11月14日、第56回明治神宮野球大会が開幕しました。年々、注目度が高まっている“秋の日本一”決定戦。印象的だった2大会…
11月14日、第56回明治神宮野球大会が開幕しました。年々、注目度が高まっている“秋の日本一”決定戦。印象的だった2大会を振り返りたいと思います。
“1年生BIG4”が主役となった21年の明治神宮大会
まずは2021年大会。この大会は「スーパー1年生」たちが主役でした。
花巻東・佐々木 麟太郎内野手(現スタンフォード大・ソフトバンク1位)、大阪桐蔭・前田 悠伍投手(現ソフトバンク)、九州国際大付・佐倉 俠史朗内野手(現ソフトバンク)、広陵・真鍋 慧内野手(現大阪商業大)の“1年生BIG4”がそろい踏みしたのです。
彼らの在籍する4校はベスト4まで進出し、BIG4同士の激突となります。
花巻東—広陵戦では佐々木・真鍋両選手が本塁打を競演。神宮球場は大きく沸きました。佐々木選手はこの大会で2本塁打を放っています。
大阪桐蔭—九州国際大付戦では前田投手から佐倉選手が本塁打。一方、打たれた前田投手は完投勝利(7回7奪三振、大阪桐蔭のコールド勝ち)を果たします。
前田投手はまさに超高校級左腕のピッチングでした。初戦の敦賀気比戦では6回10奪三振無失点の快投。常時130キロ台後半の速球、切れ味抜群のスライダー、チェンジアップのコンビネーションは絶妙で、ミートセンスの高い打者が揃う敦賀気比打線も全く対応ができていませんでした。前田投手の投球に将来のドラ1候補は間違いないという評価になりました。
九州国際大付の佐倉選手は神宮大会までの秋の公式戦で4本塁打を放ち、佐々木選手、真鍋選手に負けない活躍を見せていました。神宮大会では初戦、2回戦と2試合連続安打を記録していました。
しかし、決勝の大阪桐蔭vs広陵戦で大暴れを見せたのは大阪桐蔭の松尾 汐恩捕手(DeNA)でした。この試合で2本塁打4安打4打点の活躍で、11対7と広陵との打撃戦を制して、大阪桐蔭は大会初優勝を飾りました。松尾選手の打撃は「1年生に負けていられない」という意地が見られました。
12人のプロ野球選手が誕生した15年の明治神宮大会

今から10年前の2015年の明治神宮大会は現在の野球界をリードする98年生まれの選手たちが高校2年秋にあたる年でした。
この大会に出場して高卒プロ入りしたのは、実に9人。
大阪桐蔭・高山優希投手(元日本ハム)
創志学園・高田 萌生投手(元楽天)
創志学園・難波 侑平(元日本ハム)※当時1年生
秀岳館・九鬼 隆平捕手(DeNA)
秀岳館・松尾 大河内野手(元DeNA)
東邦・藤嶋 健人投手(中日)
敦賀気比・山﨑 颯一郎投手(オリックス)
青森山田・三森 大貴内野手(DeNA)
青森山田・堀岡 隼人投手(DeNA)
さらに大学を経由してプロ入りした選手も3人。
木更津総合・早川 隆久投手(楽天)
木更津総合・山下 輝投手(元ヤクルト)※当時1年生
関東第一・佐藤 奨真投手(元ロッテ)
なんと計12名、参加10校中、8校からプロ野球選手が誕生した驚くべき大会でした。
まず開幕戦は藤嶋投手擁する東邦と九鬼捕手が牽引する秀岳館の対戦。
この試合は藤嶋投手が投打に渡る大活躍でした。先制2ランを放ち、秀岳館は九鬼選手の適時二塁打などで同点に追いつきましたが、藤嶋投手が8回裏に2ランを放ち、4対2で東邦が競り勝ちました。
投打ともに才能が優れ、表情も豊かな藤嶋投手は、この大会でさらに人気を高めました。一方、試合後に九鬼選手に取材すると悔しさを露わにしていました。この1週間後、熊本の八代球場で秀岳館を取材しましたが、鬼気迫る練習を見て、「選抜までかなり強くなるだろう」と感じました。実際、秀岳館は翌年の選抜でベスト4入りを果たし、一躍、全国をリードする存在となりました。
大会初戦で実現した大阪桐蔭・高山、木更津総合・早川の両投手の投げ合いも非常に見応えがありました。高山投手は角度のある140キロ台前半の速球、早川投手は出どころが見にくい投球フォームから投げ込む130キロ台後半の速球で勝負しました。早川投手は4失点を喫しましたが持ち味を発揮しました。高山投手は2失点完投勝利。
創志学園・高田、敦賀気比・山﨑のプロ注目エース対決は山﨑投手が勝利。1失点12奪三振の完投勝利を収めた山﨑投手の投球スタイルは、今のような速球ゴリ押しではなく、130キロ後半の速球とカーブを丁寧に投げ分けるものでした。
5失点の高田投手はすでに140キロ台中盤の速球を投げ込んでおり、出力の高さは出場校の投手の中では一番でしたが、走者を背負った時の投球や、制球力などに課題がありました。
好投手が目立ちましたが、野手で光ったのは青森山田の三森選手。初戦の東邦戦でいきなりフェンス直撃の痛烈な二塁打を放ちます。185センチ70キロと細身でしたが、体全体を使った打撃フォームはヘッドスピードが非常に速く、ベースランニングの速さ、アグレッシブな遊撃守備とすべてにおいて衝撃を受けたことを覚えています。この大会では8打数3安打の活躍で、ドラフト候補として大きく評価を高めました。
10年が経ち、山﨑投手はオリックスのセットアッパーへ成長し、藤嶋投手は21年から5年連続で48試合以上に登板しており、中日の中継ぎの柱へ成長しました。圧倒的なスピードを披露した三森選手はソフトバンク、DeNAで454試合に出場し、通算15本塁打、78盗塁。今季は自己最多の22盗塁を記録し、自慢のスピードを発揮しています。早川投手は早大に進んで、20年のドラフトの目玉と呼ばれる左腕へ成長。プロではここまで通算33勝を記録しています。
今年の明治神宮大会は、山梨学院の菰田陽生投手(2年)を中心に超高校級の逸材として騒がれている選手たちが多くいます。彼らがいずれプロの世界で先輩たちと同じく、キャリアを重ねることを期待しています。