大相撲で大関経験者の朝乃山(31=高砂)が史上初めて、幕内から2度の三段目転落を経て、3度目の返り入幕を果たした。初場所…
大相撲で大関経験者の朝乃山(31=高砂)が史上初めて、幕内から2度の三段目転落を経て、3度目の返り入幕を果たした。初場所(来年1月11日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表された22日、朝乃山は都内の高砂部屋で報道陣に対応。「無事に上がれてよかった。幕内に上がってからが、ここからが本当の勝負だなと思っている」と話し、先に新入幕会見していた弟弟子の朝白龍と並び、記念撮影に納まって笑顔を見せた。
左膝の大けがから徐々に番付を戻し、昨年7月の名古屋場所以来、9場所ぶりの幕内復帰を果たした。関取復帰2場所目となった11月の九州場所は、西十両4枚目で12勝3敗の好成績。それでも十両上位には、同様に幕内昇進に値する成績を残した力士がズラリといたため、千秋楽まで幕内昇進切符の行方は、分からない状況だった。
「僕は十両4枚目でしたけど、筆頭から3枚目まで混戦だった。もしかすると10番(勝)では上がれなかったかもしれないので、2桁勝った後の相撲も白星を積み重ねることができたので、それが再々入幕につながったかなと思います」。幕内から転落する力士が多い場所だと、10勝すれば幕内昇進相当の成績だったが、そこで気を抜かず、12勝したことで、今場所で3人幕内に昇進した中で、最上位の東前頭16枚目に名を連ねた。
今年を振り返る漢字として、色紙に「不屈」と記した。幕内から2度も三段目に転落、しかも1度は大関からの転落を経験しながら、再びはい上がってきた。史上初どころか、空前絶後ともいえる事象は「不屈」の精神があったからこそ。「1番は自分の気持ちが折れなかったこと。それで、ここまで続けられた」と、かみしめた。
さらに来年の目標として同じく色紙に「三役」と記した。「次の目標は三役と決めていますので。また新たな気持ちで、大関を目指していきたいと思います。自分の道は、頂点か、引退するしかない。目標を高く持って、来場所からまた頑張っていきたい」。まずは来年、三役に戻った上で、再び元の番付に上がる目標を忘れてはいない。
「これが本当のラストチャンス。けがしないよう、基礎から大事にしていきたい。ここまできたら、現役を長く続けたいので。不屈の気持ちを持って、土俵に上がりたい」。1年半ぶりに戻る幕内土俵に立ち続けることを誓った。【高田文太】