箱根駅伝・全チーム戦力分析【シード校編】

 来年の1月2日、3日に行なわれる”平成最後の箱根駅伝”が間近に迫っている。今季は10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝ともに青山学院大学が優勝。箱根駅伝では5連覇を目指す絶対王者を止める大学は現れるのか。まずは、前回シード権を獲得した10校の戦力をチェックしていこう。

※紹介は前回大会の総合結果順



「絶対王者」の主将を務める4年の森田歩希 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

青山学院大学

史上初となる2度目の「3冠」に視界良好

 箱根で4連覇を達成したチームは今季、出雲と全日本でも優勝。前回の箱根Vメンバーが7人残っていて、そこに出雲1区でトップを奪った橋詰大慧(4年)、全日本5区と同6区で区間賞を獲得している吉田祐也(3年)と吉田圭太(2年)、世田谷246ハーフマラソンで学生トップ(1時間3分13秒)の岩見秀哉(2年)らが加わり、充実の戦力を誇る。

 主要区間に前回経験者が控えているのは心強い。2区1位タイの森田歩希(4年)、5区5位の竹石尚人(3年)、6区1位の小野田勇次(4年)は同区間での起用が濃厚。さらに前回7区で区間新を叩き出した林奎介(4年)もいる。

 前回同様、往路を終えて前が見える位置にいれば、6区小野田でトップを奪うことができるだろう。原晋監督の調整力もずば抜けているため、1区で大きく出遅れない限り、史上初となる2度目の「3冠」が現実味を帯びてくる。



箱根に向けて調子を上げてきた2年の西山和弥 photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

東洋大学

前回演じた”往路V”を再現できるか

 前回の箱根は往路を制して総合2位。そのメンバーが9人残る。今季は出雲で2位、全日本は3位。両駅伝は日本選手権1万m4位の西山和弥(2年)が振るわなかったこともあり、一度も青学大の前に立つことができなかった。

 しかし西山は、12月2日の日体大長距離競技会1万m13組で28分52秒51のトップを飾るなど調子を戻しつつある。前回は1区西山で飛び出すと、2区相澤晃(3年)が区間3位、3区山本修二(4年)が区間賞、4区吉川洋次(2年)が区間2位と好走。4区終了時で青学大から2分03秒ものリードを奪うことに成功した。

 5区9位の田中龍誠(2年)は今季1万mで自己ベストを1分近く短縮するなど走力をつけている。前回は往路を終えて青学大と36秒差。5年ぶりの総合優勝を手にするために、前回以上のリードを奪って往路を迎えたい。



前回9区で区間賞を獲得した4年で主将の清水歓太 photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

早稲田大学

全日本ワースト15位からの脱却なるか

 2年連続で総合3位に入っている名門が苦しんでいる。

 往路3位のメンバー4人が卒業して、2区を6位と好走した太田智樹(3年)と、1万m28分25秒 85の永山博基(4年)は故障。主力ふたりを欠いたこともあり、出雲が10位、全日本は過去最低の15位に沈んだ。

 窮地に立たされている名門は、1年生5人を選手登録。フレッシュなメンバーで勝負に挑む。中でも注目は佐久長聖時代に全国高校駅伝1区区間賞をはじめ数々のタイトルを獲得してきた中谷雄飛(1年)だ。出雲は3区(4位)で5人抜き、全日本は3区(2位)で7人抜き。箱根でも韋駄天ぶりが期待される。

 チームの課題は2区と5区。太田と永山もエントリーに滑り込んでおり、前回9区で区間賞を獲得している主将・清水歓太(4年)を軸に反撃に出る。



前回8区の3年・山口和也(左)と、同9区の4年・室伏穂高(右) photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

日本体育大学

学生主体の運営で前回以上の成績を

 70年連続70回目の出場となった前回は、過去5年間で最上位となる4位。チームは上昇機運を見せていたが、9月に駅伝監督が解任され、その後は4年生を中心に練習メニューを作るなど学生主体で取り組んでいる。

 今季は出雲が9位で、全日本が12位。前回メンバー6人が抜けた穴は大きいが、前回9区6位の室伏穂高(4年)、1万m28分台の山口和也(3年)と中川翔太(3年)、全日本7区4位の廽谷賢(3年)、同6区3位の岩室天輝(2年)と好選手が揃っている。

 2区は厳しい戦いが予想されるが、5区は例年以上の準備ができているという。チームが定めた目標は「総合3位」。前回のように5区で順位を押し上げられれば、おもしろい戦いができるだろう。



前回8区で区間2位の3年・館澤亨次 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

東海大学

「箱根仕様」にモデルチェンジして初優勝を目指す

 出雲は前年のVメンバー4人が外れて3位、全日本は7区の途中までトップを走って2位。今季は夏合宿の走行距離を増やすなど、箱根駅伝に向けたトレーニングを積んできたことが、両駅伝に影響した。

 前回2区7位の阪口竜平(3年)はケガの影響で出雲と全日本を外れたが、順調に回復。安定感とスタミナが武器の湯澤舜(4年)とともに2区の候補に挙がる。青学大と比べて、2区は劣勢が予想されるだけに、1万mで28分20秒前後のタイムを持つ鬼塚翔太(3年)と關颯人(3年)、アジア大会1500m日本代表の館澤亨次(3年)、出雲と全日本の1区を好走した西川雄一朗(3年)らが入る区間で攻撃したい。

 西田壮志(2年)と東優汰(4年)が候補に挙がる5区は前回以上のタイムが期待でき、6区には前回2位の中島怜利(3年)が控えている。スピード軍団は冬季のトラックレースを封印して、「箱根仕様」にモデルチェンジ。進化した走りで、悲願の初優勝を目指す。



前回5区で区間賞を獲得した3年の青木涼真 photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

法政大学

5区青木の快走で”サプライズ”なるか

 前回は12年ぶりの連続シードとなる6位。5区青木涼真(3年)と6区佐藤敏也(3年)の快走で勢いに乗った。今季はふたりが外れた出雲で12位に終わったものの、ともに復帰した全日本は7位まで浮上している。

 前回5区で区間賞を獲得した青木は、今季さらに成長しており、「山の神」にもっとも近い選手だ。6区には区間上位を狙える坪井慧(3年)が候補に挙がっており、30kmで学生歴代5位の1時間30分02秒を持つ佐藤は往路へのコンバートが濃厚。貧血で出雲と全日本は不発だったエース坂東悠汰(4年)も調子を上げている。

 チームの目標は前回を上回る「5位以内」。しかし、4区終了時でトップと2分ほどのタイム差なら、88年ぶりとなる往路V、76年ぶりのトップスリーという”サプライズ”が現実的になってくるだろう。



出雲、全日本でも快走した3年の荻久保寛也 photo by Matsuo/AFLO SPORT

城西大学

絶好調・荻久保と主将・服部の快走で連続シードを狙う

 前回大会は7位で、今季は出雲と全日本でいずれも過去最高の8位に入っている。今季の躍進は荻久保寛也(3年)の成長が大きい。出雲は1区で3位、全日本は2区で区間賞。1万m記録挑戦会で28分37秒66をマークしており、主要区間での活躍が期待できる。

 前回4区4位の金子元気(4年)も上尾ハーフで日本人学生2位(1時間2分16秒)と快走。前回は脚がつるアクシデントがありながら、前回は5区で10位から6位に順位を押し上げた主将の服部潤哉(4年)の存在も心強い。

 ほかにも1万m28分台の中島公平(4年)と西嶋雄伸(3年)、前回8区4位の大石巧(4年)らが控えている。チームの過去最高順位は6位。選手層は厚くないが、適材適所のオーダーで、大学最高順位と大学初の”連続シード”を狙う。



留学生で主将を務める4年のワークナー・デレセ photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

拓殖大学

留学生の主将・デレセを軸に過去最高順位を

 前回8位に入り、今季は7年ぶりに出雲駅伝に参戦。過去最高の4位に食い込んだ。上尾ハーフでもワークナー・デレセ(4年)の1時間1分50 秒を筆頭に、多くの選手が自己記録を更新。登録選手上位10人の平均タイムは例年通り、距離が長くなるほど順位が高くなり、ハーフで7位につけている。

 2区は4年連続となるデレセが濃厚。前回は13位から5位まで順位を上げており、今回も2区で上位進出が計算できる。1万m28分台の馬場祐輔(4年)と赤﨑暁(3年)も往路候補で、序盤からいい流れが作れそうだ。

 山は前回5区11位の戸部凌佑(4年)、同6区7位で1万m28分台に突入した硴野魁星(4年)が配置される見込み。ロードに強い選手が揃うだけに、復路で大きく崩れる不安は少ない。過去最高順位の7位を上回り、大躍進できるか。



全日本で1区2位と好走した4年で主将の竹下凱 photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

帝京大学

過去最強布陣でトップスリーに挑戦

 前回9位のメンバーが9人残り、今季は出雲と全日本で過去最高を上回る5位。上尾ハーフで星岳(2年)が1時間2分20秒、1万m記録挑戦会で島貫温太(3年)が28分30秒 52をマークするなど、全日本を外れた選手も大活躍している。

 登録選手上位10人の1万平均タイムは28分台に突入して、過去最強布陣が整った。全日本1区2位の主将・竹下凱(4年)、関東インカレ(2部)ハーフマラソンで日本人トップの畔上和弥(4年)、1万m記録挑戦会で28分34秒88をマークした遠藤大地(1年)らが往路の候補だ。

 山は前回5区8位の平田幸四郎(3年)、同6区4位の横井裕仁(4年)が残っている。復路メンバーも前回(6位)より確実にパワーアップしており、往路の結果次第では初のトップスリーが見えてくる。



4年連続で6区を走ることが濃厚な4年の樋口陸 photo by YUTAKA/AFLO SPORT

中央学院大学

6区樋口で勢いをつけて5年連続シードを狙う

 今季は出雲で6位に入ったが、全日本は14位に転落。主力が大量に外れたことが影響した。1万mでチーム最速タイム(28分29秒12)を持つ横川巧(3年)は登録できなかったものの、前回の箱根と今季の出雲と全日本を欠場した1万m28分台の高砂大地(3年)はエントリーされるなど、戦う準備は整いつつある。

 9月に1万m28分台をマークした川村悠登(3年)と髙橋翔也(2年)が主力に成長。1区は川村、2区は髙橋が濃厚で、出雲1区を4位と好走した川村でスタートダッシュを決めたい。

 2区経験者の高砂と市山翼(4年)は他の区間にまわる見込み。5区は未知数だが、6区は4年連続となる樋口陸(4年)がスタンバイ。過去の区間順位は3、5、6位と安定しており、今回も順位を上げるだろう。6区樋口でシード圏内に入り、5年連続シードを確保したい。

(予選会上位校編に続く)