10月23日のドラフト会議で競合ドラフト1位候補は必至、最大の目玉選手として注目されているのが創価大の立石 正広内野手(…
10月23日のドラフト会議で競合ドラフト1位候補は必至、最大の目玉選手として注目されているのが創価大の立石 正広内野手(高川学園)である。ここまでリーグ通算15本塁打、全国大会では通算3本塁打、二度の大学日本代表と華々しい成績を残してきた。
立石が台頭したのは2年春。この年のリーグ戦で5本塁打を放ち全国舞台に登場した立石は以降、順調に本塁打を重ね、リーグ戦で本塁打王3回、打点王3回、首位打者2回と多くのタイトルを受賞した。
驚異的な打棒だけではなく、50メートル走では手動より遅く出る光電管による測定で6秒07を計測。また、二塁、三塁、外野も守ることができる。
立石はいかにして今年の大学最強スラッガーへ成長したのか。プロ1年目の目標も語ってもらった。
個人トレーナーと話をして肉体改造、打撃改革に取り組み2年春に打撃開花
立石がドラフト候補としてプロのスカウトに注目を浴びるようになったのは高川学園時代の高校3年夏の甲子園だ。山口大会を制して、甲子園に臨んだ立石は小松大谷戦はセンターへ豪快な本塁打を放つ。178センチ75キロとまだ細身だったが、リストの強さを活かした打球は強烈だった。ドラフト候補として注目されたが、高卒プロはまだ早いと思っていた。
「この本塁打で自信になったかといえばそれはなかったです。センターのあそこまで飛んだことはこれまでなかったですから。自分の中でまぐれ感はありました」
甲子園の本塁打で名が広まった立石は東京新大学・創価大への進学を決める。進学を決断したのはOBの存在だ。
「巨人の門脇誠さんです。入学前から練習を見る機会があったのですが、すべてが凄かったです。特に守備は衝撃的でした。上手いとか柔らかいとかではなく、とにかくなんか動物のような速さがあって、それでありながらエラーしない。
苦しそうな態勢で捕った後でも肩がめちゃくちゃ強い。それができるのは体幹も相当強い証拠で、いつでも、どんな時でもとんでもない送球をしているんですよね。
堀内(尊法)前監督から門脇さんのことを『門脇は多分プロ行くから、お前もプロになりたいんだったら、多分すごい参考になる』と言ってもらって、門脇さんは実際生で見ても、すごかったですし、この人とやりたいなと思ったのが一番かもしれないです」
そうして立石は入学すると、1年秋にはレギュラーとして明治神宮大会出場をかけた横浜市長杯にも出場した。順調にステップアップする中で、立石は体作りに取り組み、体重10キロ増。さらに複数の個人トレーナーと出会い、体の使い方、質の良い身体づくりを学ぶ。
「いろんなトレーナーさんと出会う中で、シンプルに体重が少ないことは、筋量も少ないと知りました。体作りは単純に体重増やすのではなく、体脂肪率含め筋量をしっかり増やす。バッティングに関しては小手先の考えばっかりじゃなくて、根本的な理想の体の動かし方だったり、1つ1つ確認しながらやっていったら、その良くなかった時の修正方法を自分の中で見つかりました」
こうした中で2年春のリーグ戦では一気に5本塁打を放つまでレベルアップ。本塁打だけではなく、打率5割、14打点とリーグ三冠王も獲得し、一気に大学球界でも注目を浴びる存在となる。データ面でも強烈なインパクトを残した。2年冬に参加した大学日本代表の候補合宿では、今年1年目から活躍する西武・渡部 聖弥外野手(広陵-大阪商業大)、楽天・宗山 塁内野手(広陵-明治大)、ロッテ・西川史礁外野手(龍谷大平安)を抑えて、打球速度NO.1だったのだ。立石はそれまでの取り組みが結果として実ったと感じていた。
「本当に言葉で言えないぐらい細かく細かくバッティングを考えてきました。いろんなこと考えたり、いろんな人と喋ってということをやりましたので、その時間をしっかり費やした結果ではないかなと思っています」
継続的に結果を残すために取り組んだ「分析作業」

三冠王を獲得した2年春以降も、立石は2年秋に首位打者、3年春には本塁打王、3年秋の明治神宮大会では歴代最多となる10安打を記録。安定した成績を残すことは立石がテーマにしていたことであった。
「2年春がうまくいきすぎました。逆に言うと、あそこを越えないと満足しなくなってしまったので。
でも2年の秋に首位打者を取れたことは自分の中でもしっかり自信になりました」
立石は、試合前から自分の目標を書いたり、相手投手の傾向、狙い球を書き出すことに取り組んだ。
「しっかりと1試合1試合、どういうイメージで打席に立ったり、どんな勝負をしようかと考えて打席に立っていました。どんなピッチャーで、どういうコースでカウントを取りにくるのか。どういう球種であれば、自信を持ってカウント取ったりするのか。そういう傾向は絶対にある。直接打席に立った時に、自分が調べた情報をしっかり整理し、次の打席に向けて考えることで、思い切ってスイングができるんです」
事前に調べて、徹底事項を決めて、打席に入る習慣づけている立石。プロで戦う際も大きなアドバンテージになるだろう。
「リーグ戦になると、顔見知りというか、いろんなピッチャーと何回もやってるので、ある程度のことがわかる。
新しい武器だったり、そういうものを作るピッチャーもいますけど、基本的には長い間いろんな人と戦ってきて、極端にそのピッチャーのパターン、いきなり新しい変化球を身に着けて、決め球にすることはあまりありません。それを書くだけでも対戦する投手の傾向を把握できるようになるので、書いて準備することは大事だと思います」
その結果、4年春は打率.400、5本塁打、16打点の活躍で、リーグ優勝に貢献。MVPも獲得した。
プロでは1年目から二桁本塁打を打ちたい

立石には打撃、守備、走塁全てに優れた「5ツールプレイヤー」になりたいという思いがある。それまではサードだったが、今年からセカンドの守備に取り組んでいる。今年の2月のキャンプで、元日本ハムの高口隆行コーチの薦めによりコンバートした。守備の名手だった高口コーチの守備は大きな手本になっているという。
「めちゃくちゃうまいです。手本になりますし、口で色々指導されるよりは高口コーチが実際やってくださると、本当に全然違うというのがわかります」
守備の習得には時間をかけるしかないと思っている。
「守備があまり得意ではないので、怖さがすごいあります。1つのプレーで勝敗を変えてしまうので。今でも怖さはめちゃくちゃありますけど、その分、やはり練習するしか対策はないので。でもそれだけ練習して自信がつけば堂々とプレーできると思っています」
立石はラストシーズン、足の故障で復帰が9月下旬になり、さらに10月にも腰の痛みで途中交代もあった。それでも高い評価は変わりない。そんな中でプロの将来像を語った。
「やはり長打力、打球の強さはずっと長所ですので、打ちたいですし、バッターボックス入ったら怖がられるような選手になりたいなと思います。試合にはもちろん1年目から出たい。もし出させていただくことがあれば、2桁ホームラン、10本でも出れば最高のスタートなんじゃないかなと思います。そして守備位置にはこだわりはありません。出場できるポジションで精一杯練習したいと思います」
心身ともに万全の状態ならば、プロ1年目から規定打席、そして新人王争いも見込める大器の交渉権を手にする球団はどのチームになるのか。