日本サッカーは「右肩上がり」の成長が続いている。男女の代表チームや欧州での個々の活躍が目を引くが、そのベースにあるのは…
日本サッカーは「右肩上がり」の成長が続いている。男女の代表チームや欧州での個々の活躍が目を引くが、そのベースにあるのは「選手育成」の充実だろう。サッカージャーナリスト後藤健生が、日本サッカー界の未来を照らす「才能」たちに目を向ける!
■日本代表が抱える「問題点」
こうして、日本のユース年代の選手の能力はどんどん上がっている。
世界大会の予選を兼ねたアジアカップでは苦労しても、U-20でも、U-17でもワールドカップでアジア最上位の成績を残すのはたいてい日本代表である。
2025年の大会でも、U-20日本代表はチリで開かれたU-20ワールドカップに出場してグループリーグを首位通過。ラウンド16ではフランス相手に日本がボールを握り続け、圧倒的に攻め込み続けた。しかし、延長戦まで120分戦って、とうとうゴールを決めることができず、逆に延長戦終了間際にPKを取られて涙を呑む形となった。
カタールで行われたU-17ワールドカップでも、日本はヨーロッパ・チャンピオンのポルトガルを抑えて首位でグループリーグを突破。ラウンド32で南アフリカに快勝。ラウンド16では北朝鮮相手に苦戦を強いられたものの、PK戦で勝利して準々決勝進出に成功したが、オーストリア相手に互角以上の戦いをしながら1点差で敗れてしまう。
あらゆるカテゴリーの大会で、男子の日本チームはグループリーグを突破することが多くなった。だが、ノックアウト方式(いわゆるトーナメント)に入ってから、なかなか勝ち切れないのだ。フル代表も、これまで4度も決勝トーナメントに進みながら、1回戦目を突破したことがない。
現在のような状態を見ていると、むしろ、日本チームが決勝トーナメントで上位に行けないことのほうが不思議なくらいだ。いったい、何が原因なのか? そのあたりに、日本サッカーの課題あるいは問題点が存在するのであろう。
■「良い内容」の試合をしても…
さて、高円宮杯も、高円宮妃杯も、いずれもグループリーグなしのノックアウト方式で行われる大会だ。
従って、ベスト4に入った男女それぞれ4チームずつは、けっして最強チームとは言い切れないのかもしれないが、少なくともそれだけの実力があり、また調子が上向きのチームであることは間違いない。
僕が直接スタンドから観戦できた試合(準決勝以降)を観ると、男子の準決勝で最も良い内容の試合をしたのは、ガンバ大阪ジュニアユースだったのではないか?
準決勝で横浜F・マリノスジュニアユースと対戦したG大阪。オープンな攻め合いで幕を開けたが、G大阪はFW陣、とくに藤堂優心が相手守備ラインの裏に飛び出す動きが良く、チャンスをつくる。そして、20分以降は横浜FMにほとんどチャンスをつくらせず、29分に右CKからのリターンを笠井直樹が受けてクロスを入れると、ゴール前で砂田晄一登が合わせて先制に成功する。
そして、その後も前半終了まで完全にゲームをコントロールして、チャンスをつかみつづけた。だが、結局、「2点目」が奪えないまま終了した。
そして、そのツケが回ってくることになる。
■育成年代から「求めたい」意識
後半に入って、46分、横浜FMがロングボールを使ってカウンター気味の攻撃。右サイドから藤澤斗亜が持ち込んで中央に入れたボールに鈴木遼が合わせて同点としたのだ。
G大阪は、その後も何度もチャンスをつかんだが、結局勝ち越し点は奪えず、1対1の引き分けに終わり、PK戦の末、横浜FMの決勝進出が決まった。
シュート数を比べればG大阪の16本に対して横浜FMは6本だけ。内容的には間違いなくG大阪の試合だった。
しかし、前半、良いリズムで攻めている時間に、G大阪は、まるでそのプレー内容に満足しているかのように見えた。しっかりボールを握って、サイドも使い、相手の裏も取れている。チャンスの数も多いし、シュートも撃てている……。
しかし、どんな内容の良いサッカーをしていても、ゴールを決められなければ満足してはいけない。
グループリーグは突破できても、ノックアウト方式で勝てない各年代の日本代表。その問題点にも関連しているのではないか。良いリズムで攻めているなら、無理をしてでも、泥臭くてもいいから、とにかくゴールを決めるまでは満足せず、どん欲に得点を求めていく……。
これまでは、育成年代を卒業してから、もっと極端に言えば、ヨーロッパに移籍してから、そうしたゴールに対するどん欲さを身につけることが多かった。だが、そろそろ、育成年代からそういった意識を強く持って戦う姿勢を付けさせるべき時期に差し掛かっているのではなかろうか?
それが、近い将来、日本代表が次のステージに進むための条件のように思えるのである。