88年の秋競馬は芦毛の両横綱がけん引した。その2頭とは3歳のオグリキャップと4歳のタマモクロス。天皇賞(秋)とジャパ…

 88年の秋競馬は芦毛の両横綱がけん引した。その2頭とは3歳のオグリキャップと4歳のタマモクロス。天皇賞(秋)とジャパンCではともにタマモクロスが先着。そんな中で迎えた最終決戦の有馬記念を振り返りたい。

 1番人気はタマモクロスだった。この年は天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)とGIを3連勝。そして前走のジャパンCでも日本馬では最先着となる2着に奮闘し、ラストランとなる一戦を前に、国内最強の座を確固たるものとしていた。そして2番人気がオグリキャップ。春競馬を前に地方・笠松から移籍するや、重賞を破竹の6連勝。天皇賞(秋)とジャパンCではともにタマモクロスに先着を許したものの、アイドルホースとして絶大な人気を集めていた。これまでは河内洋騎手が手綱を取っていたが、このレースでは岡部幸雄騎手と初コンビ。最後のチャンスで打倒タマモクロスなるかに注目が集まった。

 スタートするとレジェンドテイオーが逃げて、ゆったりと流れた。オグリキャップは中団前から。これをマークするように菊花賞馬のスーパークリーク。タマモクロスやマイルCS覇者のサッカーボーイは後方で脚をためた。

 レースが動いたのは3角過ぎだった。大外からタマモクロスが進出を開始すると、合わせるようにオグリキャップもギアチェンジ。直線に向くと、馬場の真ん中から抜け出したオグリキャップに対し、タマモクロスが大外から迫る。一旦はタマモが交わしたかに思えたが、ここからオグリが勝負根性を発揮。ゴール前でグイッと突き放し、タマモクロスに半馬身差をつけてGI初制覇を果たした。

 人気2頭の決着で枠連は350円。実に堅い決着だったが、3位入線のスーパークリークがメジロデュレンの進路を妨害したために失格となり、サッカーボーイが繰り上がりで3着。そんな出来事もあった一戦だったことを最後に付け加えておきたい。