国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦するサンウルブズは、3月19日、約2週間あった南アフリカ遠征から帰国。一夜明けた20日は、雨天に見舞われた都内のグラウンドで練習をおこなった。24日の東京・秩父宮ラグビー場でのチーフス戦に備える。

「求める結果は得られませんでしたが、向上が見られます。対戦相手はすべて2~3か月の事前準備をしています。それに対し、こちらはやっとリズムが取れ始めた」

 開幕からの連敗を4に伸ばしてしまった南アフリカ遠征をこう振り返るのは、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(HC)だ。チームにとって4戦目にあたる現地時間17日の第5節では、前年度準優勝のライオンズに38-40と肉薄。成長を実感しているという。

「怪我をした選手が戻り、もう一度セレクションできるのは嬉しいことです」

 現地時間10日の第4節では、シャークスに22-50と大敗。攻め込んだ先でのエラーでチャンスを失い、守っては大外のタックラーの背後に何度もパスを通された。しかしライオンズ戦に向けては、防御網が飛び出すか否かの判断にマイナーチェンジを加える。当日は、インターセプトからのトライや敵陣深い位置でのプレッシャーなどで成果を示した。

 しかし共同主将の1人であるSHの流大は、「勝ちに行っていたので率直に悔しい気持ちでした」。ホームのライオンズが前年度の準チャンピオンであるのに対し、サンウルブズは発足3シーズン目で通算3勝。この構図が引き起こす「いい試合でした」との問いかけに、首を縦に振ることはない。

「1戦目の前よりも2戦目の前の方が、練習の質もアティチュード(態度)もよかった」と仲間を称えながら、こうも続けた。

「(善戦を褒められることは)条件的に難しいと踏まえたうえでの評価だったと思うのですが、実際に(試合後の)ロッカーへ帰った時も皆は下を向いていて、悔しい思いをしていました」

 ジョセフHCが指導するラインアウトでは要所でボールを失った。指揮官は「移動に時間を取られ、合わせる時間がなかったという点が(苦戦の理由に)挙げられます」とし、「(唯一の身長2メートル以上である)グラント・ハッティングも(第3、4節では)怪我。重要なメンバーがいないなかでこれだけやれていた…という意味ではほぼほぼ満足していますが、(今後は)革新的なアイデアを出さなくてはならないと思います」とも続ける。

 どのチームと対戦するうえでも不可避の身長差に、この先どう立ち向かうか。選手は「リフト、ジャンプの精度」を反省点に掲げる。

 19日が移動日だったとあり、次戦までの準備期間は通常より1日短い。しかし試合当日は、遠征に出かけていたメンバーと国内で待機していたメンバーが融合しそうだ。

 代表経験の豊富な堀江翔太や稲垣啓太、田村優らは、本隊の遠征中は国内のナショナル・デベロップメント・スコッドのキャンプで調整していた。ジョセフHCいわく、「経験者に国内に残ってもらい、プレッシャーをかけるよう(在日スタッフに)リクエストしました。怪我のため残っていた選手もいます」とのことだ。

 選手の入れ替わりに伴うコンビネーションの調整は、2勝に終わった前年度の課題のひとつだった。ジョセフHCが「怪我人が出たために仕方のないところもありましたが、(全体的には)やっとコンビネーションが合ってきたと思います」とするなか、今季新加入で主将となった流はこう手綱を締める。

「オフフィールドでのコミュニケーションが大事になるので、しっかりとトークします。ツアーへ行ったメンバーがしっかり落とし込めれば。徐々にではなく、今日(20日)からスイッチオンしてやろうという話をしました」

 今度ぶつかるチーフスはニュージーランド・カンファレンスの一角で(サンウルブズはオーストラリア・カンファレンス)、現サンウルブズのリーチ マイケルの前所属先でもある。

 FBのダミアン・マッケンジーやPRのネポ・ラウララなど突破力に長ける選手が多く、FLのサム・ケイン主将やLOのブロディー・レタリックら激しい黒子役も揃う。

 万能型のチームにどう勝つか。ジョセフHCは「一人ひとりがタックルを成功させなくてはいけない。それができれば、勝ち始める」とキックを蹴った先での守りにフォーカスを当てる。

 流は「相手はアンストラクチャーが強い。そこに付き合いすぎると相手のペースになるので、ディフェンスでプレッシャーをかけ、ボールを奪ってからのアタックで(得点を重ねたい)」。やはり、鋭い出足の防御で活路を見出したいとした。

 チームは21日以降、天候などを勘案して練習会場を変更する。都内の辰巳の森海浜公園ラグビー練習場ではなく、千葉県のクボタスピアーズ施設で最後の仕上げに移る。(文:向 風見也)