延長11回、3時間にも及ぶ激戦——。ベンチ入りメンバ-25人中19人が出場した総力戦で、勝利を手にしたのは早大だった。先制するもすぐに逆転を許し、前日同様、劣勢の展開に。反撃の口火を切ったのは8回。敵失と加藤雅樹(社3=東京・早実)の犠飛で同点に追い付くと、決着がつかず延長に突入する。両者決定打を欠いたが11回表、檜村篤史(スポ3=千葉・木更津総合)の左越え適時二塁打でついに勝ち越しに成功。さらに福岡高輝(スポ3=埼玉・川越東)が右中間へ2点適時三塁打を放ち、7-4と法大を引き離す。そして11回裏、マウンドに立ったのは小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)だった。向山基生主将(4年)に2点本塁打を許し1点差まで詰め寄られたが、最後は主砲・中山翔太(4年)を三振に打ち取り試合終了。死闘の末に競り勝ち、勝ち点奪取の望みを3回戦へとつなげた。

 1回戦では鳴りを潜めた打線が、この日は初回から機能する。1番・福岡が右中間二塁打で出塁すると、次打者・西岡寿祥(教4=東京・早実)が送り1死三塁。この好機で、3番・瀧澤虎太朗(スポ2=山梨学院)がきっちり中犠飛を放ち、難なく先制に成功した。1、2、3番で得点を奪う理想的な攻撃で流れを引き寄せたかに思えたが、強力法大打線も黙ってはいない。早大の先発は、東京六大学リーグ戦初先発となるルーキー西垣雅矢(スポ1=兵庫・報徳学園)。初回こそ無失点で切り抜けたが、2回に無死一、二塁から8番・相馬優人(3年)に左越え2点適時二塁打を浴び、あっさりと逆転を許してしまう。さらに4回、四球と安打で一、三塁のピンチを背負うと、9番打者の投ゴロの間に三塁走者が生還。さらに次打者には右翼線適時三塁打を食らい、リードを3点に広げられてしまう。西垣は4回途中降板とほろ苦い先発デビューとなった。

圧巻の投球で再び流れを引き寄せた早川

 1回戦同様、追う展開を強いられた早大は、相手先発・高田孝一(2年)に苦戦。二遊間を中心とする鉄壁の守備にも阻まれ、2回から7回まで安打はわずか2本に抑え込まれてしまう。不穏な空気が漂う中で、勝利を呼び込む働きを見せたのが2番手・早川隆久(スポ2=千葉・木更津総合)だ。早川はタレントぞろいの法大打線をわずか1安打に抑える好投を披露し、チームを鼓舞した。「ベンチが最後まで諦めずになんとかしようと気持ちをつないでいった」(髙橋広監督、昭52教卒=愛媛・西条)。早大が反撃の糸口をつかんだのは8回。早川に代わって打席に入った黒岩駿副将(スポ4=長野日大)が左前打で出塁したのを皮切りに、1死満塁の好機を演出する。ここで打席に立ったのが好調の瀧澤。高田が投じた2球目、力んで放った打球は痛恨の一ゴロ——。万事休すかと思われたところで、この打球を一塁手・中山が後逸し、2人がホームに生還。ラッキーなかたちで1点差まで詰め寄ると、次打者・加藤の中犠飛で同点に。主砲が最低限の仕事を果たし、試合を再び振り出しに戻した。

 9回の攻撃では檜村が犠打を併殺打にする痛恨のミスで好機を潰し、白熱の戦いは延長戦へと突入した。8回裏からマウンドを任された今西拓弥(スポ2=広島・広陵)は、140キロ台の直球を中心に、得点圏に走者を背負いながらも粘りの投球を見せる。「絶対逆転できると思った」(今西)。チームを信じ、10回裏の守備を三者凡退に抑えると、再び早大に好機が訪れる。途中出場の池田賢将(スポ4=富山・高岡南)が中越え二塁打を放つと、次打者・山岡仁実(スポ4=東京・早実)がきっちりと犠打を決める。1死三塁と勝ち越しの好機をつくったところで、打席には前打席で痛恨の犠打失敗を犯した檜村。絶対に名誉挽回しなければならない場面。「岸本さん(朋也副将、スポ4=大阪・関大北陽)に『打てなくてもお前のせいじゃないからしっかり振ってけ』と言われたので、気持ちを切り替えることができました」(檜村)。真ん中に甘く入った初球を逃さず捉えると、打球はフェンス直撃の左越え適時二塁打に。ついに勝ち越しに成功すると、さらに福岡の2点適時三塁打で法大を突き放した。そして3点リードの11回裏、髙橋監督はマウンドにエース小島を送り込む。小島は2死一塁としてから3番・向山に左翼への2点本塁打を浴び、7−6と1点差まで追い上げられてしまう。次打者は、1回戦で本塁打を許している中山。一発が出れば同点となる正念場で、小島は主将として、絶対的エースとしての意地を見せる。粘る中山に対し、最後は内角への直球で三振を奪った。延長11回、3時間の激戦を制し、あすの3回戦へと望みをつなげた。

名誉挽回の適時二塁打を放ち、勝利をもたらした檜村

 「チーム全員で戦って勝てた1勝」(小島主将)。後手に回っても、チームを鼓舞する熱投を見せた2年生投手。見事それに応えてみせた稲穂打線。勝利を信じ、選手を励まし続けたベンチワーク。すべての要素が積み重なり、早大は大きな1勝を手にした。だからこそ、この1勝を無駄にしてはならない。3回戦での先発が予想されるのは小島主将。大黒柱から生まれる1勝がなければ、優勝には届かない。1回戦での雪辱を果たし、チームを賜杯奪還に導く投球を見せることはできるか。
(記事 中澤紅里、写真 望月優樹、岡田静穂)

何よりも、チームのために--。随所に4年生の活躍が光る

延長11回、先頭打者として中越え二塁打を放ち、好機を演出した池田

「4年生が引っ張ってくれたからこそ勝てた試合」(瀧澤)。一見すると相手のミスに助けられたようにも見える今試合の勝利だが、その陰には献身的にチームを支える4年生たちの姿があった。代打として登場し、反撃の口火を切る左前打を放った黒岩、執念のヘッドスライディングで内野安打をもぎ取りチームを鼓舞した山岡、そして延長11回に中越え二塁打を放ち、勝利をたぐり寄せた池田。8回の好機では、ネクストバッターズサークルで厳しい表情を浮かべる加藤に三木雅裕(社4=東京・早実)が歩み寄り、励ましの声を掛ける姿も見られた。

自分が試合の主役にはなれないかもしれない。いつ出番が訪れるのかも分からない。そんな状況の中でも、チームの勝利のために果たすべき役割を各々が理解し、それを行動に移しているのが今の4年生たちだ。プレー面でも、新チーム発足当初は下級生主体の色が強いチームだったが、試合終盤に見せる控えの4年生野手の働きは、今やチームに欠かせないものとなっている。迎える運命の3回戦。個々の能力が傑出している法大に対抗するために、求められるのは組織力。4年生が中心となって築き上げてきた強固な『一体感』を発揮し、必ずや王座奪還への希望をつないでみせる。
(記事 皆川真仁、写真 望月優樹)