ユベントスは過去に2度、欧州王者の座に就いている。ミシェル・プラティニを擁した1984-85シーズンと、アヤックス…
ユベントスは過去に2度、欧州王者の座に就いている。ミシェル・プラティニを擁した1984-85シーズンと、アヤックスに延長、PK戦の末に勝った1995-96シーズンだ。
一方、決勝で敗れ準優勝に泣いた回数は7度。これはベンフィカ・リスボンの5回を上回る最多の数になる。
決勝戦で最後に敗れたのは、カーディフで行なわれた2016-17シーズンで、相手はレアル・マドリードだった。前半を1-1で折り返しながら、終わってみれば1-4。ユベントスは無残な大敗劇を強いられていた。
今季は、その2シーズン前の決勝で2ゴールを奪取されたクリスティアーノ・ロナウドを獲得。ユベントスは当時の敵方の大将を味方にして戦っている。
一方、レアル・マドリードは先週、アヤックスにまさかの敗退を喫した。チャンピオンズリーグ(CL)4連覇という60年ぶりの大記録達成を逃すことになった。だが、この4連覇の夢は、ロナウドという個人からは消えていない。

アトレティコ・マドリード戦でハットトリックを決めたクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)
決勝トーナメント1回戦。ロナウド率いるユベントスは、アトレティコ・マドリードとの第1戦を0-2の敗戦で折り返していた。セットプレーから2ゴールを奪われ、圧倒的に不利な立場でホーム戦を迎えることになった。逆転の目は、確率的にせいぜい2割といったところだろう。
そのけっして高くない可能性が、結果的に奏功したような気がする。ユベントスはこれで開き直ることができた。
トリノで行なわれた第2戦。守らせたら世界で一番強いといっても過言ではないアトレティコに対して、ユベントスは立ち上がりから、捨てるモノは何もないとばかり猛然と攻め立てた。
その昔、強かった頃のイタリアサッカーがこれだった。後先を考えず、とにかく立ち上がりから飛ばす。相手をのけぞらせ、混乱に陥れる。そして1点を奪い逃げ切る。これを必勝パターンとした。
開始3分、ユベントスはCKからジョルジョ・キエッリーニが押し込み、ゴールかと思われたが、ロナウドが相手GKヤン・オブラクのセーブを妨害し、キーパーチャージの判定でノーゴールに。しかし、このプレーでチームとサポーターは勢いづいた。ユベントスは堅守のアトレティコを追い込んだ。
並のチームならここまでで精一杯だっただろう。次第にペースは、試合巧者のアトレティコに移っていくものだが、この日のユベントスは違った。ロナウドという大黒柱の存在が光った。27分、フェデリコ・ベルナルデスキから送られた左からのクロスボールに、ロナウドは高々としたジャンプでガツンと合わせ、先制点をもぎ取った。
リオネル・メッシと並び過去に5度、バロンドールを受賞しているロナウド。その最大の魅力をひとつ挙げよと言われれば、身体の強さになる。背中に鋼鉄の板を内蔵しているかのように、カチッと強靱だ。その威力は、多くの選手が密集するゴール前での競り合いに発揮される。体勢はちょっとやそっとでは崩れない。そこにロナウドの真髄がある。
しかも187cmの長身だ。強さは空中戦に現れる。この先制ゴールも、その時、アトレティコのフアンフランが必死に食らいついていた。対応に間違いはなかった。だが、ロナウドはその上を行くヘッドを見せたのだ。ド迫力の一撃だった。
後半開始早々の2分、ロナウドの頭はユベントスに追加点ももたらした。今度はポルトガル代表SBのフアン・カンセロが右から蹴り込んだクロスボールで、この時もロナウドは鋼のような強さをゴール前で見せつけた。
マーカーはディエゴ・ゴディン。ヘディングに関しては世界最強と言いたくなる空中戦の名手に対し、ロナウドは高々としたジャンプで対抗。完勝を収めた。
シュートはアトレティコのGKオブラクのビッグセーブに遭い、ノーゴールかに見えたが、ここで「ゴールライン・テクノロジー」が作動。ゴールが認められ、通算スコアは2-2となった。
ユベントスのペースはここで落ちた。飛ばしすぎが心配された。もしアトレティコがアウェーゴールを決めれば一転、敗色は濃厚になる。
しかし、アトレティコにいつものしぶとさはない。ジエゴ・コスタ、フィリペ・ルイス、トーマス・パーティをケガや累積警告で欠いたこと、頼みの綱のゴディンがロナウドに完敗を喫したこと、ゴールライン・テクノロジーによるゴール判定も、勢いを削がれる原因になっていた。
ユベントスの決勝ゴールは、延長突入のムードが色濃くなってきた41分に生まれた。ペナルティエリア内のベルナルデスキを、交代出場したアンヘル・コレアが背後から倒してしまう。
ロナウドはここでPKキッカーとして登場。オブラクの動きと逆方向に蹴り込んだ。大逆転勝ちの決勝ゴールには、ハットトリック達成というおまけまで付いた。
レアル・マドリードは2シーズン前のCLで、ユベントスを破り優勝したと述べたが、その準決勝の相手はアトレティコだった。ロナウドはその第1戦でハットトリックを決めている。ロナウドのCLにおけるハットトリックはそれ以来。アトレティコはユベントスに敗れたというより、ロナウドに敗れた気分だろう。
振り返ればアトレティコは、2013-14シーズンの決勝以来、CLで敗退した相手のすべてがレアル・マドリードになる。そしてその先頭には必ずロナウドが立っていた。今回は天敵のレアル・マドリードがアヤックスに敗れ、チャンス到来と思った矢先の出来事だった。アトレティコの面々は今ごろ、ロナウドの偉大さをあらためて痛感しているに違いない。
はたして、ロナウドの個人としてのCL4連覇達成は成るのか。
レアル・マドリードからユベントスへの移籍は、ともすれば都落ちに見えたものだ。相変わらずバルセロナでプレーするメッシと比較すると見劣りした。ところが、レアル・マドリード、アトレティコがCLの舞台から消えたいま、その存在はむしろ輝いて見えるから不思議だ。
ユベントス対バルセロナ。ロナウド対メッシを再度、見てみたい衝動に駆られる。バロンドールをそれぞれ5回受賞した両雄の直接対決は実現するのか。そしてロナウドのCL4連覇の夢は叶うのか。準々決勝の組み合わせの抽選結果が待ち遠しい。