2018年12月16日、eBASEBALL2018シーズンが節目を迎えた日。もう一つのプロ野球「eBASEBALLパワプロ・プロリーグ」として、年内全ての試合を終えたタイミングだ。この日の東京・六本木のKONAMIホールでは、セパ両リーグに…
2018年12月16日、eBASEBALL2018シーズンが節目を迎えた日。もう一つのプロ野球「eBASEBALLパワプロ・プロリーグ」として、年内全ての試合を終えたタイミングだ。この日の東京・六本木のKONAMIホールでは、セパ両リーグによるeリーグ代表決定戦が行われていた。
立ち見客が出るほど賑わいをみせた超満員の観客席後方部には、eアスリートの姿もちらほら。つい先日までステージで激闘を繰り広げていた彼ら。数人と会話を交わすと、飾らない笑顔で「純粋」に「パワプロの戦い」が「気になり」自主的に「足を運んでいる」と語ってくれた。
さすがプロのeアスリート、彼らの言動に感心していると、いつもの聴き慣れた声が耳元に飛び込んでくる。
声の主は、マエピー選手だった。
KONAMIホールの最後尾、しかも私服で。まるで観客と一体化したようなマエピー選手、ステージを見つめていた表情は、想いのほか晴れやか。
マエピーといえば、昨年のパワプロ覇者であり、優勝候補だったeアスリートの1人。何よりも今秋開催されたeドラフト会議において、複数指名を受けた強烈なインパクトはパワプロ界のみならず、eスポーツシーンを席巻した。
しかし、パワプロの神は、彼に試練を与える。プロ化初年度は、まさかの全敗。eペナントレース2018シーズンは厳しい経験ばかりを強いられ、苦戦した。
偶然居合わせたKONAMIホールの片隅で、少しだけ会話を交わすことができた。広島・ゴジラ選手との雑談の途中だったが、思わずストレートな質問を2つ投げかける。
パワプロのプロ化初年度が、あまりにも過酷な戦いである様子について。そして選手達にとっては重圧だろう、勝敗の結果によって地獄のような光景もあるのか?そう問うと彼はニヤリと笑い、言葉をくれた。
「地獄?何言ってるんですか。天国ですよ。パワプロがこんな天国をくれたんですよ」
個人的な見解で申し訳ないが、彼は笑顔が印象的だ。細かく言うなら2種類の笑顔を持つ、とでも表現しよう。普段の柔かな笑顔、そして、パワプロをプレーしている最中に魅せる、ニヤリとした表情。してやったりというような顔つきで。曖昧な記憶だが2018シーズン、その笑顔はスタジアムの内外で一度も見ることがなかった。
「天国ですよ」
この発言とニヤリとした笑顔は、ミステリアスだ。彼にとっては、辛く苦い経験さえも天国らしい。ありきたりな表現で申し訳ないが、マエピーというeアスリートは、変わっている。彼の醸し出す独特の感性に驚愕していると、試合開始のアナウンスが流れた。
「さ、はじまりますよ」
小さな声で呟くと彼の目線は、試合ステージを凝視していた。彼にとっての天国は、聖域であり神聖な場所だ。
筆者も試合中に色々と頭を巡らせていた。思い返せばマエピーという人物はリーグ開幕前からイベントや記者会見に登壇し、パワプロ愛だけを語ってきた。
「パワプロ愛を証明します」
シーズン中にも何度か聞いたこの「合言葉」は、言い換えれば「愛言葉」だったのかもしれない。とにかくプロ化をまずは成功させるシーズンに、そんな重圧を一人で背負っているようにも見えたこともある。言い訳をせず、誰かのプレーに意見することもない、マエピー流のパワプロ愛だけを実践し続け、勝負に挑む。
「マエピーという名前を覚えてもらえたら嬉しい」
いつも真っ直ぐに。もちろん驕り高ぶることなどない。 あまりにどっしりと構えた王者、彼の存在は脅威でしかなかった。
打倒!マエピー
シーズンを終えた今もなお、12球団全ての選手が意識せずにはいられない相手だろう。eペナントレースは、マエピーという1人の強敵を35人の選手たちが、それぞれのスタイルで追いかけた。
いつどんな時も全力で勝ちに行くスタイルを貫き、リーグ戦だけでなく、エキシビションマッチでも勝ちにこだわった。勝負を持ちかけられたら、常に本気。それがマエピーstyle。そんな彼に常に全力で戦いを挑んだ、全てのeアスリートによるファイトも賞賛したい。
著名なサッカー選手がオフシーズンによくある光景のひとつ、子供たちとの全力プレーをKONAMIホールで思い浮かべていた。
どんなに世界的なフットボーラーでも、ピッチに入れば対等だ。大物選手が小学生相手にでも本気でボールを渡さぬよう、本気のドリブルをするように。スポーツというものは、競技が始まった瞬間から誰もが全力を尽くし、笛がなるまで戦い続ける。
eスポーツも同じように。それは、マエピーという1人eアスリートが証明した。
来シーズンを語るには早過ぎるかもしれないが、私達ファンは1日でも早く彼が勝利する姿が見たい。勝者のメンタリティーを存分に披露してほしいし、出来ることならマエピーSmileを何度も見たい。得意の挑発やマエピー語録が聞きたいし、SNSやステージでメディアを通じて、彼のやることなすことに反応せずにはいられない。そんな日が理想だ。
マエピーの口から「申し訳ない」などと真面目なメッセージや書きこみをSNSで見かけると、勝手ながら彼のコンディションを心配してしまう。
「俺の人生は、パワプロだ」
まさにそうかもしれないが、正確に捉えるなら彼の人生はパワプロから離れることさえ許されない。
パワプロの神は、意地悪だ。マエピーが闘い続ける姿を遠くから見つめ、パワプロ愛を試した。しかし、パワプロの神も驚くほどのパワプロ愛は揺るぎないものだと証明され、その功績はプロ化初年度の宝に変わった。
彼の好物は、チャーハン。味へのこだわりは公言せず、全てのチャーハンを愛している。チャーハンを愛すようにeアスリート・前田恭兵氏の歩む人生は、愛に満ちている。
スポーツブルは、ただただ今はありがとうを伝えたい。そして、これからもパワプロ愛を世界中に振りまいて欲しいと懇願したい。
取材・文 / スポーツブル編集部
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マエピー選手が出演するeBASEBALL地上波放送が、2019年1月9日(水)深夜1:44〜ABCテレビで放送される。番組名は「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ e日本シリーズ直前スペシャル〜プロ野球とesports 36人の挑戦〜」放送予定日:2019年1月9日(水) 25:44〜26:14 (30分放送)
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