその野球センスを存分に発揮した。

 

昨秋に打率.234と低調に終わった悔しさを糧にこの冬振り込んできた瀧澤。今日はその足とバットでチームに勝利を運んだ

 

■早稲田大vs慶應義塾大1回戦
早大 000101010=3
慶大 001000100=2
【早】早川、○今西、徳山-小藤
【慶】高橋佑、津留崎、●高橋亮-郡司
本塁打:早大・福岡(6回ソロ)瀧澤(8回ソロ)

 

満塁のピンチで登板し、2回3分の1を無安打に抑えた今西拓弥(3年・広陵)。5月20日の法大戦で連続押し出しを与えてしまっていた分、小宮山監督は「(起用のタイミングとして)満塁の場面を待っていたところもある。ようやくこちらのイメージ通りの投球ができるようになってきました」と評価した

 

2万9千人の大観衆が集まった

 

文・写真=高木遊