ワールドカップ大予想(後) ワールドカップ北中米大会の組み合わせ抽選会が5日(現地時間)に行なわれ、日本はグループFに入…
ワールドカップ大予想(後)
ワールドカップ北中米大会の組み合わせ抽選会が5日(現地時間)に行なわれ、日本はグループFに入り、オランダ、チュニジア、そしてウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアによる欧州プレーオフB組の勝者と対戦することになった。グループリーグの結果を、4人のジャーナリストが占う。
クジ運に恵まれたとは言えない。ベスト8以上は至難の業に
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
オランダ=●
チュニジア=○
ウクライナ・スウェーデン・ポーランド=△、アルバニア=○
この組で2位、もしくは12組のなかで成績のいい3位以内に滑り込み、ベスト32入りする可能性は、60%はあるだろう。しかし決勝トーナメントを睨むと、ベスト16の可能性は40%以下に下がる。ベスト16を逃せば前回以下の成績だ。当初、森保一監督が口にしていたベスト8以上は至難の業。クジ運に恵まれたとは言い難い。
抽選会の会場で笑顔を見せる森保一日本代表監督photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography
初戦で戦うオランダはベスト4入りした昨年のユーロから戦力がさらに上昇。選手層は厚く、安定感と爆発力が増した。FIFAランクは7位だが、今大会の優勝候補のひとつだと見る。
つけ入る隙があるとすれば、油断してくれるオランダ人の気質だ。力がありながらワールドカップで優勝できない(過去2位3回、3位1回)理由と、それは深い関係がある。日本に番狂わせを許した前回大会のドイツ、スペインの役回りを演じてくれる可能性、なきにしもあらず。楽観的な姿勢で日本に向かってきてくれればしめたものだ。
ただ一方で、このグループFで2位になると決勝トーナメント1回戦でグループC1位(おそらくブラジル)との対戦が待ち構えている。オランダが首位通過を狙えば、初戦の日本を警戒し、研究してくるのは当然だ。日本にとって絶対に避けたいのはオランダの攻撃力をモロに浴びることだ。
怖いのは複数得点を喫しての大敗だ。負けるなら地味に。2010年南アフリカワールドカップのような敗戦(0-1)が、敗れ方としては理想的だ。しかし日本も、決勝トーナメントを戦う条件を有利にしようとすれば、オランダを叩き首位通過を狙わなければならない。そうした意味で日本は組分けに恵まれたとは言い難いのだ。
2戦目のチュニジアは絶対に負けられない戦いになる。ここで負けるようだと話にならない。心配なのは現状3-4-2-1しか選択肢がない森保サッカーの幅の狭さだ。堅守を誇るチュニジアのスタイルにはまってしまいそうで怖い。想起するのは前回大会のコスタリカ戦。その二の舞を演じないようにしたい。
3戦目の相手はアルバニア以外、レベル的に日本と同格だ。なかでも総合力が一番高そうなのはスウェーデン。その規律度の高いスクエアなサッカーを前にすると、日本人選手のよさである忠実さ、勤勉さ、真面目さが打ち消される"絵"が想像できる。
加えて今回のスウェーデンには、欧州のメジャー国で活躍する選手を多数擁しており、選手個々のレベルが高い。ヴィクトル・ギェケレシュ(アーセナル)、アレクサンデル・イサク(リバプール)の2トップは、日本が5バックで守りを固めても割って入るだけの威力がある。スウェーデンは日本にとってかなりやりにくい相手だと見る。
ベスト32進出の可能性は75%以上 チュニジア戦勝利が必須となる
中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
オランダ=●
チュニジア=○
ポーランド=△
ドイツ、コスタリカ、スペインと戦った前回大会のグループと比べれば、オランダ、チュニジア、欧州プレーオフB組の勝者と同居する今回の組み合わせの難易度は、そこまで高くない。しかも、48チーム中32チームがトーナメントに進出できるという新レギュレーションもあり、日本がグループリーグで敗退する可能性はかなり低くなった。
とはいえ、楽なグループかと言えば、そうとは言えない。
最初の関門は、FIFAランキングでグループ最上位のオランダとの初戦。現在のオランダは、タレントが枯渇気味だった低迷期を乗り越え、ここ数年は欧州でも屈指のタレント軍団になった。ロナルド・クーマン監督のサッカーは、戦術的練度に依拠するよりも、どちらかと言えばシンプルに選手のよさを引き出すことに軸足を置く。日本にとって、実力的に勝てない相手ではないが、攻略しにくいタイプのチームと言える。
予想としては、がっぷりよつに組み合った末、1-2の黒星。2010年南アフリカワールドカップのときのように「1点差でも内容的には完敗」という試合にはならないだろうが、最後は個の能力の差でオランダに軍配が上がると見る。
ただ、初戦を落としたからと言って、日本が精神的に追い詰められることはないだろう。2戦目の相手は、グループ最弱と見られるチュニジアとの一戦。この試合に勝利すれば、グループリーグ突破の可能性はぐっと高まる。
アフリカ予選の10試合で失点ゼロという数字が示すとおり、伝統的に堅守のチュニジアも、日本にとっては得意とは言えないタイプの相手だ。そういう意味では、ゴールをこじ開けるにはそれなりに苦労するだろうが、前回大会のコスタリカ戦の反省を胸に、今回は主体的にゲームを支配して、勝ち点3を手にしたい。
問題はまだ対戦相手が決まっていない3戦目だ。ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアの4チームが対象となるが、順当にいけば、ヨーロッパ予選でオランダと同じグループの2位だったポーランドが最有力だろう。日本にとっては、ロシアワールドカップで3戦目に対戦した相手だ。
今回のチームも、予選でオランダと2度引き分けを演じたように、実力的にはFIFAランキング31位という数字以上のレベルの相手と見るべきだ。各選手の所属クラブを日本のそれと比較しても、ほぼ同格。ただ、日本はこの試合で勝ち点1を獲得すればOKだ。
いずれにしても、日本がベスト32に進出する可能性は75%以上と思われる。その最低条件と言えるのが、2戦目のチュニジア戦での白星であることは間違いないだろう。