初戦で圧倒的な力を示したために、ソフトバンクが一気に日本一の座に到達するかと思われたが、DeNAがそれを許さず。日本シリーズにふさわしい野球の醍醐味のつまった試合が続いていた。福岡ソフトバンク3勝、横浜DeNA2勝で迎えたSMBC日本シリーズ第6戦(11月4日)。軍配はパ・リーグ王者・ソフトバンクに上がり、見事に2年ぶりの日本一に。延長11回までもつれた今季最終戦を、門倉健氏に語ってもらった。

 

——ついに、日本一が決まりました。DeNAをソフトバンクが破り、2年ぶりの日本一です。
「決まりましたね。今年の日本シリーズは非常に面白い試合が多かったように思います。この第6戦も延長の末、サヨナラでの決着ですから、見ていたファンの方も非常に見応えのあるシーズンだったのではないでしょうか。正直、第7戦まで見たかったと思ってしまうのが本音ですね」

——6試合中、4試合が1点差での決着です。
「そうですね。本当、いつ試合がひっくり返るかわからない試合ばかりでしたから、試合の流れとか、両監督の采配だったり、ミスだったりとか、非常に見るべきシーンの多いシリーズだったように思います。これが地上波で全試合放送されていたかと思うと、少し野球ファンの方も増えてくれたんじゃないかなあとうれしい気持ちにもなります」

——最終戦含め、非常に見応えがありましたね。
「本当にそう思います」

——さて、あらためて第6戦ですが、まずは両チームとも、スタメンにサプライズがありました。「はい。ソフトバンクについては、先発が予想されていた千賀がどうやらアクシデントで回避。一方のDeNAは7番に指名打者で白崎選手を抜擢してきました。正直、予想がつかない起用でしたね。アクシデントは仕方がないとして、急遽マウンドを任された東浜投手がどんな投球ができるかなと思ったのですが、点は取られましたけれど、前試合同様の安定した姿だったように思いますね」

——一方の白崎選手の抜擢は本当に驚きでした。
「ラミレス監督の采配が最後までサプライズを起こしました。先発が予想されていた千賀投手、東浜投手はどちらも右投手ですし、右打者を抜擢するのであれば先日の第5戦で代打出場し、すばらしい当たりを放った細川選手かと思ったのですが。ただ、結果を見ると、同点弾含む2安打1打点という成績です。ラミレス監督の勝負勘はさすがだな、と思いましたし、それに応えた白崎選手も素晴らしかったと思います」

——中盤に試合が動き、両チームが対称的な継投で試合が進みます。
「ソフトバンクは5回のピンチで東浜投手を替えてきました。早めの継投でしたね。ただ、1対1の同点で2アウト2、3塁になった場面で、ロペス選手に対し石川投手を起用した部分は、誤算だったと思います。フルカウントからの6球目、高めのスライダーを捉えられ、2点のリードを許しました。結果、その次の回に頭から森投手をつぎ込むことになり、その後もビハインドのままモイネロ投手、岩嵜投手、サファテ投手と勝ち継投にせざるを得ない展開となってしました。ゲーム自体は、DeNAのほうが優位に進めていたかなと思いますね」

——一方のDeNA先発・今永投手は、7回まで松田選手のソロホームラン1本に抑える投球でした。
「先日の濵口投手に匹敵する、素晴らしい内容だったと思います。球数も非常に良いペースでいっていましたし、8回の続投も納得でした」

——ただし、その8回、先頭の8番・長谷川選手に2ベースを許しマウンドをおります。
「まず、あらためて8番に長谷川選手がいるというソフトバンク打線をすごいなと感じさせる部分ですよね。しかも長打がほしい場面でしっかり長打を打ってくる。さすがとしかいいようがありません」

——その後、井納投手を挟み、替わった砂田投手が1点を失います。
「1死3塁、バッターは柳田選手。いわゆる“ゴロゴー”という場面ですが、ピッチャーゴロ。本来であればホーム突入を防ぐために本塁送球したいところでしたが、アウトひとつを選択しました。『柳田選手をなんとか打ち取る!』ということに集中しすぎたかもしれないですね。」

——これで1点差。そして9回には守護神・山﨑投手が1点差でマウンドに上がることになります。
「はい。そして、内川選手がソロ本塁打を放ち、試合を振り出しに戻しました。さすが内川選手、そして、さすがソフトバンクと思わせる展開でした」

——結果的にみれば、あの本塁突入を許していなければ——という展開でもありました。
「どうしても、スコア上はそういう考察になってしまいますよね。ただし、そのあと試合は11回までいっていますし、お互いギリギリの戦いをしていたというのはあります。ソフトバンクが、一枚上手でした」

——象徴的なのが、最後のサファテ投手の起用です。
「ビハインドから起用し、最終的には3イニングですか。執念の采配ですね。負けていたソフトバンクが、この日の試合を絶対とるという形で勝ちにきた。その緊張感の中で、土壇場の9回に内川選手が本塁打を放ち同点とし、イニングまたぎでも高い集中力を保って3イニングをピンチを招きながらも、サファテ投手が無失点に抑えた。本当に、ここぞという場面で力を出せるシーンを、このシリーズでは何度も目にしました。勝敗を分けたのは、そういった力の差だったように思います」

——4連勝の可能性も予想される中でのシリーズではありました。
「はい。ただ、DeNAの選手たちも日に日に集中力を増して、強くなっていったように感じさせられました。細かいミスも多かったですけれど、非常にいい経験になったのではないかなと思います。選手たちも、次になにをやるべきか、わかったと思いますしね。見応えのあるシリーズを見せてくれた両チームには感謝を言いたいですね」

——ありがとうございました。

 

<OBプロフィール>
門倉健(かどくら・けん)
球歴:聖望学園高→東北福祉大→中日→近鉄→横浜→巨人→カブス他
アメリカ、韓国を含め7球団を渡り歩き活躍した右の本格派。190㎝を超える長身から投じる角度ある直球とフォークボールを武器に、先発・中継ぎ・抑えの全てを経験。2005年には奪三振王のタイトルを獲得した。引退後は韓国・三星ライオンズでコーチを務めた。埼玉県出身。右投げ右打ち。投手。公式ブログ(https://ameblo.jp/kadokura-ken/)。