「春の高校バレー」JVA第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会(サンケイスポーツなど主催)の地区代表決定戦は今が終…
「春の高校バレー」JVA第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会(サンケイスポーツなど主催)の地区代表決定戦は今が終盤戦。11月24日の東京大会で全出場校が出そろう。
今年度の予選会では注目すべき動きがあった。SVリーグ女子の埼玉上尾が11月8~9日、さいたま市・サイデン化学アリーナでのホームゲームを「共同開催」として、春高埼玉県予選の決勝を同じ会場で行ったのだ。
8日の午前に高校女子の決勝・細田学園対春日部共栄を行い、同日午後3時からSVリーグ・埼玉上尾対姫路の第1戦。翌9日には同じタイムテーブルで高校男子の決勝・春日部共栄対昌平、続いて埼玉上尾対姫路の第2戦を行った。高校の応援で来場した人は、希望すればそのままSVリーグの試合を無料観戦できるサービス付きだった。
春高予選とリーグとの共催は極めて異例で、昨季のSVリーグ発足後では初。高校生はSVリーグ用に用意されたタラフレックス張りの、いわゆるオレンジコートでプレーし、その姿は会場内のビジョンに映じられた。
春高本大会では全試合がタラフレックスのコートになるが、地区予選では板張りにテープでラインが引かれた普通の体育館で行われるのが一般的だ。高校生たちは本大会へ向けても貴重な経験をできたことになる。
本大会出場を決めた女子・細田学園の嶋崎紗恵子主将(3年)は「この(オレンジ)コートの方がボールがよく見えて集中しやすいといわれていた。実際にそうだった」と話し、「本戦に近い形でできたのはいい経験」と喜んだ。緊張したのか「ビジョンは見ないようにしていた」と苦笑したのは1年生エースの中島果穂(1年)だ。男子・春日部共栄の伊藤巧寿主将(3年)も「(普段、プロ仕様のコートで)やる機会がなくて緊張したけど、気持ちが入ってよかった」と話しており、選手にはおおむね好評だった。
春日部共栄在学中に同じ会場での春高予選決勝で細田学園に敗れた経験がある元日本代表の入沢まい(埼玉上尾)は「高校生は(春高本大会に)勝ち上がらないとタラフレックスではプレーできない。県大会からできるのはいい状況で、うらやましいと思った」。細田学園OGで日本代表の山中宏予(同)も「タラフレックスに慣れるのにいい機会」と語った。
このイベント、〝仕掛け人〟は埼玉上尾の佐藤嗣朗GM。バレーボール専門誌元編集長の佐藤氏が、チームの地域への浸透と埼玉県のバレーの盛り上げを目的に発案、県協会や県高体連と協力して実現にこぎつけた。
「プロの会場で、ビジョンやタラフレックスの環境で高校生がやれるというのは夢があって大きな意義がある。やれるチャンスがあるときはどんどんやればいい」とはSVリーグの大河正明チェアマンだ。
昨季発足したSVリーグは男子の人気が高く、初年度のレギュラーシーズン1試合平均入場者数は3021人。収容人数が少ない会場を使用したことによる「機会損失」が問題となるほどだったが、女子の盛り上がりは今一つだ。初年度の平均入場者数は1201人。埼玉上尾は897人で14クラブ中10位だった。
地道な地域密着活動を行ってきたクラブだが、高校とのコラボはさらに地域での認知を高めたいという思いからの一手。当日の入場者数は両日とも1270人超と、クラブの平均動員数に比べて上々の数字を残した。大河チェアマンは「(埼玉上尾は)チームの実力のわりに集客は苦戦している印象がある。人気が高い春高バレー(の予選)から流れてくる人をつかまえるのは、チャレンジとしてはいい」と取り組みを評価した。
SVリーグ、特に女子のクラブがある全国各地区で、こうしたコラボが広まれば人気の盛り上がりが期待でき、高校生の意欲も高まるだろう。埼玉上尾の試みが呼び水になればと期待する。(只木信昭)