1Q2Q3Q4Q計早大222410慶大22138▽得点者青木3、森松2、尾花2、菅原、菊地、後藤 快晴の空の下、神宮球場だけでなく、駒沢第一球技場でも、華の早慶戦が行われていた。それは、関東学生リーグ戦ファイナル4(関東ファイナル4)である…

1Q2Q3Q4Q
早大10
慶大
▽得点者
青木3、森松2、尾花2、菅原、菊地、後藤

 快晴の空の下、神宮球場だけでなく、駒沢第一球技場でも、華の早慶戦が行われていた。それは、関東学生リーグ戦ファイナル4(関東ファイナル4)である。負ければ4年生は引退となる試合は、序盤から両者一歩も譲らない激しい点の取り合いとなり、第3クオーター(Q)終了時には6−5と競り合う。しかし第4Q序盤にAT青木俊汰(法3=東京・早大学院)のゴールなどで4連続得点をあげ慶大を引き離すと、終盤の慶大の反撃を振り切り10−8で勝利。5年ぶりの関東制覇に向けて、東大との関東ファイナルへと駒を進めた。

 先制したのは慶大だったが、第1Qの主導権を握っていたのは早大であった。失点後すぐさまMF菅原惇司(法4=東京・早実)の得点で追い付くと、8分に右サイドから青木俊がカットインをしてランシューを決めて2点目。その後もATリーダーの菊地智貴副将(政経4=東京・早大学院)を中心に多くのシュートを放ち、積極的な攻めをみせる。このまま第1Qを終えたかったが、残り1分で相手に隙を突かれ失点し2−2。拮抗(きっこう)したまま第2Qへ移ったが、開始1分、「自分の役割は点を決めること」と仕事人ぶりを見せたMF森松達副将(国教4=東京・麻布)のゴールですぐに勝ち越し、慶大に流れを渡さない。その後両者共に1点ずつ加えて、第2Q終了間際、リードを保って後半を迎えたかったが、残り1分で再び追い付かれ、前半を4−4で終える。


ATとして起用された青木俊が殊勲の3得点

 第3Q、ディフェンスの乱れなどから開始2分で1点ビハインドとなる。しかし、「結構良かったかなと思います」と手応えを見せたG西谷光平(社4=東京・早実)がスーパーセーブを連発し、嫌な流れを食い止めると、7分、菊地の鮮やかなバウンドシュートで同点に追い付く。その後13分には、右サイドでパスを受けた青木俊が「アクセントをつけてゴールを狙うシュート」(青木俊)と語った技ありの一撃で勝ち越しに成功。またこのQはマンダウンでピンチを迎える場面もあったが、「キーマンが3名ほど」(DF本田丈武副将、政経4=東京・早大学院)と、戦略的な守りでうまくしのいだ。そして、この試合初めてリードをした状態で迎えた第4Q。フェイスオフから一気に突破され、再び開始直後の失点を許してしまうが、MF後藤功輝主将(政経4=東京・早実)が「気持ちに余裕があって、楽しんでいい雰囲気でできていました」と振り返るように、ここから早大のオフェンス陣が躍動する。3分の森松のゴールを皮切りに、4分に後藤、7分に青木俊がこの日3点目となるゴール、さらには12分、AT尾花一輝(国教4=東京・早実)の追撃で4連続得点をあげ、慶大を大きく突き放す。試合終了間際に続けて2点入れられるも、最後は逃げ切って10−8で勝利した。


慶大の猛攻を耐え抜いたディフェンス陣

 「準備してきたことが全て出せた」と後藤が口にしたように、因縁の慶大を倒した喜びは大きい。ブロック戦の平均得点数最多と、高い攻撃力を誇るオフェンス陣はこの日も10得点と結果を出した。しかし、決勝の相手はブロック戦の平均失点数最少で、森松も「ディフェンスが売り」と評価する東大である。『守』を得意とする相手に対し、チームスローガン『攻』を掲げる早大はどのように戦うのだろうか。まだ時間は残されている。関東制覇まで、残り1勝だ。

(記事 中島和哉、写真 村上萌々子、石井尚紀)

コメント

MF後藤功輝主将(政経4=東京・早実)

――慶大に勝利した今のお気持ちはいかがですか

最高ですね。準備してきたことが全て出せたので、最高です。

――慶大との駆け引きが試合中に見られました

(自分に)張られた時のプレーなどは事前に準備できていたことをしっかりと出せて良かったです。

――第4Q序盤までは一進一退の展開となりました

1点、2点を争う試合だったんですけど、ボックスも出ているメンバーも気持ちに余裕があって、楽しんでいい雰囲気でできていました。

――今回の試合で良かった点はどちらになりますか

先ほども言ったように、ケイオーを倒すためにオフェンスもディフェンスも準備ができていたので、自信を持ってプレーができました。

――東大戦までに修正していきたい点はありますか

東大のゴーリーがうまいので、シュート精度を改善していきたいです。この2週間はケイオーを倒すためにやっていたので、切り替えて東大戦への準備をしっかりとやっていきたいです。

――最後に意気込みをお願いします

絶対に勝って、5年ぶりの関東ファイナルを優勝するために、できる準備を最後までやりたいと思います。

MF森松達副将(国教4=東京・麻布)

――今の率直なお気持ちをお願いします

本当にとにかくうれしいです。負けたら終わりの戦いでプレッシャーのかかる試合だったので、全員がきちんとそれぞれの役割を発揮して、いい試合ができてほっとしています。

――競る場面も多かったですが、試合を振り返っていかがですか

やるべきことははっきりしていたのと、メンタル的にもチームが一つになっていることをすごく感じていたので、点差こそつかなかったですけど、このまま戦っていけば大丈夫だろうなという安心感はありました。

――ご自身は2得点でした

反省すべきプレーも結構あったと思うのですが、自分の役割は点を決めることだと思いますし、それを果たせたという意味では良かったかなと思います。

――対談で、「日本一のオフェンスを目指したい」とおっしゃっていましたが、きょうの試合はいかがでしたか

本当にいろいろな人が点を取って、いろいろな崩し方ができて、変幻自在なオフェンスができたと思うので、あのようなオフェンスを今後も続けて、最後まで「ワセダのオフェンスは強かったな」と言ってもらえるようなオフェンスユニットを目指してつくっていきたいと思います。 

――ファイナルまでどのような調整をしていこうと考えていますか

ディフェンスが売りの東京大学と最後対戦することになるのですが、こちらは『攻』というスローガンを掲げて全員がオフェンスをできる能力を持っているので、全員で攻める姿勢を忘れずに得点を狙っていけたらなと思います。

――東大に対して「ディフェンスが売り」ということ以外に何か持たれている印象はありますか

やるべきことを徹底していて組織としてもいい組織だなと思うのですが、自分たちも組織づくりに力を入れていて組織として負けていないと思うので、ガチンコで戦って勝ち切れればいいなと思います。

――最後にファイナルへの意気込みをお願いします

ここ数年ワセダは関東優勝から遠ざかっていると思うので、今年こそは先輩方の思いを背負って、部員全員で一丸となって必ず関東優勝したいと思います。

DF本田丈武副将(政経4=東京・早大学院)

――今の率直なお気持ちをお願いします

ケイオーに勝って日本一を目指せるステージになったと思っているので、やっと始まったという気持ちがしています。

――ディフェンス陣ではどのような戦いをしていこうと話していましたか

相手のオフェンスが特徴的で、一人一人の強みがはっきりしているので、その強みをやらせないということだけを考えてやっていました。

――試合全体を振り返っていかがですか

自分は1on1をかけられて乗っていくタイプなんですけど、かけられていない時間に乗れずに、チームに迷惑をかけてしまった中で、石関(DF石関航平、商4=埼玉・早大本庄)とかが踏ん張ってくれて、結果的にはオフェンスが爆発するまで我慢できて、そこの波にうまく乗れたので良かったです。

――マンダウンの際も我慢することができていた印象です

あれだけマンダウンになるとは思っていなかったんですけど、相手のエキストラマンオフェンスの中でキーマンが3名ほどしかいなかったので、そのキーマンには絶対にやらせずに、それ以外の人に決められても仕方がないと割り切った気持ちでできたので、うまく守ることができたと思います。

――次戦の対戦相手である東大に対しての印象はありますか

今年の東大とは4回くらい戦っていて、かなり分かっているんですけど、相手もそれは同じで、すごくいいチームなので、自力の勝負になると思います。東大は守りが強いので、どれだけ僕たちがスローガンの『攻』を体現できるのかが勝利のカギになるのかなと思います。

――最後に意気込みをお願いします

きょうのワセダの応援もすごかったですし、ワセダのラクロスを見るために多くの人が来てくれていたので、見ていて面白いラクロスをして、どんどん勝ち上がって、FALCONSに勝つまで成長をし続けていきたいと思います。

AT尾花一輝(国教4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返ってください

ケイオーに対してすごく準備をしてきたので、それが結果として出たのがまず良かったですね。あとは苦しい時間帯もあったんですけど、みんなで楽しくやろうということで、楽しくできた結果が勝ちにつながったと思うので、すごくほっとしています。

――ATはどのような攻めをしようと話していましたか

1人が自分で点を取りに行くというよりは、1年間ずっとやってきたしっかり6人全員で点を取るというのを意識して、特に慶應は端サイドにディフェンスがすごく寄せてくるので、逆に回してそれで攻めるというのを6人で共有してやっていきました。

――本日は2得点。2点目は追い打ちとなる10点目でしたが、ゴールを振り返っていかがですか

あれは僕の点というよりは菊地くん(AT菊地智貴副将、政経4=東京・早大学院)がずっとダブルを走り続けてくれたおかげなので、彼の点ということにしといてもいいのかなと思います。

――相手が東大に決まりました。次戦に向けてお願いします

5年ぶりに関東を突破するための相手が東大と考えると、今まで4年間、東大、ケイオーに負けて先輩たちは引退してきたので、その分も勝って次に進みたいと思います。

G西谷光平(社4=東京・早実)

――今の率直なお気持ちは

本当にうれしい、の一言です。昔からワセダにいて、対ケイオーとなると絶対に負けたくないと思っていたので、勝ててうれしいです。

――競り合う場面もありました

こうなることも予測していたので、そこで焦らず常に笑顔でいようと思っていたので、焦ることなく大丈夫でした。

――スーパーセーブも多く見られましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

結構良かったかなと思いますが、次の東大の相手のゴーリーもすごくうまいので、きょう以上に頑張れるようにしたいと思います。

――きょうの調子はいかがでしたか

 きょうは緊張というより楽しみが勝る感じでそのままやれたので、楽しかったです。

――ファイナルまでどのような調整をしていきますか

きょう出た反省を切り詰めていって、あとは自分たちのプレーをやるだけだと思うので、しっかりやっていきたいです。

――次戦の相手、東大に対する印象はいかがですか

うまい人が多いのでしっかり警戒して全力でやっていきたいです。

――最後に改めてファイナルへの意気込みをお願いします

練習試合では競ったり負けたり勝ったり、厳しい試合を東大とはしてきたので、今回こそは絶対勝って全学(全日本大学選手権)に出場したいと思います。

AT青木俊汰(法3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返ってください

4年生の引退が懸かる試合ですごく緊張感はあったんですけど、その中でも楽しもうと思って一生懸命やった結果、いい結果が出てすごくうれしい気持ちでいっぱいです。

――きょうはATでした。いつもとの気持ちの違いはありましたか

やることはあまり普段と変わらないので。ただ出る時間がMFと比べてすごく多いので、その中でしっかりと結果を出せるように一生懸命やっていました。

――本日は3得点。2点目は勝ち越しのゴールでしたが、ゴールを振り返っていかがですか

展開が1回落ち着いていて、どっちも点数が入らないみたいな状況の中で、相手のディフェンスがちょっと気が緩んでいるなと思っていたので、しっかり動き出した時にボールマンの功輝さん(MF後藤功輝主将、政経4=東京・早実)と目が合って、これは取った瞬間に入るなというようなボールでした。

――他の選手とは異なる仕立てからのシュートが多かったように見えました

ゴーリーの見えにくいシュートを目指して普段から練習しているので、基本の上から打つシュートはみんなが打つシュートだと思うので、そういう中で一つアクセントをつけてゴールを狙うシュートを常に練習から心掛けてやっていたので、今日はゴールに入ってすごく良かったと思います。

――相手が東大に決まりました。次戦に向けてお願いします

やっぱり守備が堅いチームなので、自分たちのオフェンスがどれだけ点数を取れるかというのがすごいカギになってくると思うので、もうちょっと時間があるので、しっかり東大に対しての対策をみんなで話し合って、万全な状態で臨めるように、チーム一丸となって頑張っていきたいと思います。