【青森】サッカーJ3でリーグ戦首位を維持するヴァンラーレ八戸。残り試合も少なくなり、念願のJ2への昇格も見えてきた。た…

 【青森】サッカーJ3でリーグ戦首位を維持するヴァンラーレ八戸。残り試合も少なくなり、念願のJ2への昇格も見えてきた。ただ、昇格に必要なのは成績だけでない。Jリーグの基準を満たしたスタジアムも必要だ。昇格を巡る戦いはピッチの内外で続く。

 ヴァンラーレの細越健太郎会長と下平賢吾社長は14日、ホームタウンである八戸市に熊谷雄一市長を訪ね、昇格やスタジアム問題について意見交換した。熊谷市長は以前よりヴァンラーレ八戸の活躍に注目しておりこの日も理解を示した、という。

 J2への昇格には(1)リーグ戦で1位か2位になるか、3~6位によるプレーオフで1位になる(2)J2クラブライセンスを取得する――の二つが必要だ。

 クラブライセンスにはスタジアムや練習場、育成部門の整備など五つの審査基準があり、これらをクリア出来ないとライセンスは交付されない。

 なかでもネックとなるのが、巨額の建設・整備費を必要とするスタジアムだ。

 Jリーグにはスタジアム基準があり、入場可能数をJ1ならば1万5千人以上、J2は1万人以上(いずれも芝生席は含めない)と定めている。さらに「理想のスタジアム」として、「フットボールスタジアムである」「アクセスに優れている」「すべての観客席が屋根で覆われている」などの要件を満たすことも規約で求めている。

 一方で「理想のスタジアム」の要件を満たせば、入場可能数の条件が緩和され「全席個席で5千人以上」で基準を満たす、という例外も用意されている。これは、Jリーグが競技やスポーツの振興だけでなく、地域との共創や共栄を理念として掲げているからで、ホームの人口規模や観客席の増設可能性なども含め判断される。

 ヴァンラーレのホームスタジアム・プライフーズスタジアム(八戸市多賀多目的運動場)は、収容人数がメインスタンド1160席と芝生席が約4千人なので、条件を満たさない。昇格で求められるのは、J2のスタジアムの基準値を満たす1万人以上収容の新施設か、「理想のスタジアム」に即した5千人以上の新設か、現施設の大規模改修かの三択だ。

 昇格決定後のスケジュールとしては、「3年以内のスタジアム建設計画の提出」に始まり、「昇格後、5年以内の着工、完成・供用開始」といった時間的制約も設定されている。

 ヴァンラーレ八戸の場合は、今シーズンに昇格を決めたら、2028年までに整備計画提出が必要となる。完成・供用開始は30年だ。クラブ事情などが勘案されれば3年の延長が可能になるが、この場合でも33年の完成、34~35年シーズンでの供用開始という終点があることには変わらない。仮に完成前に降格してしまっても、白紙には戻せない。

 下平社長らは、これらの事情を八戸市を含む16市町村のホームタウンに順次説明、理解を求めると共に、地域住民らからの署名を集めるなどして、機運醸成に努めたいと話している。

 八戸市の熊谷市長はヴァンラーレの好調を喜びつつ、スタジアムについては「八戸市だけで進めるのでなく、周辺市町村や県との協議が必要だ」としている。(鵜沼照都)