四大文明の古代から、人類は水の近くで発展を遂げてきた。その流れは現代にも続いており、サッカーも無縁ではない。蹴球放浪家…

 四大文明の古代から、人類は水の近くで発展を遂げてきた。その流れは現代にも続いており、サッカーも無縁ではない。蹴球放浪家・後藤健生が、サッカーと川の「深~い」関係をつづる。

■ロシアW杯「日本代表」思い出の地

 2018年のワールドカップのときにはロシア各地を回って、ヴォルガ川の大きさを実感したものです。ニジニーノヴゴロドのヴォルガ川とオカ川の合流点あたりは、本当に海ではないかと思うくらいの川幅がありました。

 ニジニーノヴゴロドのスタジアムは、その合流点のそばにありました。日本がポーランドと戦ってフェアプレー・ポイント差でグループリーグ突破を決めたポーランド戦が行われたヴォルゴグラードや、ラウンド16でベルギーに大逆転負けを喫したロストフ・ナ・ドヌーのスタジアムも、スタジアムはそれぞれヴォルガ川やドン川に面していました。

 そもそも、ヴォルゴグラードとは「ヴォルガの街」という意味ですし、「ナ・ドヌー」というのは「ドン川に面した」という意味です。

 スタジアムを建設するにはかなり広い土地が必要になりますが、川のそばには川が氾濫することもあって未利用の土地が残っているのです。

■豊田スタジアムが「急傾斜である」理由

 これは世界的に同じです。

 先日、日本代表がガーナと戦った愛知県豊田市の豊田スタジアムも矢作川のそばにある豊田中央公園内に建設されました。豊田市駅からスタジアムまで歩くと、矢作川にかかる豊田大橋を渡らなければいけませんよね。

 ただ、公園内のスタジアムの敷地面積が限られていたので、豊田スタジアムはスタンドの傾斜が日本では珍しいほど急角度になったのです(おかげで、試合が見やすい!)。また、面積に制約があったので大屋根を支えるマストはスタンド内に設置されました。

 ちなみに、このスタジアムを設計した黒川紀章氏はロシアのザンクトペテルブルクのスタジアムを設計したのですが、あちらには広大な面積があったにも関わらず、豊田スタジアムと同じようにマストをスタンド内に立てる設計をしています。

 日本最大の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)も鶴見川のそばというか、川が氾濫しそうなときに水を溜める遊水地内に設けられた運動公園の一部です。つまり、洪水のときにはスタジアム地下の駐車場は水につかる構造になっています。2004年には実際に地下駐車場や隣接の小机競技場が水没したことがあります。

■世界中にある「川沿い」のスタジアム

 そういえば、1978年アルゼンチン・ワールドカップ決勝の舞台となったブエノスアイレスのエル・モヌメンタル(リーベルプレートのホーム)もラプラタ川のすぐそばにあります。

「ラプラタ川」というのはブラジルから南流してくる大河パラナ川の最下流域のことです。パラナ川は延長4000キロ、流域面積260万平方キロといいますから、ヴォルガ川をさらに上回る大河です。

 パラナ川中流、アルゼンチン・サンタフェ州の州都サンタフェ市のエスタディオ・エスタニスラオ・ロペス(CAコロンの本拠地)も川沿いにあります。

 ただ、パラナ川は冬になると気温よりも水温のほうが高くなるため、濃い霧が発生することがよくあります。

 1978年のワールドカップでも2次リーグのときに濃霧に見舞われましたし、2011年コパ・アメリカのときもサンタフェを訪れたときにやはり濃い霧の中で観戦した記憶があります。

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