吉田、山田、柿木…評判通りの力を発揮した好投手たち 大阪桐蔭の史上初2度目の春夏連覇で幕を閉じた第100回全国高等学校野球選手権記念大会。金足農(秋田)の快進撃をはじめ様々なドラマが生まれ、近年の大会の中でも特筆すべき盛り上がりを見せた。投…

吉田、山田、柿木…評判通りの力を発揮した好投手たち

 大阪桐蔭の史上初2度目の春夏連覇で幕を閉じた第100回全国高等学校野球選手権記念大会。金足農(秋田)の快進撃をはじめ様々なドラマが生まれ、近年の大会の中でも特筆すべき盛り上がりを見せた。投手、野手それぞれ甲子園で輝いた選手たちも数多く生まれたが改めて大会を振り返り、投手と野手に分けて「甲子園で輝いた選手」「甲子園で名を上げた選手」を選出。まずは、「甲子園で輝いた選手ベスト5」の投手編から。

〇吉田輝星(金足農)

 投げるたびにドラマを演じ、大阪桐蔭一色だった今大会の主役に躍り出た、MAX150キロの剛腕。もともと秋田大会から快速球投手として評価されていたが、全国の舞台に出ると前評判を上回る投球で沸かせた。プロの目からも高く評価されていたのが、投手としての完成度の高さ。直球の球速を変えながら狙って三振を奪う能力や、多彩な変化球、そして何度も牽制してからのスーパークイック投法、送りバントを併殺に取るフィールディングと、あらゆる場面でセンスを光らせた。進路は明言していないが、プロ入りしても即戦力として十分通用すると評価は高い。プロ志望届が出れば、間違いなく1巡目で消えるだろう。

〇柿木蓮(大阪桐蔭)

 根尾、横川とともに強力投手陣を構成していたが、この夏は絶対王者のエースナンバーにふさわしい内容だった。今大会最速151キロの直球、切れ味鋭いスライダーを投げ分け、準決勝で155球完投、さらに翌日の決勝も先発完投した。1回戦でも先発して完投しており、ポイントとなる試合では必ず柿木を先発させるというのが、西谷監督の信頼度の高さ。決勝では、回を追うごとにテンポを上げ、6回に金足農の攻撃を10球かけずに終わらせるなど、安定感は抜群だった。先発していない試合でも、2回戦、3回戦、準々決勝とすべて2番手で交代完了しており、リリーフとしても存在感を光らせた。

強打の大阪桐蔭を最も追い詰めた高岡商・山田

〇山田龍聖(高岡商)

 この夏、大阪桐蔭から唯一の2桁11三振を奪い、最も勝つ可能性があった投手。富山大会では満塁弾を浴びるなど、2試合13回1/3で11失点と苦しい内容だった。本大会に入っても、1回戦の佐賀商戦では足がつるなど完投できず、リリーフを仰いだが、2回戦の佐久長聖(長野)戦を完投したことでスイッチが入り、3回戦の大阪桐蔭戦は伸びのある直球とスライダーを武器に、最強軍団の強打線に真っ向勝負を挑んだ。プロ注目の4番・藤原を4打数無安打に封じたのも、大会を通じて山田だけ。MAX148キロ左腕はその本領を発揮し、侍ジャパンU-18代表にも選出された。

〇河村唯人(日大三)

 リリーフ専門の左腕は、甲子園で5試合25回2/3を投げて34奪三振。奪三振率は11.92で、吉田の11.16を上回る驚異の数字だ。ロングリリーフもこなし、ここぞという場面で三振が取れる河村の存在は、チーム全体に絶大な安心感をもたらしていた。中村、広沢、井上と日大三には3人の先発右腕がいたが、ブルペンに河村がいることで、序盤からで飛ばしていくことができた。打線に注目が集まりがちな日大三だったが、河村はまぎれもなく準決勝進出の原動力の1つだった。

〇西純矢(創志学園)

 岡山大会では、準決勝の倉敷商戦で同じくプロ注目の速球右腕・引地に投げ勝つなど、好投手として大会前から評判だったが、1回戦の創成館(長崎)戦の無四球16奪三振完封は、その能力を余すところなく見せた。MAX149キロの速球はもちろんのこと、縦に鋭く落ちるスライダーの切れが持ち味。2回戦の下関国際(山口)戦では相手の待球戦法に球数がかさみ、9回に踏ん張りきれずに逆転を許したが、まだ2年生。この経験を糧に来夏はどんな成長を遂げるのか楽しみだ。(Full-Count編集部)