昨季のメルセデスランキング1位・竹田麗央、2位・山下美夢有、3位・岩井明愛、5位・岩井千怜の4人が米ツアー参戦で抜けた…

明暗を分けた佐久間朱莉(左)と桑木志帆

昨季のメルセデスランキング1位・竹田麗央、2位・山下美夢有、3位・岩井明愛、5位・岩井千怜の4人が米ツアー参戦で抜けた今季の日本女子ツアーは、データを見る限り“穴”を埋められなかった感が強い。

今季と昨季の主要スタッツのトップデータを比較すると、メルセデスランキングは佐久間朱莉の「2681.61pt」が昨季なら3位相当、平均ストロークは佐久間の「70.0585」が4位相当、パーオン率は高橋彩華の「75.3030%」が3位相当となる。

平均パット数(パーオンホール)は河本結の「1.7541」が6位相当、パーセーブ率は高橋の「90.2525」が3位相当。平均バーディ数は佐久間の「3.8987」が6位相当、ドライビングディスタンスは神谷そらの「261.92yd」が4位相当、リカバリー率は高橋の「70.7566%」が3位相当…。

堀琴音が「80.7212%」のフェアウェイキープ率と柏原明日架が「63.5036%」のサンドセーブ率を除く分野では“消えた4人”の誰か、または複数人が今季の1位データを上回っていた。

佐久間のブレークを支えたのはピンを攻める勇気か

そんな中で、印象的なデータを残した2人をピックアップしてみた。新女王に輝いた佐久間と、女王候補と言われて0勝に終わった桑木志帆だ。佐久間は最終戦前の「大王製紙エリエール」終了時で平均ストローク「69.9382」と史上5人目の“60台”まであと一歩に迫った。昨季が「70.3328」(6位)だけに確かな成長を示したが、面白いのはパーオン率が逆に「74.0240%」(5位)から「72.4332%」(13位)に落ちたこと。スコアメークの肝がダウンしながら、平均バーディ数も昨季の8位(3.7027)から1位にアップした。

佐久間はリカバリー率が昨季の「66.4740%」(19位)から「67.8541%」(4位)へ、平均パット数も「1.7745」(11位)から「1.7613」(4位)へ良化した。ピンを狙う意識が高まり、バーディが増え、グリーンを外してもパーでしのげる―。ディフェンス力に裏打ちされた勇気あるショットが、今季の躍進を支えたのかもしれない。

桑木は自慢のショット力を生かしきれなかった

一方、桑木には0勝に終わったことが不思議に思えるデータがある。トータルドライビング(ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率の順位の合算)とボールストライキング(トータルドライビングとパーオン率の順位の合算)で1位。両スタッツの計測が始まった2017年以降の“2冠”は17、19年のイ・ミニョン(韓国)と20、21年の西郷真央に続く3人目だった。

平均ストロークは3勝した昨季の「70.4956」(8位)から「70.7152」(6位)と若干下がったが、パーオン率は「73.0228%」(11位)から「73.4836%」(4位)にアップしており、持ち前のショット力を生かしきれないシーズンだったようだ。(編集部・加藤裕一)