<フィギュアスケート:全日本選手権>◇20日◇第2日◇東京・代々木第一体育館◇男子フリー王者異例の悔し涙で、男子が幕を閉…
<フィギュアスケート:全日本選手権>◇20日◇第2日◇東京・代々木第一体育館◇男子フリー
王者異例の悔し涙で、男子が幕を閉じた。ショートプログラム(SP)首位発進の鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が大会2連覇を飾り、来年2月に開幕するミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)代表に内定した。
183・68点の287・95点。1991年から3連覇した父正和コーチ(54)との大会初となる父子連覇も達成した。個人、団体ともに銀メダルだった22年の北京五輪に続く2大会連続の切符を手にした。
しかし、笑顔は全くなかった。冒頭の4回転サルコーで出来栄え点(GOE)4.57を稼ぐジャンプに成功。中継局フジテレビの速報値では、一時4・85のGOE満点と表示されたほどの美しさだった。
続く4回転トーループもGOE4・34と完璧な滑り出し。ところが、全体4番目に2連続で跳ぼうとしたトリプルアクセル(3回転半)がシングルになり、慌てて3連続に。基礎点が1・1倍になる演技後半の4回転トーループでは3連続を予定していたが、リカバリーの影響で2連続にするところ、まさかの1本目から転倒した。
SPの貯金が生きて優勝したが、フリーは佐藤駿(21=エームサービス/明治大)に次ぐ2位。完全制覇は果たせなかった。
得点を待つキス・アンド・クライでは、最初から険しい表情。優勝が決まると画面越しに感謝はしたが、カメラがグリーンルーム(上位3人の待機室)の佐藤と三浦佳生、中田璃士に移った後、再び鍵山に戻った時には泣き崩れていた。
父の正和コーチも、カロリーナ・コストナー・コーチにも笑顔はなく「うぅぅ」と、すすり泣く声がテレビに拾われる異例の展開。正和コーチが「みんな見てるぞ」と頭や背中をさすった。
われに返り、涙を応援タオルでぬぐって「ありがとうございました!」と気丈にあいさつした。ただ、鍵山はミラノ・コルティナ五輪で金メダルを目指しており、納得できるはずがなかった。V2王者の涙で地上波の生中継が終了する、珍しい結果となった。
◆鍵山優真(かぎやま・ゆうま)2003年(平15)5月5日生まれ、横浜市出身。星槎国際高横浜を経て22年から中京大。5歳で競技を始め、19年全日本ジュニア優勝。20年ユース五輪金メダル。22年北京五輪で個人&団体銀メダル。24年4大陸優勝。同全日本優勝。世界選手権は銀メダル3個(21、22、24年)銅メダル1個(25年)。趣味は写真撮影。160センチ。血液型O。
◆全日本の父子優勝 66年から3連覇を達成した小塚嗣彦を父に持つ小塚崇彦が10年に制し、史上初めて達成した。鍵山は前回大会で初めて頂点に立ち、2組目の快挙。父の正和コーチは、91年から3連覇を果たしており、連覇した父子は史上初のケースとなった。