春の大舞台で、青空に届きそうなほど手を伸ばす。まさに青春-。そう書こうとして、手が止まった。届きそうで、届かない。勝ち切…
春の大舞台で、青空に届きそうなほど手を伸ばす。まさに青春-。そう書こうとして、手が止まった。届きそうで、届かない。勝ち切れなかった悔しさも、背負ってきた重圧も、言葉にすれば、何かがこぼれ落ちそうだった。
東北(男子・宮城)は、春高バレー2回戦で東山(京都)にストレート負けを喫した。第1セットは序盤から5連続失点。持ち味のチームワークを発揮できないままタイムアウトを取ったとき、歌が聞こえた。「この歌声が聞こえるか」。打楽器のリズムに乗せた、スタンドからの盛大な応援歌だ。試合再開後、ブロックで相手の鋭いスパイクを止めると、会場がわいた。リベロが拾い、セッターが上げる。「つなぐ」スポーツの神髄を見た。
4連覇を目指した駿台学園(男子・東京)は、準決勝で清風(大阪)にフルセットの末、敗れた。運命の最終セット、ボールが往復するたび、どよめきが広がっていく。足がつっても、転んでも、フェンスに激突しても、つなぐ。終わらないでほしい。そう願うのは、初めてだった。「粘り強いラリー」「一進一退の攻防」-。ありきたりな言葉を、使いたくなかった。
1点差で迎えた相手のマッチポイント。ワンタッチを狙った強打がアウトになった瞬間、会場が静まり返った。すぐさま、相手スタンドから歓声が上がる。終わった。敗れた選手たちが天を仰ぐ。コートサイドから見上げた天井は、どこまでも高く、まぶしかった。
春と呼ぶには、まだ肌寒い。青と呼ぶには、あまりに熱い。オレンジに染まったコートの上、走って、つないで、手を伸ばす。そこにあった何かを伝える言葉を、今もまだ探している。(永礼もも香)