「ジャパネット杯 春の高校バレー」JVA第78回全日本高等学校バレーボール選手権大会は11日に決勝が行われ、男子は東山(…

「ジャパネット杯 春の高校バレー」JVA第78回全日本高等学校バレーボール選手権大会は11日に決勝が行われ、男子は東山(京都)が6年ぶり2度目、女子は金蘭会(大阪)が7年ぶり4度目の優勝を果たして幕を閉じた。今回は男女ともブロックと守備、攻撃への連係などシステム面で上位チームのレベルの高さが目を引いた。

私が主に担当した男子で最も注目された大一番は、やはり準々決勝の東山-鎮西(熊本)だろう。一ノ瀬漣(2年)と岩下将大(3年)のダブルエースを中心に高い攻撃力を誇り、夏の高校総体、秋の国民スポーツ大会に続く3冠を狙った鎮西は、51年間チームを率いてきた畑野久雄監督(当時)が大会直前の11月24日に80歳で急逝したことでも注目を浴びた。

一方、国スポ決勝で優勝目前に鎮西に逆転された東山は、春高でのリベンジを誓っていた。最終局面で一ノ瀬との2年生エース対決に打ち負けた岩田怜緯(れい)に、豊田充浩監督は「お前は一ノ瀬に負けたんや」と厳しく自覚を求め、成長を促した。チームは春高へ向け、ブロックとレシーブの連係など守備練習の強度を上げてきた。

両者の激突で、岩田と一ノ瀬、そして岩下と東山・斎藤航の3年同士の打ち合いは実に見ごたえがあった。だがギリギリの戦いで勝敗を分けたのは、守備力のわずかな差だったように感じる。

激しいラリーが続いた第2セット終盤、東山は1年生で正リベロを任される辻本侑央(ゆう)を中心に堅い守りで岩田や斎藤につなぐ。セッター山上晴太郎(3年)は25-26のしびれるような場面で東村悠叶(2年)の速攻に託すなど、鎮西にブロックの的を絞らせなかった。また東村と小沢風雅(3年)のミドルブロッカーは、この競り合いの中で一ノ瀬や岩下の攻撃を3本、ブロックに仕留めている。最後にバックアタックの2連発で勝負を決めたのは岩田だったが、東山は岩田だけに頼らない総合力で勝利をつかんだ。

事実上の決勝戦とも思える高レベルの戦いで、岩田は試合後に「一ノ瀬との打ち合いはとても楽しい時間だった。(勝利は)うれしいけど、楽しい時間が終わってしまうのが嫌だった」と振り返った。それほど充実していたのだろう。

東山のほか、清風(大阪)、雄物川(秋田)、駿台学園(東京)が進んだ準決勝以降も、1本のサーブ、1つのミスで流れが変わってもおかしくない、僅差の高いレベルで、見ごたえがあった。

4強はいずれも、ブロックとフロア守備の連係や強いスパイクを正確にセッターに返すレシーブ力、セッターによる多彩な攻撃オプションなど、システム的に完成したチームだった。特にレシーブ力の高さは近年まれに見るほどで、男子でもラリーが長く続いた。これは、どのチームも一ノ瀬らの攻撃力を前提に「打倒・鎮西」を目指して守備力を磨いてきた成果といえるのかもしれない。

一ノ瀬や岩田のほか、1年生で194センチの田中洸(鹿児島・川内商工)ら、将来日の丸をつけて活躍する姿が期待できる逸材も多かった。視察していた男子日本代表のロラン・ティリ監督も満足だったのではないか。岩田や一ノ瀬は春に発表される代表登録選手に入るかもしれない。

ただ残念だったのは、くだんの東山-鎮西が2セットで終わってしまったこと。準決勝以上の5セットマッチなら「楽しい時間」はもっと続いていたし、結果も違っていたかもしれない。

都道府県代表が出場する国スポは、単独の高校と選抜チームとが混在するため、その成績は春高のシード校を決める上で考慮されない。それはわかるが、今回のように国スポで上位になった学校同士が早い段階で当たるのは実にもったいない。盛り上げだけでなく、選手のポテンシャルをより引き出すためにも、国スポに単独出場して3位以内に入った学校にシードポイントを与えるなど、高体連の担当者には検討をお願いしたい。(只木信昭)