「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

 フルスイングが気持ちいい。高校通算ホームラン約30本。投げてもフルパワーで思い切り腕を振る。直球の最速152キロ。「強いボールを投げる。バッティングは遠くへ飛ばす」。単純明快に自身のスタイルをこう表すそうだ。バネ、柔軟性、パワー、馬力と総ポテンシャルが備わる。とにかく、めいっぱいの姿が印象的だった。

 暑かった今年の夏。西東京大会では決勝を含めて2度、熱中症にやられた。3回戦で都立相手に2回5失点降板。このゲームが実は危なかった。そして決勝もゲーム後に病院に搬送されている。「めいっぱい」の影響があったかどうか。

 大谷翔平の影響か、今年は二刀流が多い。中央学院・大谷、花咲徳栄・野村、木更津総合・野尻ら。大谷と野尻はプロ志望届を出さなかったが、勝又は最初からプロ1本。そして、すぐにでもメジャーに、と言っているらしい。ピッチャーでなら、落差のある変化球を磨きたい。
西東京大会の日大三との決勝。初回に2ランで先制されたが、そこから粘った。最速タイの152キロを出すなどギアチェンジ。9回まで3対3。均衡したゲームも最後に4番に痛恨のサヨナラ2ランを浴びた。打たれて冷静になって、野手は1球勝負のできる楽しさがある、と語ったそうだが、野手に絞るのだろうか。

 2年秋の都大会、早稲田実に2回途中4四死球を乱発して6失点。そこでフォーム改造に着手。軸足に力をためて、上体だけではなくて下半身と連動させられるようになった。
 ところが、3年春の都大会で二段モーションを指摘され、ノーワインドアップを止めた。右手を体から離したアーム式のワインドアップへ。修正タイムは短時間で夏に間に合った。テンポも快適なほど速いので、野手も守り易いだろう。
打つ方も長打力に加え、柔らかい。「バットコントロールがいい。器用さは藤田平(元阪神)。フォームは高橋由伸(巨人監督)に似てる」というスカウトがいる。

 東京狛江市の中学まではボーイズで主に外野手。高校1年夏から投手でベンチ入りして、秋にはライトでレギュラーをつかむ。3年夏は25イニング17失点。打っては打率458、1本塁打、10打点。常時ストレートは140キロ後半を出す。スライダー、フォーク、カットボールも投げる。
本人は二刀流に意欲を見せたり、「プロでは投手で勝負したい」とコメントしたり、時によってまちまちなのが面白い。破天荒なのだ。「通算ホームラン? 30本ぐらいじゃないですかね」

 アバウトさも魅力。めいっぱいな全力野球の原石だ。

(文・清水岳志)