6月11日に開幕する第67回全日本大学野球選手権大会(神宮球場・東京ドーム)。その東京ドーム開幕戦に登場するのが2年ぶりの出場となる奈良学園大だ。昨春は国立の和歌山大に優勝をさらわれ近畿学生リーグでの連覇が15でストップ。秋季リーグも大阪市立大が優勝し、明治神宮大会出場も叶わなかった。
そんな悔しさを糧にしたチームは個性豊かな面々で、帰ってきた全国舞台で躍進を目指している。(文・写真=高木遊)

写真左から米満、菅田、古川、大畑、上原

★二刀流、履正社のベンチ外、プロ志望の万能野手
 まず、活躍すれば大きな話題となりそうなのが菅田大介外野手(3年・京都共栄学園)だ。登録は外野手だが投手としての登板も視野に入れる。身長187cm80kgという恵まれた体格を生かした長打力のある打撃と、左腕から放たれる最速145km/hの角度あるストレートを投じる。背番号は柳田悠岐外野手(ソフトバンク)に憧れ「44」。常識を凌駕する豪快な活躍に期待したい。

 内野の中心となるのは遊撃手を務める米満凪内野手(4年・敦賀気比)。酒井真二監督は「どこでも守れる守備力と盗塁技術がある」と評価しており、リーグ戦で打率.406を記録した確実性の高い打撃を今大会でも見せて、目標とするプロ入りへ大きなアピールをしたい。また兄の一聖(東海理化)は駒澤大時代の1年秋に明治神宮大会優勝を経験しており兄弟揃っての大学日本一を目指す。

 投手では本格派右腕の大畑理暉投手(2年・履正社)が楽しみな存在。最速146km/hの力強いストレートにキレの良いスライダーなどの変化球を投じる。履正社時代は怪我や寺島成輝投手(ヤクルト)・山口裕次郎投手(JR東日本)ら同期の好投手たちの影に隠れてベンチ外。甲子園はスタンドから声援を送っていた。それだけに初の全国舞台に向けて闘志を燃やしている。

大学では1年時から経験を積み、今季はエースに成長した大畑(写真は1年秋)

山添真有マネージャー(2年・交野)とともにチームを支える上原マネージャー

★チームを支える控えの主将と女性主務
 チームを支える選手・マネージャーの存在も大きい。
 主将を務める古川徳良捕手(4年)は、今でこそ酒井監督から「古川中心に良いチームができている」と信頼されているが、1・2年時は「フラフラしていた時期でした」と本人が振り返るように、野球に身が入りきっていない時期もあった。
 だが3年になった頃から1学年上の宮本丈内野手(現ヤクルト)とともに自主練習を行うようになり意識も徐々に変化した。また現在も「数えきれないほど自然と出ている」という龍谷大平安の原田英彦監督の教えの数々を思い出し、責任感が強くなっていった。そして、3年秋に宮本から引き継ぐ形で主将に立候補し就任。控えの捕手兼一塁手という立場でベンチからチームを盛り上げ、練習や日々の生活では「コミュニケーション多く取ってくれるのでやりやすいです」(大畑)とチーム全体の結束力を強めた。

 そして古川主将も「よく気付くし、こちらが気づいたらもう行動してくれています」と信頼を置くのが1年時から主務を務める上原美穂マネージャー(2年・上宮太子)だ。
 幼い頃に祖父と藤井寺球場へ近鉄の試合を観に行っていたことや、兄も野球をしていた影響もあり、高校時代からマネージャーに。大学では1年時から主務を任され、書類や金銭面の管理、来客の応対なども丁寧に行い、下級生とは思えない働きぶりでチームを裏方から支える。「まだ選手に助けてもらうことも多いですが、ちゃんと私が指示しないと困るのは選手なので、アンテナを張るようにしています」と話す。

 「部員全員で全国制覇を目指すと思わなければいけない」と話す古川主将の言葉通り、グラウンドに出ている選手とそれを支える部員の力を融合させ奈良学園大は、一昨年果たした4強のその先を目指していく。

二刀流での活躍が期待される菅田

高校3年春には甲子園優勝も果たしている古川主将

走攻守にわたる活躍を目指す米満

文・写真=高木遊