第54回全国大学ラグビー選手権大会は12月16日の3回戦から関東、関西のチームが登場し、1回戦から勝ち上がってきた東海・北陸・中国・四国代表の朝日大は、東京・秩父宮ラグビー場で流通経済大(関東大学リーグ戦1部3位)に挑んだが、34-54で…

 第54回全国大学ラグビー選手権大会は12月16日の3回戦から関東、関西のチームが登場し、1回戦から勝ち上がってきた東海・北陸・中国・四国代表の朝日大は、東京・秩父宮ラグビー場で流通経済大(関東大学リーグ戦1部3位)に挑んだが、34-54で敗れた。

 自分たちより力があるであろう流経大に対し、ディフェンスでボールを取り返して攻めることを準備してきた朝日大だったが、自分たちからボールを失うことも多く、関東勢を倒すことはできなかった。

 吉川充監督は、「勝負のあやを取っていれば、勝てた試合。基本的なことの精度を下げずにやり続けること、それを、今日のような、いつもとは違った環境のなかでもできることがあらためて重要だと感じました。しかし、選手たちは小薗(恭平)キャプテンを中心によくまとまって、みんなで一つのことを大切にして頑張ったと思います」と戦いを振り返った。

 開始2分で流経大が先制した。ターンオーバーからSH横瀬慎太郎が4人のタックラーをかわして約60メートル走り切る。その後、朝日大がPGとトライを奪い逆転したが、流経大は17分にWTB伊藤啓希が右隅にフィニッシュして再び先行すると、20分には相手に落球させてカウンターで継続し、FB桑江淳太郎がインゴール左に決めてリードを広げた。
 朝日大は23分、トンガ代表選手でもあるNO8シオネ・ヴァイラヌの突進とオフロードからチャンスを広げて右へテンポよく展開し、WTB木下雄斗が右隅を襲うと、止めようとした流経大のLOタウムア・ナエアタがハイタックルをし、レフリーはペナルティトライを宣告。流れを引き戻した朝日大はさらに33分、グラウンド中央付近のスクラムで押して左へ展開し、WTB永野拓也が走り抜けゲームをひっくり返した。

 それでも、流経大は38分、ラインアウトスチールから攻め上がり、FL粥塚諒がゴールへ運んで再逆転。28-24で折り返した。
 49分(後半9分)、62分と流経大のCTBムゼケニエジ・タナカ・ブランドンが駆け抜ければ、朝日大は55分にFB吉村友佑のブレイクスルーをきっかけにトライが生まれ、72分にはラインアウトからパワフルなFWの突進をはさんでクイック展開で取り切り、シーソーゲームに。しかし、流経大は8点リードで迎えた75分、CTBタナカがディフェンダーをひきつけて作ったスペースをFB桑江が抜けて大きな追加点を獲得。79分にはCTBタナカがハットトリックを決め、朝日大の挑戦を退けた。

 地方の大学がこれだけの健闘をするのは近年なかったことで、力の差をどのように感じているかという問いに、朝日大の吉川監督は、「自分たちにないもの、できないことを言い募っても仕方がない。僕らは、自分たちよりも大きくて強くて速い相手と戦って勝つことを目指して日々やっている。差があっても、ここで戦える機会を大事にしたい。地方の大学でも、中央のチームと十分戦えることを今日は勝つことで証明したかった」と語った。

 小薗キャプテンは、「コンタクトレベルについては、低く速くを徹底すれば通用した。ここは、これからの朝日大ラグビー部にとって収穫だったと思います」とコメントし、後輩たちに希望をつないだ。

 一方、勝った流経大の内山達二監督は、「何から話していいか分からないほど、いろんなことが噛み合っていなかった。朝日大さんの、この試合にかける意気込みに、ウチがプレッシャーを感じて受けに回った。反則も多い、ミスも多い。非常に課題の残るゲームでした」とコメントした。

 勝った流経大は23日、秩父宮ラグビー場でおこなわれる準々決勝で、9連覇を目指す帝京大と対戦する。