キム・ジュウォンは9回に大勢から同点ソロ 野球日本代表「侍ジャパン」は16日、東京ドームで「ラグザス 侍ジャパンシリーズ…

キム・ジュウォンは9回に大勢から同点ソロ

 野球日本代表「侍ジャパン」は16日、東京ドームで「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vs韓国」に臨み、7-7の引き分けに終わった。韓国代表は9回2死から「7番・遊撃」で出場していたキム・ジュウォン内野手が起死回生の同点ソロ。試合後の会見では来日直後に祖父が亡くなったことを涙ながらに明かした。

 キム・ジュウォンは9回2死、大勢投手(巨人)が投じた、甘く入ったストレートを強振。右中間スタンドへ同点ソロを突き刺し、母国のファンを熱狂させた。「いいピッチャーであるということは知っていました。僕が最後の打者にならないという覚悟で打席に集中して入りました。失投を運よく打つことができたと思います」と感想を述べた。

 質疑応答では韓国記者から祖父が亡くなったことを問われると、コメントしようにも胸が詰まって話せない。目には涙が滲み、しばらく沈黙が続いた。その様子にリュ・ジヒョン監督はペットボトルの水を開栓して渡し、韓国代表のスタッフはティッシュを目の前に置いた。それでもキム・ジュウォンは言葉が出ず、リュ・ジヒョン監督が「後にしましょう」と次の質問に移った。

 その後、1度落ち着いたキム・ジュウォンは日本に入国した日に祖父が亡くなった連絡を受けたことを告白。「両親は『気を遣わず、今は試合に集中しろ』というように言ってくれました。僕自身、祖父を直接見送ることができなかったので、プレーを通して祖父を送りたいという思いがありました。そういった意味で、今回の試合後は本当に自分が持てるものをすべて注ぐという思いで臨みました」と言葉を詰まらせながら語った。

 3打数無安打、1死球で迎えた第5打席で飛び出した劇的同点弾。23歳は「最後の打席でいい結果を出すことができて、祖父をきちんと送ることができたのではないのかなと思っています。祖父も多分ホームランを見ていると思っている」と涙を拭った。(湯浅大 / Dai Yuasa)