7月1日までの静岡公演で今年の全日程が終わった『ファンタジー・オン・アイス2018』。この公演に複数回出演した日本人の現役選手は、羽生結弦、紀平梨花(ともに幕張からの全5公演)と、三原舞依(神戸、新潟、静岡)の3選手だった。



ファンタジー・オン・アイスで復調をアピールした羽生結弦

 羽生は、平昌五輪後、右足首の治療と安静に努めていたこともあり、5月25日からの幕張公演が、五輪後初めて公の場でジャンプを跳ぶ機会となった。その初日には、ケミストリーが歌う『ウイング・オブ・ワーズ』とのコラボレーション演技で、最初にきれいなトリプルアクセルを決め、後半には3回転トーループを披露。

 演技後、自らのコンディションについてこう話していた。

「まだジャンプは種類を制限していて、アクセルとトーループ、サルコウをリハビリとして練習している段階。その3種類は3回転まで跳べるようになっています。ループに関しては1日に1、2回と制限をして1回転にしたり、跳ぶ動作の練習はしていますけど、ルッツ、フリップはまだ跳ぶ動作に入る練習もしていないです」

 そんな状態のため、今回のファンタジー・オン・アイスは、オープニングとフィナーレ以外は、アーティストとのコラボレーションのみ。その演技に向けては、次のように語った。

「アーティストの曲にはボーカルだけではなく、ギターとかバイオリンなどもありますし、曲というのはその土台の上にある。それは僕たちスケーターの、『曲があってスケートがある』ということと、すごくつながっていると思っています。

 そんな意識であらためて曲を聴いてみると、歌声やピアノなどそれぞれのパートには、その方々のそれぞれの思いやリズム、テンポがあるということに気がつきます。ふたりで歌っているケミストリーさんの歌声も、それぞれのリズムの取り方や呼吸の取り方が違う。そんな掛け合いでできているプログラムだからこそ、それに自分もどうやって融合していくかを考えています。

 試行錯誤しながらですが、自分の感覚としては楽しく滑れています。ある意味、ちょっと新境地に挑戦中という感じです」

 羽生はその中でも、自分を着々とレベルアップさせていた。2会場目の金沢公演では、初日はトリプルアクセルと3回転トーループ、2日目には4回転トーループに挑戦。これは着氷が少し乱れたものの、フィナーレでは4回転トーループに再挑戦して、きれいに決めて観客から大歓声を受けた。

 その翌週は、長野で開催された『ヒーローズ&フューチャー2018』の2日目から出演。ここでは2017年世界選手権で世界最高得点を出した『ホープ&レガシー』のショートバージョンを滑り、その演技で3回転ループを解禁。その後の4回転トーループは転倒したものの、トリプルアクセル+1回転ループ+3回転サルコウをきれいに決めると、コレオシークエンスの後にトリプルアクセルを跳び、コンビネーションスピンで締めくくる演技を披露した。

 最終日には、3回転ループで予定していた最初のジャンプを、「軌道が違っていて跳びにくい」と、元のフリーの演技と同じように3回転フリップに変えて軽々と跳び、会場を驚かせた。

 さらに、その後は4回転トーループ+3回転トーループを成功させると、トリプルアクセルからの3連続ジャンプと単発のトリプルアクセルをきれいに決め、順調な回復ぶりを大いにアピールした。

 続く6月15日から開幕した『ファンタジー・オン・アイス』後半の神戸公演では、ピアニストの清塚信也とのコラボレーションである『春よ来い』を披露。ジャンプは2本だけの演技だったが、初日と2日目は最初に3回転ループを跳び、後半には大きさのあるシングルアクセルを跳ぶ構成となった。

 その演技を、最終公演の静岡では感情を少し抑えた洗練させたものにして、最初の3回転ループもきれいに跳んだ。その回転速度はこれまでより速く、最終日には4回転も十分いけると思わせるほどの3回転ジャンプになっていた。プログラムの完成度がさらに高い演技を披露した羽生は、4回転ループも跳べそうな状態になっている姿を見せて、アイスショーシーズンを終えた。



トリプルアクセルも跳んだ紀平梨花

 また、羽生と同じく全公演に出演した紀平は、最初の2公演と神戸の初日まではショーナンバーの『ラビアン・ローズ』を滑り、神戸の2日目からは昨季トム・ディクソンに振りつけてもらった『ビューティフル・ストーム』を披露した。

 昨季までとは違うしなやかさや繊細な表現、動きの大きさを強調する『ラビアン・ローズ』では、ジャンプにやや苦しむ姿を見せていたが、大きな雷の音から始まり、独特な動きが際立つ『ビューティフル・ストーム』では、両手をあげての3回転ルッツや3回転フリップのほか、3連続ジャンプも跳んで会場を沸かせた。

 紀平は、静岡公演2日目と最終日にはトリプルアクセルにも挑戦。2日目は転倒したが、最終日は両足ながら着氷した。また、ダブルアクセル+3回転トーループや3回転ルッツ+3回転トーループ、3回転ルッツ+2回転トーループ+3回転ループも跳んで、きれいな3回転サルコウで締める滑りも披露。シーズンインへ向けて、紀平の武器であるトリプルアクセルを磨いていく道筋が見えていた。



神戸、新潟、静岡の3公演に登場した三原

 また、神戸からの3公演に出演した三原は、彼女の特徴である伸びやかな滑りを強調する昨季のエキシビションプログラム『ラ・カリファ』を演じた。

 ジャンプ構成は、神戸では最初に3回転ループを跳んでいたものを、最終公演の静岡ではダブルアクセル+3回転トーループに変更していたが、会場を大きく沸かせていたのは、3回転ルッツ+3回転トーループに2回転トーループや2回転ループをつけた5連続ジャンプだった。さらに、静岡の最終日には6連続ジャンプも披露して観客を驚かせた。

 伸びのある滑りのステップなどを見せた演技終盤には、3回転サルコウ+2回転トーループ+2回転ループも構成に入れるなど、三原は楽しみながらシーズンへ向けて調整を続けている姿を見せていた。

 今年も、全国各地で開催されるアイスショーで、新シーズンへ向けて日本人スケーターたちが着々と準備を進めている。