「eスポーツ元年」と呼ばれる今年、その広がりは多岐にわたる。世界大会における日本人選手の活躍、eスポーツをテーマにしたテレビ番組の放送、地方自治体による地方創生施策としてのイベントの開催、働き方改革の一環における企業のeスポーツ部創設など、…

「eスポーツ元年」と呼ばれる今年、その広がりは多岐にわたる。世界大会における日本人選手の活躍、eスポーツをテーマにしたテレビ番組の放送、地方自治体による地方創生施策としてのイベントの開催、働き方改革の一環における企業のeスポーツ部創設など、報道はスポーツ、芸能、社会、経済、政治、ITとあらゆるジャンルが混在している。

しかし一方でeスポーツが指し示す範囲が広いゆえ、eスポーツ業界全体を俯瞰して横断的な知識を持って総合的にプロデュースできる人材が少ないという課題がある。そうした現状の中、VAMOLAでも複数報じてきた岡山哲也氏が代表を務めるeスポーツジャパン社(※)が、eスポーツビジネスに関する教育業務提携の発表を行った。以下、詳細をお伝えする。

eスポーツジャパン社は、新潟県北蒲原郡にある全国唯一のサッカー総合専門学校「JAPANサッカーカレッジ」と業務提携を行い、2020年4月より同校のサッカービジネス科(2年制過程)に『eスポーツマネジメントコース』を新設することを10月18日発表した。2019年度より生徒の募集を開始する。

(写真:左から、eスポーツジャパン執行役員:内田宝寿氏、eスポーツジャパン取締役:秋田豊氏、学校法人国際総合学園JAPANサッカーカレッジ学校長:中村勉氏、eスポーツジャパン代表取締役:岡山哲也氏、eスポーツジャパン執行役員CMO:立川光昭氏)

eスポーツマネジメントコースは、eスポーツ業界での企画、運営、広報、マーケティングなど、eスポーツマネジメントの総合教育ができるカリキュラムを構築していくとしている。取り扱うeスポーツタイトルは、ウイニングイレブンから始める。JAPANサッカーカレッジの中村勉学校長は「eスポーツのサッカーゲームに関するカリキュラムが基本」としつつも、「実際のニーズとして、他のゲームのカリキュラムも増やすことになるだろう」と語った。

また、eスポーツジャパン取締役の秋田豊氏は「選手がプレーするだけでなく、裏方のスタッフも育っていかないと、素晴らしいものは生まれない。eスポーツがもっとメディアに出て行き、(世の中に)認知されるためのイベントやチームを作っていくことで、日本のeスポーツが世界にも通用することを示していきたい」と同提携の意気込みを語った。現役時代、常勝軍団鹿島アントラーズや日本代表で、リアルサッカーにおける裏方の重要性を理解している秋田氏の言葉には説得力があった。

JAPANサッカーカレッジは、Jリーグ54クラブ中47クラブに卒業生を輩出している。2018年10月18日現在、選手やコーチ、フロントスタッフ、マネージャー、トレーナーとして計147名がJリーグクラブに在籍しているとのこと。東京ヴェルディ、サガン鳥栖、横浜Fマリノス、FC琉球などのJリーグクラブはすでにeスポーツチームを保有している。欧州の主要リーグの状況を考えると、この流れは加速するだろう。同校で学んだ卒業生が、Jリーグクラブのeスポーツチームのマネジメント職に就職するという流れも期待される。

eスポーツ業界の健全な発展のため、eスポーツ運営に関わる人材の育成は急務である。

※eスポーツジャパン社
名古屋グランパスのOBで、現在は中京大学附属中京高等学校サッカー部監督を務める岡山哲也氏が「eスポーツジャパン社」を設立。同社のeスポーツ新チーム「STAND UP UNITED(スタンドアップユナイテッド)」でも監督を務める。ヘッドコーチに元日本代表の秋田豊氏、特別アドバイザーにドラガン・ストイコビッチ氏を招聘し、リアルサッカーで経験してきた独自の強みを生かしたeスポーツの「普及」と「エンタメ化」を目指している。

(取材・文●Torinos)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)