【写真提供=共同通信社】1997年7月、オールスター第1戦の5回に三盗を決めて1試合4盗塁の球宴新記録を達成した西武・松井=大阪ドーム1997年7月23日のオールスターゲーム第1戦。まさに次世代のスピードスターの誕生を日本中のプロ野球ファン…

【写真提供=共同通信社】1997年7月、オールスター第1戦の5回に三盗を決めて1試合4盗塁の球宴新記録を達成した西武・松井=大阪ドーム

1997年7月23日のオールスターゲーム第1戦。まさに次世代のスピードスターの誕生を日本中のプロ野球ファンが目に焼き付けた試合であった。

パシフィックリーグのスタメンに二番・遊撃手で名を連ねた西武ライオンズの松井稼頭央。大阪ドーム(現:京セラドーム大阪)に集まった観客2万8969人、そしてTVの前の多くの野球ファン(視聴率は、関東平均:23.8%の高視聴率であった。)が見守ったこの試合は、この男の独壇場となる。オールスター初打席となった一打席目こそ併殺打に倒れるも、3回に回ってきた二打席目で初ヒットとなるレフト前安打を記録。塁上で二歩三歩とリードを広げると、セントラルリーグの捕手・古田敦也は、松井の足を警戒。古田は、その正確なキャッチングからのスローイングと強肩で12球団No.1の阻止率を誇る名捕手。松井は、その古田相手にすかさず盗塁を試み、まずは二盗に成功。続いて三盗も決め、初出場の男がいきなり球場を沸かせる。

次に見せ場がやってきたのは5回。松井は、この日2本目となるセンター前ヒットで出塁すると、スタジアム内やテレビの前は、次も松井が走るのではという期待感に包まれる。捕手の古田は、記録が残って以降で歴代最高となる.644の盗塁阻止率を1993年に記録するなど、名実ともに球界No.1捕手としての地位を確立していた。オールスターゲームとはいえ、ここで松井にやすやすと盗塁を許すわけにはいかないというプライドが、松井のリードとともにスタジアム内に緊張感を生んだ。松井は、全パの3番打者・小久保裕紀(当時ダイエーホークス)の3球目にスタートを切った。古田の正確で早いスローイングが、二塁ベースに一直線で向かったが、まさに間一髪のタイミングもセーフ。松井は、オールスターゲームタイ記録となる1試合3盗塁を記録する。ここまで来ると、松井が1978年に南海ホークスの藤原満が記録した1試合3盗塁の記録を、19年ぶりに更新するかに注目が集まった。まさかここで三盗仕掛けてくるのか!?という空気にスタジアムが包まれる中、すかさず三球目に盗塁を試み成功させた。1試合4盗塁というオールスター新記録を打ち立てた松井はMVPを獲得し、新たなスピードスターの誕生を野球ファンに印象づけた。今年の「マイナビオールスターゲーム2018」、その瞬足でファンを魅了する選手は現れるのか!?