8月5日(日)東京・荻窪で行われたスポーツクライミングのイベント、「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」(以下ART2018)の決勝が行われ、女子は平野夏海、男子は原田海が優勝を果たした。優勝した平野と原田はドイツ・シュ…
8月5日(日)東京・荻窪で行われたスポーツクライミングのイベント、「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」(以下ART2018)の決勝が行われ、女子は平野夏海、男子は原田海が優勝を果たした。優勝した平野と原田はドイツ・シュツットガルトで9月行われる世界大会、「ADIDAS ROCKSTARS 2018」に世界一をかけて出場する。
平野は「優勝できると思っていなかったのでびっくりしています」と驚きと喜びの表情でコメント。原田は「世界ユースへ向けて調整がうまくできたおかげだと思う、次も優勝できるように頑張りたい」と次の大会への決意を語った。
実践して、観戦して楽しめるイベント
午前中にはキッズクリニックが行われ、1部では安間佐千、2部では野中生萌、藤井快、緒方良行が講師として子供たちの登り方を見ながらひとりひとりアドバイスを送り、お手本としてクライミングを実演して見せるなど、和気あいあいとした雰囲気で進行した。
午後からはいよいよROCKSTARSクラスの本戦がスタート。招待選手とともに前日のBE A ROCKSTARSクラスの上位者、Jr.ROCKSTARSクラスの1位が出場。ボルダリング強豪国である日本ならではのハイレベルで熾烈な争いを繰り広げられた。
キーワードは「SPORT MEETS MUSIC」、音楽もこの大会は見逃せない。競技の合間にはエクスペリメンタルソウルバンド「WONK」の演奏や、「DJ TOSHI」のプレイをバックにクライマーたちが登攀する「DJ×CLIMBER’S SESSION」も行われ、会場は大いに盛り上がりを見せた。安間が解説上で「ART2018」という大会について、「一般の選手と世界トップクラスの選手がともに同じステージでともにウォールを登ることができる素晴らしい大会」と語る場面もあった。
大混戦の準決勝、決勝
セミファイナル女子では、野中が4課題中4完登の貫録を見せ、伊藤ふたばとJr.ROCKSTARSクラス1位の小池はなが4課題中3完登。4課題中2完登の選手のうち、ゾーン差で平野夏海、中村真緒、また6位が同率であったため、番場香月、北脇順子を含む計7人がファイナルへ進出した。
セミファイナル男子においては、原田海、藤井快が4課題中4完登。そのほかの選手も9位までは4課題中3完登の選手が並び女子と同じく混戦を極めた。決勝へ進んだのはゾーン差で渡部桂太、樋口純裕、藤脇祐二と原田、藤井を含めた6名となった。
ファイナル女子では平野が柔軟性のある独特のクライミングを見せ、3課題中3完登で1位に躍り出る。伊藤も貫禄のクライミングで3課題中2完登をこなしたが、野中も3課題中2課題を一撃で完登、惜しくも伊藤は3位となり、スーパーファイナルでは平野、野中の一騎打ちとなった。
男子ファイナルにおいては、原田、藤井が3課題中3完登でスーパーファイナルへ進出、特に藤井は最終課題残り2秒で完登を決めるなど、さすがの貫録で会場を沸かせた。山内誠も3課題中2完登で3位入賞を果たした。
最後の闘い――スーパーファイナル――
この大会の特異な点は、男女ファイナル上位2名がスーパーファイナルへ進出、それぞれが同じ課題を同時にスタートし、先にクリアしたものが優勝となるところだ。ボルダリングであると同時にスピード的な素養も選手に要求される。
女子スーパーファイナルでは野口と平野が対決、スタートの報せと同時に両者圧倒的な勢いで登ってゆく。勝負は一瞬であったが、あっという間に両者とも一撃完登。微妙な判定に写真での審議となった。結果はタッチの差で平野の勝利。16歳の平野としては初の優勝となった。
男子スーパーファイナルでは藤井快と原田海の一騎打ちが実現。この日最後の課題とあって両者、観客も皆ボルテージは最高潮に。勝負はこちらも一瞬、一斉にスタートするが藤井は惜しくもミス。そのすきに原田が一撃完登し、優勝を決めた。藤井快も順位は決まったもののそのまま続行、見事完登を果たす。会場の観客は両者に対する惜しみない拍手と歓声を送り、「ART2018」は平野夏海、原田海が優勝という結果で幕を閉じた。
ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018 大会結果
男子
優勝 原田海
準優勝 藤井快
3位 山内誠
女子
優勝 平野夏海
準優勝 野中生萌
3位 伊藤ふたば
平野夏海 優勝コメント
まさか優勝できるとは思っていなかったので、優勝できてめっちゃうれしいです。写真判定で名前が呼ばれた時は負けているなと思ったのでびっくりしました。賞金は大会の遠征費お金がかかっているのでそこに使おうと思っています。今年はワールドカップに出ることができているので、次はもっといい成績を残せるように頑張っていきたいです。
原田海 優勝コメント
100万獲りに行ったので優勝できて嬉しいです。優勝賞金は親に預けようと思っています。苦手なスラブを攻略できたことが今回の勝因だと思います。スーパーファイナルでは速い動きが多かったので、そこに意識を集中して臨みました。明日から世界ユースへ出発するので、そこでも優勝できるように頑張ります。
THE MOMENTS OF「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」
「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」概要
「ADIDAS ROCKSTARS TOKYO 2018」は毎年ドイツ・シュツットガルトで行われる「ADIDAS ROCKSTARS」への出場者を決める日本予選。日本一のクライマーを決める大会で、優勝者は世界のトップボルダリングアスリートが集う本戦に招待される。今年は初の優勝賞金100万円も設定され話題を呼んだ。
スーパーファイナルでは男女上位者2名が同じ課題に対して同時に登ってゆき、どちらが先にトップホールドを掴むことができるかで勝敗を決するデュアル方式の一騎打ちで競技が行われるのも魅力のひとつだ。
日時:2018年8月5日(日)9:00~18:00(13:00~19:00)受付12:30~
場所:B-PUMP荻窪(東京都杉並区上荻1-10-12 3階)
出場選手:野中生萌、藤井快、緒方良行、等国内トップクライマー
出演者:ライブパフォーマンス WONK
キッズクリニック解説安間佐千
スケジュール:9:00 KIDS CLINIC①(安間佐千解説)小学校低学年対象
10:30 KIDS CLINIC②(野中・藤井・緒方)小学校高学年対象
13:00 観覧受付開始
13:30 ROCKSTARS 準決勝
16:00 LIVE ACT
16:30 ROCK STARS 決勝
17:45 DJ×CLIMBER’S SESSION
18:15 ROCK STARS SUPER FINAL 女子
ROCK STARS SUPER FINAL男子
18:55 セレモニー
19:00 クローズ